伊藤武治逝く

 私はこれから「伊藤武治さんを偲ぶ飲み会」へ行く。武治さんは、この前の土曜日、深夜お酒を飲みながら倒れのだそうだ。そのまま意識は戻らず、昨日の朝、息をひきとった。私も昨日の朝、急いで病院に駆けつけたが、間に合わなかった。
 急すぎて、まだピンとこないが、私にとってはまた大きな存在がいなくなってしまった。彼との交友は、彼が1973年にBゼミに講師でくるようになってからはじまった。小学生の時分は、夏休みのあいだ中、二宮の伊藤邸で過ごしたものだ。彼は幼い私に人生の輝きを教えてくれたのだ。
 その二宮の伊藤邸で「伊藤武治さんを偲ぶ飲み会」は執り行われる。といっても、ひたすら飲もうという会だ。詳細は以下の通りだが、住所と電話番号は省かせていただく。もしBゼミの関係者で、このコラムで知った方がいらしたら、友人知人に問い合わせて、さらに詳しい情報を得てほしい。


1976.5.23.芦ノ湖にて 武治さん、絵理さん、内股の少年は私 撮影:小林昭夫


こばやしはるお



旧Bゼミより 訃報のお知らせ

Bゼミで長きに渡って講師を務めていただいた 伊藤武治氏が
脳梗塞のため 今日2010年7月13日午前7:08 
東海大学医学部付属病院にて急逝されました 

つきましては 明日 伊藤氏のご自宅で「伊藤武治さんを偲ぶ飲み会」をいたします 
お花を一輪と会費(飲んだり食べたりするため)だけを持ってお集まりください 
飲物 食べ物の持参は歓迎 喪服もいらないそうです
とにかく生前の武治さんが喜ぶような 普段着の飲み会をしましょう

今日と明後日は ご親族 ごく身内の方々で 仮通夜と葬儀が 執り行われます

日時 7月14日(水)何時でも良いそうです 本通夜 伊藤武治さんを偲ぶ飲み会
   7月15日(木)午前9:30 出棺(予定)

場所:「伊藤武治邸」足柄上郡中井町井ノ口

アクセス:
・JR二宮駅東海道線)下車、神奈川中央バス「秦野駅南口行」梅の木下車(徒歩1分)
小田急秦野駅下車、神奈川中央バス「二宮駅北口行」梅の木下車(徒歩1分)


藤武治 いとうたけはる 版画家(享年71歳)
1939年(昭和14年)1月13日神奈川県生まれ。1957年頃より横浜周辺の芸術家集団と交友を始め作家活動を始める。その頃に具体の吉原治郎氏と知り合う。1959年フランスの美術評論家ミッシェル・タピエに具体グループらとともに絶賛され1年間画家として契約する。1960年1年間の渡米。各種の版画技法のことは勿論、鉄工、木工、陶芸、自然農法からサバイバル技術まで本当に何でも知っているという全く不思議な人で、鉄筋コンクリートのビルでも基礎から一人で建ててしまうというバイタリティにあふれた怪人。それがすべて独学の結果だと知ってびっくりする。Bゼミでは、1973年から1999年までエッチングなら鉄筆の焼きから始める、インクも手づくり、型破りなシルクスクリーンリトグラフの版画演習などからはじまって、版画が刷り上がったら額縁までつくってしまう。ちょっと異色で超貴重な存在であった。