10月29日(月)〜11月3日(土・祝)写真展|大久保潤[でかける!]

 現在、大久保潤写真展開催中!! 日曜日に企画の姫崎由美さんや、土曜日のゲスト飯沢耕太郎さんたちと展示作業をした。詳しくは↓
http://d.hatena.ne.jp/blanClass/20121029/1351505903(今回、内藤さん、応援団長のときたまさんも助っ人に来てくれた)
 姫崎さんがスチレンボードに隙間なく貼ってきた大久保潤さんが日々撮影をしている写真を眺めながら、飯沢さんは興奮していた。大久保潤さんは知的障害があって、飯沢氏いわく「天然写真家」なのだ。飯沢氏が興奮するのは、アールブリュットなどに括られる絵を描く表現はたくさん見たことがあるが、写真のケースはあまり知らないとのこと。潤さんは絵も描いていて、今回も数点展示をしたが、確かにその写真群は圧巻としか言いようがない。エアコンとか、カーテンとか、日々触れているものものや旅先で出会った、石畳や草木など、少しずつズレながらも、同じ対象を執拗に撮る連続写真。それは撮ることへの執着なのか、対象に対する素直な愛情なのか? カメラが勝手にやってしまっている偶然を避けながら、彼が飽くなき執念で見つめている対象を探す。そうしていくうちに、なんだかカメラと撮影者の眼と、写真への眼差しという一連の複雑さがほどけていくような感触に襲われる。そういえば複雑なのは人々の観念や価値や意味や解釈などの落としどころに対するブレみたいなもののことだった。
 飯沢氏は「潤くんの写真は撮りたいものがはっきりしてるんだ」という。「子供の写真みたいにブレてないんだよ」と。子供は素直だけれど、逆に短絡的なまでに保守的だったりするから、いろいろなものに、いろいろなことを簡単に重ねあわせてしまって、毎秒ごとにブレてしまうのかもしれない。
 どちらにしても大久保潤さんの日々の写真は、今まで見たことのない、写真装置と人間の関係を示しているようなのだ。写真を抱えて自家中毒している人も、そうでない人も、これは必見の写真世界です。
 土曜日のLive ARTでは飯沢耕太郎氏が大久保潤さんの写真世界、「写真の原点回帰」について、企画の姫崎由美さんと一緒にトークします。いつもより早い15時スタートです。ご注意ください。


こばやしはるお
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写真展|大久保潤 [でかける!]
http://blanclass.com/japanese/schedule/20121029/


期間:10月29日(月)〜11月3日(土・祝)
時間:12:00-19:00(最終日のみ-17:00)
料金:無料


関連企画|トーク
飯沢耕太郎 [天然写真家、現る!]
日程:11月3日(土・祝)15:00ー
料金:一般:1,000円/学生:800円

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写真・大久保 潤 Jun OKUBO

  • 1970年生まれ。1990年都立園芸高校卒業。学生時代に絵画教室「星の子」、書家・岡本光平の墨絵ワークショップに参加し、絵画制作を行なう。19年前より、24枚撮りフィルム1本分の写真を、毎週撮影し続けている。1997年より社会福祉法人かれん(神奈川)と、1996年よりNPO法人CES・八王子生活館所属。2001年、絵画作品での個展「色色の色」(東京・ギャラリー五峯)開催。以降、グループ展やTシャツ展に作品を出品している。2011年、写真での初めての個展「ちょっと訪ねたカンボジア」(東京・Green Café Saigohyama)開催。
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企画・姫崎 由美 Yumi HIMESAKI

  • 2009年、知的障害者のポートレイト写真「gifted−誰かが誰かを思うこと−」で、第15回酒田市土門拳文化賞受賞。本業は知的障害者・ケアホームのスタッフ。写真を通して障害のある人と社会を結ぶ一助となるような活動にも取り組んでいる。