なおみちゃん

 先日2月20日(土)藤川直美「WILD LOVE」は面白かった。
 今回の彼女の作品では初めて彼女自身が作品に出演した。「たつおさん」、「きょうこちゃん」、「熊/吉本」、どのキャラクターを主人公といってもいいくらいに、それぞれが重要なキーパーソンなのだが、結局は「ハンター/なおみちゃん」がライフルを撃つ理由とタイミングを与える役割に見えてしまう。もっともサブ的な役割のように見えて「ハンター/なおみちゃん」が主役なのではないかと、思ってしまった。山場のシーンで重要な台詞を受け持っていたのも、やはり「ハンター/なおみちゃん」だった。
 本番後の公開インタビューでも、藤川直美が自身の作品に出演したことの重要性が話題の中心になった。だからなのだろうか? それまでの藤川作品に、どうしても感じていた曖昧な部分が今回の作品には無く、非常に明快な作品に仕上がっていた。
 もしもトキワ荘出身の漫画家がこの作品のタイトルをつけるなら、絶対「なおみちゃん」にするだろう。藤子F不二雄の「ドラえもん」の主人公は「のび太」ではなく「ドラえもん」だし、手塚治虫の「どろろ」の主人公は「百鬼丸」ではなく、あくまでも「どろろ」なのだ。



小林晴夫