3月26日(土)藤川琢史[5…10…20…30…36…43]

土曜日のLive Artは藤川琢史が3年ぶり2度目の登場!!


今回のイベントのタイトルは、5…10…20…30…36…43、という謎の数字の連なり。これは「フィガロの結婚」の冒頭でフィガロが物差しを手に、なにかを測っているところで歌われる歌詞なのだそうだ。オペラの冒頭を飾るシーンとして、なにかの始まりを予兆させるには、もってこいの振る舞いではないか、と思ってしまった。


前回のパフォーマンス[scales]はなにもない空間にメジャーを当ててなにかを測っている様子から始まった。


なにかの計画を遂行すべく、その準備のある段階で、メジャーを持って、なにもない空間を測りながら考えている人を、藤川が眺めたことから、このシリーズは始まった。きっとメージャーを持つ彼の頭の中には、その後形になっていく、棚なのか、計画の全貌なのか、未来の姿がイメージされているのだろう。


IKEAには紙のメジャーが、メジャーを忘れがちのお客さんのために用意しているが、ホームセンターなどに行けば、黙々とサイズを測りつづける人に出くわすだろう。


実は、私は極小のメジャーを持ち歩いているので、気になるものがあると測るのを習慣にしている。メジャーを忘れているときでも、自分の体の部位や持ち物の寸法と比較して、いろいろなもののサイズを確認したりしている。


そうした考えを整理するために結果的に示される行為を切り出して、眺めるというのが、このシリーズのコアになっているのだが、前回のパフォーマンスではそこから、作家自身がその企画自体を悩んできた様のほとんどを暴露しながら、なお悩んで答えに至らない様子をそのまま見せてくれるというものだった。


もちろんすべてが素のままの藤川自身が提示されたわけではないのだが、彼の優柔不断さは、私の知る限りトップクラスの本格派。


今回も「あーでもない、こーでもない」と示されるであろう、ポジティブな優柔不断さをぜひ受けっとって欲しい。




こばやしはるお
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

イベント藤川琢史[5…10…20…30…36…43]
http://blanclass.com/japanese/schedule/2016032/
https://www.facebook.com/events/944794228961077/


距離を明らかにする。
目の前にあったはずのそれへ向かって測りをあてることで確かめようとした。
それをうまく置き換えられないように感じて繰り返し試しては諦める。
2012年から継続するプロジェクトから。


日程:2016年3月26日(土)
開場:18:30 開演:19:30
一般:1,500円(ワンドリンクつき)

                            • -

藤川 琢史 Takashi Fujikawa

2013「scales(仮)」(blanClass)