矢内原 充志 ワークショップ [箪笥ショー]

今週の+nightは、矢内原充志が初登場↓
http://blanclass.com/_night/archives/4397
矢内原 充志 ワークショップ [箪笥ショー]
友達の家や親戚の家で家族の箪笥を勝手にあさって、よくファッションショーをした。おばさんが昔着ていたワンピースや、肩がせり出した変な色のスーツをみんなで着て遊んだ。価値の転換はどこで生まれるかわからない。

日程:2月12日(土)
開場:18:00 開始:19:00
入場料:1,000円/学生 800円

矢内原 充志 Mitsushi YANAIHARA
モードという切り口で、常に今あるべき身体を世に問いかけ、舞台という非現実と、見ている人の日常との間にある境界線をなくしていく試みをファッションの立場から明確に打ち出している。桑沢デザイン研究所ドレスデザイン卒。1997年Nibrollに参加、以降、衣裳デザイン兼ディレクターとして作品にかかわる。2001年には自らのブランドネームを『nibroll about street』と改め、東京コレクションなどに参加。有限会社スタジオニブロール代表取締役


 矢内原充志はこれまでプレタポルテ、ウェディングドレスや舞台衣裳など、身体と被服の関係をアグレッシブに探求、実践を重ねてきた。彼の服に対しての開かれた考え方は、モードの仕事と舞台衣裳の仕事が、その活動のスタートから同時並行だった経験が大きくものを言っているのだろう。
 たとえば彼の衣裳へのアプローチは最初からダンサーや役者、演出やシチュエーションにとって都合の良いものへは向かわなかった。身体の動きを規制してしまう服。その服を着ることである種の行為を自ずと生み出してしまう服。プリントやパターンから意味やメッセージが示される服。舞台の空間を凌駕し舞台美術になってしまうような服などなど、衣裳の登場で、出演者の動きや演出も変更を余儀なくされた例が少なくないらしい。しかしそれらは一旦閉じられた表現空間での話。その真逆に街に飛び出した「nibroll about street」は、その非日常の服に自身刺激されつつ、あくまでも日常に視点を据えて仕事をしてきた。
 どちらにも通じている考え方は、服を着るほうの人間が服を規定しているのではなく、服のほうで着る人間を規定してしまうのが、服に限らずデザインの前提になっているという事実。
 ほとんどの人が服を着て生活していながら、かつてのようには自前で着るものをまかなえない状態。なんらかのシステムの中から自分の仕事や生活を服のデザインからも選択しなければならない。そういう風に世界全体が向かっている。
 エヴリデイ・クローズもずいぶん変わった。モードもどんどん変化していくのだろう。その変化にともなって人々の服に対する考え方もきっと変わっていくのだろう。これからの日々をデザインするデザイナーの責任は重大だ。
 矢内原充志の街着への考え方は、最近はよりニュートラルなクォリティーへ向かっているようだ。春からはメンズの新ブランド「MITSUSHI YANAIHARA」を立ち上げ、普通のことをビシッとデザインするとのこと↓
http://mitsushi.blog.so-net.ne.jp/

 今回の+nightでは、服以外にも多彩な才能をディレクターとしてパブリックにも発揮している矢内原充志だが、服づくりの原点に焦点を絞った[箪笥ショー]。彼がこれまでにいろいろな目的でデザインした服をドッサリ持ち込む。普段は着慣れない服に袖を通してみるだけで、頭の中の世界が少しだけでも転換するかもしれない、全員参加のコーディネート&ファッションショー。


こばやしはるお