参院選へGO! 参院選ビフォアー&アフター2013

 6月と7月のblanClassは1つのテーマを設定しました(6/1のステューデントナイト以外)。きっかけは、眞島竜男が衆院選以来(参院選まで)続けている「今日の踊り」のまとめイベントをしようという話。ならば、いっそのこと2ヶ月間、blanClassすべてのイベントを「参院選」や「選挙」をテーマにしたイベントで固めてしまおう、ということになりました。
 前回の衆院選の結果にうんざりするだけではなく、もしかしたら決定的に変わってしまうかもしれない社会の直前で、ささやかでも何か言っておけないだろうか? 世の中がどんなに変わってしまっても、変わらず「本当に必要なものは何か」を考えること、一日一日をユニークな経験として受け入れ続けていくこと、与えられる「答え」をはね除けて、そもそも「答え」が欲しいわけではなく、変化そのものを生き抜くこと、そういうあたり前のことを再認識したいと思ったのが、企画内容のすべてです。
 2000〜2010年までの10年を振り返って「どんな時代だったか?」と、いつか誰かに聞かれることがあるとすれば、迷わずに「閉塞感」と答えるでしょう。
実体経済があるベクトルで行き詰まっていたのは事実ですが、その「閉塞感」だって、実体のない空気のようなものでした。それどころか、「閉塞感」は経済的な意味で、もっとも売れたトレンドでした。「閉塞感」は単なる商品だったのです。
 そんな流行に反して、世の中の水面下では、これまでの市場では商品になりにくかった、様々な価値が見直され、多様な問題を解決していこうとする、失敗を怖れない地道な実験や実践が、社会化し、定着し、今正に芽を出してきています。
 そんなとても大事なタイミングで、「アベノミクス」は何をしてくれているのでしょう? そもそも失敗を怖れて発明の心を失った巨大企業の堕落が生んでいる現在の経済状況に、なぜまた得体の知れないムードでバブルを呼び戻す必要があるのでしょうか?
 とっくに利を失った「戦争ビジネス」に執着することや、人々のカジュアルな思想とは、かけ離れた国益をかざして社会が右傾化してしまうことも鬱陶しいのですが、きっと多くの拒否反応もあるはず。それ以上に、またしても金融経済だけに頼った、消費誘導型の社会に逆戻りしてしまうことのほうが恐ろしい。失われた20年に膨れ上がっている消費欲は、人々をきっと馬鹿にしてしまわないだろうかと…。
 参加していただくゲストの方々は、これまでに選挙を問題にされた方も、そうでない方もいますが、次の参院選の前と後を一緒に目撃しながら、その変化を見届けて、来る未来を考えてみようと思います。
 スターターは粟田大輔氏がLive Artに初登場します。「約束する」という、極めてパフォーマティブな言語の行動と発言の一致と不一致を考察します。

 金曜日の「拡張計画」月一ペースのレクチャー&トークイベントは、CAMP[translations|戦争について #7|Seoul Decadance - Joke and Power」。下記のステイトメントをお読みになってからご参加ください。


こばやしはるお
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[1]CAMP[translations|戦争について #7|Seoul Decadance - Joke and Power]
Okin Collective(アーティストグループ)、水田紗弥子(キュレーター)

今回の「translations / 戦争について」は、Okin Collectiveの新作"Seoul Decadence"から考えます。事実が不特定の誰かによってコントロールされること、権力のシステムについてが、Okin Collectiveの作品の関心とテーマの一つにあります。それはある種、現代の民主主義のなかでの「戦い」のようなものではないでしょうか。諸事情により"Seoul Decadence"の上映などはできませんが、以下の作品についてのステートメントを事前にお読みにいただき、ご参加ください。当日はUstreamの配信も行う予定です。

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Okin Collective_Seoul Decadence_Single Channel Video, HD_00:48:00_2013
Actors_Hanchang Lim, Jung-geun Park
http://okinokin.tumblr.com/post/50310345251/new-work-seoul-decadence-2013
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大韓民国の国民であり、ツイッターのユーザーであるPが、北朝鮮祖国平和統一委員会の公式ツイッターについて言及しリツイートなどを行った。2011年 9月21日に、Pの家は京畿地方警察庁に差し押さえられた。その後の14ヶ月間の間に、彼は国家保安法の下で利敵行為を行っているとして一連の捜査と裁判を経験した。
最高裁判所によると、Pは北朝鮮のメディアであるUriminzokkiriのYouTubeツイッターアカウントなどのウェブサイトから"利敵"素材を入手しそれを配布したことによって国家保安法を侵害した。このような行為を行うことによって、検察側はPが北朝鮮と手を結んでいると見なしている。
しかし、オンラインとオフラインの両方のPの友人の意見は、裁判所との意見とかなり食い違っていた。決議は最初の裁判でのPの最終弁論とも一致しなかった。その当時、Pは24歳で父の与えたカメラスタジオを運営していた。そして北朝鮮のアカウントについて言及したツイートの"流布"は、彼の日常の部分も交えた、時には度を超えるようなジョークを含むものだった。
Okin Collectiveは、Pの声明と裁判の決定に大きな相違点に関して疑問を抱いている。Pの声明は一語一語見解を述べたものではないかもしれない。また、彼の態度とジェスチャーは韓国の裁判所には適していないのかもしれない。そして彼の見た目にどこかしら違和感があるのかもしれない。
Seoul Decadanceは、Okin Collectiveの、Pの声明の本来の意味を伝える取り組みの記録である。プロフェッショナルのトレーナーを招き、最大限に正しくかつ効果的にPの声明が伝わるにはどのような振る舞いをしたらよいのか教えを受けた。最近、Pは裁判所へ控訴をしており、二審は2013年4月23日に始まり、進行中である。

Seoul DecadanceというOkin Collectiveの作品のタイトルは、Pのツイッターアカウントから名付けられている。
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日時:2013年6月7日(金)19:30〜22:00 ※開場は19:00
定員:30人(予約制) 参加費:1,200円/1,000円(学生)
言語:韓国語、日本語

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Okin Collective|オキン・コレクティヴ

  • Okin Collective is an artists’ group, which consists of Hwayong Kim, Shiu Jin, Joungmin Yi, named after Okin Apartment complex in Jongno-Gu, Seoul. In July 2009, a group of artists visited one of their colleagues who lived in the complex, which was set to be torn down soon. It was during this eviction process that they began exploring the tragedy surrounding the other tenants’ situation in the name of a redevelopment project, with traces of those who had already moved out from the complex still lingering. It was also a way of looking into how the historicity, speed and avaricious urban planning taking place in Seoul and damaging people’s lives. Thus, it was during this time when Okin Collective was formed.
  • In the midst of the city’s redevelopment project, no space is exempt from receiving “death sentences” out of the blue in the form of forced evictions and harassing situations. What Okin Collective considers most important is not raising the pros and cons of the redevelopment project, or even the specific interests of the community members, but rather in broadening people’s views and attitude about such incidents. Though the collective was started in one particular place, the activities of Okin Colletive center on remembering multiple “Okin”s which continue to take place all around Seoul even after Okin Apartments was torn down. This can be accomplished by exploring your city, being kind to others, carrying out your own research, taking part in entertainment activities, and tenderly bringing together art and everyday life. As a result, Okin Collective is still pursuing these activities which they are very concerned about.

http://okin.cc

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水田紗弥子|Sayako Mizuta

  • 1981年生まれ。武蔵野美術大学大学院芸術文化政策コース修了。若手アーティスト支援の仕事を経てインディペンデント・キュレーター。展覧会企画として、シリーズ企画展覧会「入る旅人 出る旅人」(2012)「皮膚と地図? - 記憶と時間への近づき方」(新宿眼科画廊/2011)、「皮膚と地図 - 4名のアーティストによる身体と知覚への試み」(あいちトリエンナーレ入選企画/2010)、共同企画「柔らかな器」がある。韓国のGyeonggi Creation Center(2012年6月-8月)に、Incheon Art Platform(2013年1月-3月)にリサーチのため滞在。Tokyo Art BeatとART遊覧で展覧会レビューを寄稿。「comos-tv」の企画・運営にも関わる。
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CAMP http://ca-mp.blogspot.com/
〈予約について〉予約フォームかメールでご予約ください。
〈予約フォーム〉http://bit.ly/LXO3ao
〈予約方法詳細〉http://ca-mp.blogspot.jp/2008/06/blog-post.html
〈メールアドレス〉notesoncamp@gmail.com
〈メールのタイトル〉キャンプ予約
〈メールの本文〉1)イベント名 2)氏名 3)メールアドレス 4)参加人数
〈当日の予約について〉予約受付を終了していなければ可能です。予約確認のメールをお送りできないことがありますが、お気軽にお越しください。会場の準備などがありますので、お知らせいただけると助かります。ご協力よろしくお願いいたします。
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[2]レクチャー&ワークショップ|粟田大輔 [約束について]

「約束」を交換、代理、委託する(約束を約束する)。公約や口約束など「約束」のあり方はさまざまです。いまだ果せていない約束を告白し、それらを互いに引き受けることができるのかどうか。「約束」について時制の観点や交換、代理、委託といった行為を介して考えてみたいと思います。

日程:6月8日(土)
開場:18:00 開演:19:30
一般:1,200円/学生:1,000円

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粟田 大輔|Daisuke AWATA

  • 1977年生まれ。美術批評。アート専門のインターネット放送局「comos-tv」の運営メンバー。論考に「書き換えられるシステム」、「ポスト消費社会と映像の再生産」などがある。

http://comos-tv.com/