WILD LOVE

 今晩は、藤川直美が+nightに登場する。たったいまblanClassでは最終的なリハーサルが繰り広げられている。(1月のゲスト眞島竜男も出演します。)


2010年2月20日(土)
藤川直美
[Wild Love]
出演:眞島竜男/野田京子/吉本伊織/藤川直美
開場:18:00 開演:19:30
入場料:1,000円


 藤川作品といえば「熊」。『BROKEN COMEDY』展(2009・創造空間9001・横浜)の悩める男と悩める熊の苦悶する姿がデュアルスクーリンに投影された。今回の作品は、リアル仮面劇という独自の手法でパフォーマンスする。これまでの「熊」シリーズの完結編。
 「熊」で思い出すのは、やっぱりジョン・アーヴィング。怒濤のようにめまぐるしく展開する活劇のような物語。そのなかに必ずのように「熊」と「ホテル」が象徴的なアイコンとして登場してくる。「ホテルニューハンプシャー」では、さらに心に深い傷を負ったために、熊の着ぐるみを脱ぐことができない女(映画ではナスターシャ・キンスキーが演じていた)というものすごく屈折したキャラクターが登場する。簡単にいうとNHK教育に当たり前のように出演し続けている「ネズミの着ぐるみを着た(ネズミになりたいと願う)ネコ」、「ニャンちゅー」みたいなやつだ。
 藤川作品の「熊」も、物語空間のなかで、「あうん」の「型」として存在するものではなく、クニャグニャとその存在意義を変形させながら、「熊」だったり、「着ぐるみ」だったり、「着ぐるみを着た演じられた役」だったり、はたまた「本人」だったりと、その主体が混乱していく。
 社会や本人が望む「仮面」や「着ぐるみ」を脱げずに、グニャグニャの主体を混乱させながら「プチカオス」を生き抜く我々の日常を辛辣に風刺する。それが藤川作品なのだ。



小林晴夫