眞島 竜男 [右/左] 再演

 今週の「新・港村」出張blanClassは眞島竜男が登場!!
 blanClassも今週で2周年!! 2周年に相応しく、blanClassの短い活動のなかで、もっとも不可解な作品だった、眞島竜男の[右/左] を再演します。
 世界中? のどこにでもあって、人々がそれなりに使っている便利な概念「右」と「左」。しかし、似たような概念「前後」や「上下」のように、すっきり認識されているわけでもなく、主体の方から見ても、客体から見ても、いつも混乱してしまう、不安定な概念「右」と「左」。そんなとっても曖昧な「右」と「左」についてのインスタレーション&パフォーマンスが[右/左]。
 眞島竜男はこれまでに5回、パフォーマンスを発表している。そのうちの4回は、blanClassで、2010年1月に『鵠沼相撲・京都ボクシング』、7月に『右/左』、2011年4月に『0.2』、8月に小品『ぶんてんていてんかいそていてんしんぶんてんにってーん』をそれぞれ初演。もう1回はTaro Nasuで『鵠沼相撲・京都ボクシング』を再演している。
 それまで眞島はパフォーマンスを発表したことはなかった。ロンドン留学中の初期作品からビデオメディアによるドラマ仕立ての作品も多く、時間を伴う表現は得意にしていた。また演劇に造詣が深いこともあってか、作品に登場してくるキャラクターにプロフェッショナルな俳優をキャスティングすることで、美術以外のメディアや形式を意識させる手法をいち早く取り入れている。こうしたことから「演ずる」ということも眞島作品のコアになってきた。だからある意味、パフォーマンス作品を制作するのは秒読みの段階にあったかもしれない。
 blanClassがその立ち上がり当初からの理解者、協力者だった彼に発表を依頼したときに、彼がblanClassで発表することの意義を真摯に考えてくれたことの回答でもあったとも察する。blanClassのイベントが基本、ワンナイトで完結する有料のショーをお願いしているため、ギャラリーピースをそのまま持ってくるのでは、成立しないと考えたのだろう。
 blanClassで初演した作品は、すべてがパフォーマンス作品だが、ひとつひとつ異なる形式の作品といってもいい。朗読劇、インスタレーション&パフォーマンス、演劇&ビデオスクリーニング、ラップ風レクチャーなど、そのたびにさまざまな形式からアウトプットを模索してきた。そのことは、眞島作品のギャラリーピースとて同様なことで、それぞれの作品にとって、もっとも相応しい最終形態が探され選ばれてきた。

 今回再演する「右/左」は、その他のパフォーマンスのなかでも…、いや、もしかすると眞島作品全体と比較しても、もっとも奇々怪々で、不可解な作品だ。
 真島竜男という作家は論理的な作家だが、同時に未整理のことでもインスピレーションに任せて作品に取り込んできた作家だ。そのためか分析が可能な部分と不可能な部分が共存して作品の奥行きとなっている。
 ところが、そのバランスが時折破綻をきたしていることがあり、というのは未整理な部分が多いということなのだろうが、「右/左」のはじけ方は、その整理されている部分が、ほぼ見当たらないほど、破綻している。
 見ていると怖いくらいなのだが、そのことが、身体的にも、社会的にも共有されているはずなのに、認識しようとすると、吃音のように動揺してしまう「右が右のこと」、「左が左のこと」がテーマになっているため、不思議と作品の破綻とぴったり一致してしまう。逆にどの作品よりもシンプルで、作家性が惜しみなく発揮されている作品といわざるを得ない。
 このいかれた眞島竜男をみよ!!


こばやしはるお


今週の+night↓
http://blanclass.com/japanese/


眞島 竜男 [右/左] 再演

「右が右のこと」と「左が左のこと」についての、写真とビデオとパフォーマンスによるライブ? インスタレーション。右が10点、左が10点、オール新作20点。右回りで見ても、左回りで見てもOKです。右に回すとボールペン、左に回すとシャープペンシル。コアラ饅頭、右に回すとコウモリ饅頭、左に回すと…。ちなみに、私は右と左の区別がつかないことがよくあります。(この作品は2010年7月17日にblanClassで初演されたパフォーマンスの再演です。)


日程:10月15日(土)
開演:19:00 開演:19:30
一般:1,500円/学生:1,300円
会場:新・港村スクール校舎(Aゾーン)
新港ピア:横浜市中区新港2-5


眞島竜男 Tatsuo Majima
1970年東京都生まれ。1990年〜1993年、Goldsmiths College, University of London在学。1997年〜2000年、スタジオ食堂参加。2000年〜2004年、Bゼミ Learning System専任講師。主な個展に、「北京日記」(TARO NASU/2010年)、「The Incredible Shrinking Pizza」(Hiromi Yoshii/2005年)など。主なグループ展に、「六本木クロッシング2007: 未来への脈動」(森美術館/2007年)、「食と現代美術 Part 2 美食同源」(BankART1929/2006年)、「第6回シャルジャー・インターナショナル・ビエンナーレ」(アラブ首長国連邦/2003年)など。blanClassでは2010年1月に『鵠沼相撲・京都ボクシング』、2011年4月に『0.2』を発表。