6月8日(土) ★★シリーズ SakSak#14 小山 渉[Phantasma / みえてくるもの]

今週の土曜日、6月8日はSakSak#14、ゲストにアーティストの小山渉さんをお迎えします。

 

blanClassでは初登場の小山さん、僕は彼の卒業制作くらいから、なんだかんだいろいろと作品を見てきて、先日、北千住のBUoYで行われた彼の個展も見に行ってみた。

そこでは、大学の卒業制作から新作の映像や写真など、いくつかの作品を時系列的に配置したインスタレーションを発表していた。

 

彼の制作の中心的なテーマは「幽霊」なのだけど、それは彼自身が中学校の3年間をほぼ全て不登校で過ごした中で、たった1日だけ学校に行ってみた日の経験と結びついている。

久しぶりに学校へ行ってみたら、周りの人からは自分が見えているの?というくらい、ふわふわした存在のような自分が、幽霊になったかのようだったらしい。

実際には、周りの人から見た彼の姿や存在が、どう認識されたか分からないにも関わらず、彼が、自分で自分のことを幽霊だと思ってしまったところが、面白いところ。

 

今回のイベントでは、「洞窟の比喩」をモチーフにした参加型のパフォーマンスを予定している。

「洞窟の比喩」とは、プラトンイデア論を説明する際に用いた比喩の一つで、それは洞窟の奥で壁を見続けるように身体が拘束された状態の人、その反対側には火、その中間に火の灯りを利用して壁に影を作り出す人物がいる。拘束された人は映し出された影を見続け、その影が世界の実体だと思い込んでいる、という感じ。

彼が中学校で「幽霊」になったときの話を、この洞窟の比喩に当てはめてみると、火、影を操る人物、拘束された人々、壁に映し出される影のそれぞれが別々の何かというより、この4つの役割全部が彼の中でループしていて、幽霊の影を自分に投影しているようにも見えてくる。幽霊の影ってなんだろう。

 

イベントは参加型ということなので、比喩の中の、火、影を操る人物、拘束された人々、壁に映し出される影のそれぞれに、今度は役割を振ってみて、複数の人で何かやってみる、という感じなのだろうか。

もちろん、その様子をさらに外側から捉える目も必要で、それぞれの場所から見える影の形も違うはず。

実も像も影も、なるべく複数の視点から見届けたいので、少しでも興味のある方はぜひご参加ください。

 

野本直輝

 

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2019/5/31/小山 渉/blanClass放送室

ゲストの小山渉さんとのblanClass放送室も公開しました。blanClassには初出演の小山さんに、制作の中で大きなテーマになっている「幽霊」的な経験談から、最近発表した作品、そして今回のパフォーマンスについて、いろいろお話ししてもらいました。


2019/5/31/Wataru KOYAMA/blanClassbroadcasting

 

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SakSak #14 小山 渉

Phantasma / みえてくるもの|参加型パフォーマンス

blanClass webページ http://blanclass.com/japanese/schedule/20190608/
facebook イベントページ https://www.facebook.com/events/438650620046196/

 

暗い洞窟、火の揺らめき、前方のみを見続ける囚われた人々、影によって作り出されるイメージ、イメージを操作する者…

私はこれらの要素を含んだプラトンの”洞窟の比喩”に、実際のイデアにまつわる内容よりも、そのイメージ自体に強く惹かれてきました。

今回はそうした“洞窟の比喩”をモチーフに“みえてくるもの”を探ってみようと思います。

 

出演:小山 渉/企画:野本 直輝

日程:2019年6月8日(土)

開場:18:00 開演:18:30

料金:1,000円+投げ銭

会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)

https://goo.gl/maps/Q7Aat7nBarE2

アクセス:京浜急行「井土ヶ谷」駅の改札出て正面の信号わたりすぐを左折、一つ目の交差点を右折、二つ目の角を左折、三井のリパーク後ろ、blanClass看板がある細い段々を上がって右の建物2階

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小山 渉 WATARU KOYAMA
1992年東京都生まれ。2016年東京造形大学卒業。
主な展示に”Untouchable”(北千住BUoY 2019)、 ”作品を「飾る」#1 ”( 相模原SOS@相原スタジオ 2018)、”Escape”(アートセンターオンゴーイング 2018)など。
https://watarukoyama.jimdo.com

SakSak
SakSakでは、誰かが発する表現を手掛かりに、その先を一緒に考えながら、その思考を交換することができる場の可能性を模索します。そのために取り敢えず、粗くてもろい、隙間だらけの場を想像してみる。(野本直輝)
https://saksak.localinfo.jp
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