泉 太郎 [一日を飼う]

今週の+night↓
http://blanclass.com/_night/archives/2986

2010年10月9日(土)
泉 太郎 [一日を飼う]

僕らはつくる つくる前にやることはたくさんあって、まずはあれを用意しないといけない、これを用意しないといけないとあたふたするのですが、この際その部分をかなり先延ばしにしてしまって、手先以外の部分で何かをつくれないのかな、と考えています。でもそれは方便で、結局あなたにお願いすることになるかもしれない ビデオを使ってすれ違う日の記録になったら、さようなら…。

開場:18:00 開演:19:30
入場料;1,200円/学生:1,000円

 今週の+nightは泉太郎が初登場!!
 今回、彼をお喚びすることになったきっかけは、昨年の暮れに展覧会「日常/場違い」(神奈川県民ホールギャラリー)に出品されていた泉太郎の作品、「蚊」、「奥歯が増えた」、「さわれない山びこのながめ」を見たことと、今年の5月30日(日)に、ステューデントナイトにも参加したアーティスト・ユニット「A子とB子」(松尾浩子/松本真幸)のアトリエ・オープンイベントではじめてお会いしたことだった。
 泉太郎という名前は、ここ数年いろいろなところで目にしていたので、すごく気になっていた作家の1人だった。「日常/場違い」展を見にいったのも、この人の作品をちゃんと見たいという目的が一番大きかった。でも正直、作品を見て、その作品を支えている彼のアイデアを理解しているつもりになっても、実際に本人と会っても、作品が抱えている奇怪な雰囲気を説明できたようには、なかなか思えず、おさまりの悪い変な感じが残っている。
 だからこそ+nightにお喚びして泉太郎の謎を解き明かしてみたいと強く思ったのだ。もちろんもっと謎が深まる可能性の方が高い。
 というのも、先日電話で今回のプランを話し合ったのだが、清澄白河にあるヒロミヨシイの個展会場からはじまって、井土ケ谷のblanClassまでの道程で、見聞きしたものをご本人とともに連れてきてくれるのだと言う。どんなことになるのか、蓋を開けてみなければちょっとわからない内容なのだが、なんだか今から興奮している。
 先週のゲスト冨井大裕は、できあがった作品に約束された美的なものを汲み取ってもらいたいわけではなく、作品をつくる動機や過程も含めた作家のアプローチそのものを見て(考えて)ほしい。それは不可能なことかもしれないと前置きをした上で、作品と作家が作品にするまでにやっていることが一致してくれれば、なおのこと良い、という意味のことを発言していた。
 泉太郎も冒頭の紹介文にも触れているように、人がなにかをつくる、とくに作家として「作品」をつくるということの、「どこをつくっているのか?」という、もしかしたら大前提であるはずの問題をあらためて「問題」として、ひっぱりだしている。ということは、つまるところ「見る」とか「観る」とかいう、姿勢をこそ批判しているということを、私たちは痛感しなければならない。


こばやしはるお