2月2日(金)The personal is political, The political is personal, and that is aesthetics|個人的なことは政治的なこと、政治的なことは個人的なこと、そしてそれらは美的なこと|笠原恵実子

 英語で「The personal is political」という言葉は60年代以降のアメリカで学生運動フェミニスト運動のスローガンとして盛んに使われた言葉であります。私がこの言葉を知ったのは、リベラルな教育で有名であった私の通っていた中高の女性教師が熱く語ったからだろうと推測しますが、ヤルタ体制下で平和ボケした日本に育った私にとっては、当時あまり臨場感のないものでありました。しかし、80年代後半から作品制作を始めたころからこの言葉は私の頭の中に蘇り、様々な判断をする際の重要な指針として、私と私の制作を支えてきました。この言葉のように、個人的なことから発する美を政治的な視点へと繋げることを、私は制作を通して行ってきたと思います。


 この3-4年前から日本に住み始め自身を取り巻く政治的状況が大きく変わり、私はThe personal is politicalと考えるよりもThe political is personalと主語を逆転し考えることが圧倒的に多くなりました。それは私的な視点を政治的に広げていくこととは違ったことであり、政治を個人に引き寄せなければいけない現実との対峙でありました。脱構築的な関係にある二つの言葉、「個人的なことは政治的なこと」と「政治的なことは個人的なこと」の二つの視点を持ってアートを考える、今そんなことを考えています。


 今回皆さんとThe personal is politicalという言葉について考え、The political is personalである私の今の状況やそこから始まるアートについてお話しできたらと思っています。私は今回のアートでナイトでは、誰にでもあるそれぞれの政治的状況を共有し、今後その状況をどのように変えていきたいと思っているのかを語り合いたいと思っています。



かさはらえみこ

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特別セッション
アートを共に語る会笠原恵実子 アートでナイト#4[The personal is political, The political is personal, and that is aesthetics|個人的なことは政治的なこと、政治的なことは個人的なこと、そしてそれらは美的なこと]
http://blanclass.com/japanese/schedule/20180202/
https://www.facebook.com/events/622628414795333/


今回は皆さんとThe personal is politicalという言葉について考え、The political is personalである私の今の状況やそこから始まるアートについてお話しできたらと思っています。私は今回のアートでナイトでは、誰にでもあるそれぞれの政治的状況を共有し、今後その状況をどのように変えていきたいと思っているのかを語り合いたいと思っています。


日程:2018年2月2日(金)19:30〜21:30
入場料:1,600円(ワンドリンク付)/学生:800円
場所:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)

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アクセス:京浜急行「井土ヶ谷」駅の改札出て正面の信号わたりすぐを左折、一つ目の交差点を右折、二つ目の角を左折、三井のリパーク後ろ、blanClass看板がある細い段々を上がって右の建物2階
http://blanclass.com/japanese/about/map/

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笠原 恵実子 Emiko Kasahara
アーティスト。初期は身体を通じて女性と社会との関係性を考察する彫刻作品を制作。近年は性別や宗教、国籍や言語など社会を規定する制度とその状況についてフィールドリサーチを実施し、その記録を元に制度の曖昧性を示唆する作品を多岐に渡る手法で制作している。主な展示に、PARASOPHIA:京都国際現代芸術祭2015、ヨコハマトリエンナーレ2014、『キュレトリアル・スタディズ04笠原恵実子−inside/outside新収蔵作品を中心に』(京都国立近代美術館、2010)、シドニービエンナーレ(2004)、光州ビエンナーレ(2001)など。