さるとわに

 先週の土曜日(2月6日)は、ヤング荘の「紙芝居やります」。紙芝居の演目は「さるとわに」だった。私はてっきりオリジナルストーリーだと思い込んで観ていたから、その物語の教科書のような展開にびっくりした。あとでインドから世界に伝わったとても古いお話だと聞いて、なるほどと合点した。(日本の民話には「骨抜きくらげ」というものがあるそうだ。)
http://tenjiku.net/panchatantra/sarutowani.htm
 まさに物語の教科書だったのだ。ヤング荘の津山くんがポツリと「誰も得をしない」と言っていたが、「いつわり」を軸にクライマックスを迎えるストーリーは、しかし、無垢なるものたちの誠実さや友情によって支えられている。
 また、三人称からはじまり、モノローグ、ダイアローグに転じ、とうとう3人目の登場人物によって、ほんの少しなのに、絶対にほどけないような複雑さが物語を縛る。「男・男・女」の物語の典型、シェークスピアの「オセロ」とか、ヌーベルバーグなんかまでグルグル思い出してしまった。
 紙芝居に集中しようとしても、後ろに控えるお揃いの服を着た3人の異様な雰囲気が気になってしょうがない。そんな作品だった。久々の安野くん(紙芝居の作画を担当)の参加で彼の独特なタッチのキャラクター(イラスト)がプラスされ、懐古趣味的なヤング荘の閉じた世界にちょっとした奥行きが加わった感がある。今後の展開が期待される。
 ヤング荘が現在取り組んでいるプロジェクトは、福島県田村市にあるUDCT(東京大学田村市のプロジェクト機関)でおこなっている「たむらかるた」というものがある。地元の人々の写真と川柳による地元のかるた(「上毛かるた」みたいなもの?)、昨年12月におこなったワークショップの様子が↓で見られる。
http://www.udct.jp/?s=%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E8%8D%98



小林晴夫