ぎおんさくら

 昨年の10月17日に+nightがはじまり、今週でちょうど半年が経つ。


2010年4月17日(土) 岡田貞子 + おととことばこ
[ぎおんさくら]
花びらまいちる「ことば」を歌うギリシャ帰りの旅芸人たち開場:18:00 開演:19:30 入場料:1,000円
http://blanclass.com/_night/archives/40


 今週の+nightの出演者は、おととことばこが10月に、岡田貞子が11月に、2人ともが、その+nightの立ち上げ時期に参加をしてくれた。(2009年10月24日/おととことばこ[音と言葉と空間を考えるプロジェクト]、11月14日/岡田貞子[何個目かのボッチ])。それぞれ2度目になる登場では両者のコラボレーション作品に挑戦する。
 岡田貞子の作品は、彼女の平面作品にもみられるように、ある種の「物語の空間」を示している。にもかかわらず、彼女の織りなす、折り重なる「ことのは」は、音のようにバラバラのまま投げだされて、なんだか全然収拾のつかないままゆがんだ空間が生まれる。
 おととことばこは既存の絵本や小説を読み聞かせるというスタイルでパフォーマンスを展開しているのだが、一度遊ばれたことばをもう一度遊びなおしているようにも見える。本人の肉声とあらかじめ多重録音された声とで音やことばを空間的に演出している。
 おととことばこの作品をblanClassではじめて観たときに、ふと思いついたのがきっかけで、今回のコラボレーションを(おととことばこがまだ岡田貞子の作品を観る前に)提案した。それは「おととことばこ」というネーミングにもみられるように、彼女が問題にしていることが「おと/ことば/はこ」、つまり「音と言葉と空間を考えるプロジェクト」だったからにほかならない。というのも、岡田貞子が手がけてきた、それまでのパフォーマンスの作品にも共通していると感じたからだ。
 共通といっても、たぶん双方の「ことば」に対する接し方はまったく相容れないぐらいに異なるものだと思う。私の思いつきではじまったこのコラボレーション、きっと本人たちはそうとう苦労していることだろう。
 でもだからこそ、それぞれの表現がどのように拮抗し交差するのか? そこで生まれる「ゆがみ」のようなものを、いまからたのしみにしている。
 


こばやしはるお