10月16日〜23日の blanClass +night↓
http://blanclass.com/_night/archives/2988
blanClass1周年記念ウィーク
2010年10月16日(土)〜23日(土)
原口 典之 [work on paper & work on canvas]
16日(土)公開制作
13:00〜
入場料:1,300円/学生:1,100円
18日(月)〜23日(土)展示
12:00〜21:00(23日のみ〜19:00)
入場無料
23日(土)対談 [世界のはかり方/原口典之-平面の仕事]
原口 典之/松本 透(東京国立近代美術館副館長)
司会:小林晴夫
19:30〜
入場料:1,300円/学生:1,100円
ものさしの原器
今週から来週は原口典之氏をお招きしてblanClass1周年記念ウィークを開催する。近年、原口典之は平面の仕事に並々ならぬ力を注いでいる。原口の思考の現場である平面の仕事を、その様を目撃してほしい。公開制作された作品は翌週に展示、展覧会最終日に、松本透氏(東京国立近代美術館副館長)をお招きして対談をおこないます。
今回制作される作品は来年横須賀でおこなわれる「横須賀・三浦半島の作家たちⅠ 原口典之・若江漢字」(横須賀美術館・2011年2月11日〜4月10日)に出品する予定だそうだ。
昨年BankART1929でおこなわれた「原口典之展 – 社会と物質」で対談をして以来、今年もこれまでに2度、7月に「原口典之と白州」のワークショップ内で、8月には「原口典之 × nitehi works」のクロージングイベントで、それぞれ原口氏と対談する機会があった。
はじめは私が助手をしているころからのBゼミを通してのおつきあいだった。しかし1997年に、MARKETというアーティストスペースが発行していた「market by market」という小冊子で原口作品「スカイホーク」特集を大泉英夫編集長と共同編集してからというもの、原口典之研究は、いつのまにか私のライフワークのようになってしまった。これまでにその「market by market vol.12」以外にも昨年「REAR」という美術批評誌に「原口典之 社会と物質」というエッセーを寄稿した。
そうした交流やインタビュー、対談の中で一貫して、私が問題にしていたことは、彼の若い作家たちに対してのメッセージとも取れる「つくってはいけない」というキーワード。作家による発言としてはなぞなぞのような「つくってはいけない」という言葉を手がかりに、氏の表現に対する姿勢、芸術の社会の中で制度化され形骸化されてしまう愚かさを考えさせられてきた。(最近原口氏と飲みながらお話をしていたら、今度は「生きてはいけない」と言われてしまった。またもや無理難題。そのなぞなぞは解けるだろうか?)
「つくる」でなければなんなのか、なにを作家はしているのだろうか? その設問に出した私なりの答えは「はかる」こと。人間は5つの感覚器官、脳、身体のすべてを総動員して「はかり」続けている。重要なことは、まやかしの美的な価値観を装うような個性の捻出ではなくて、終わらない知覚に覚醒し、思考すること自体を実践し続けることなのだ。
こういう考え方は原口典之を考えることに留まらず、いまや私の理念の中核になっている。blanClassをはじめた理由にもなっているし、たった今も私を鼓舞してくれている。だから1周年記念にはどうしても原口典之に登場してもらわないといけない。
世界をはかるために原口はさまざまな「ものさし」、なかには「オイルプール」のように「世界の水準器」ともいえる「ものさし」を発明してきた。その原点はいつも彼自身の身体にあり、「メートル原器」のような思考の種は、平面の仕事に集約されている。公開制作[work on paper & work on canvas]は、そういう彼の姿勢を生で目撃できる貴重な時間になるだろう。
こばやしはるお