今週の+night↓
http://blanclass.com/_night/archives/3712
クロタヌキ [フライドポテトナイト〜別件の心配事にかたつむりをそえて〜]
Q.あなたの将来設計は? ポテトという言葉を必ず使って答えてください。
A.老後にそなえて貯金したいです。ポテトって本当にいいものですね。
日程:11月6日(土)
開場:18:00 開演:19:30
入場料:1,000円/学生 800円
今週は2009年結成のアートユニット「クロタヌキ」の登場!! 美術家2人と歌人1人の異色のユニットだ。メンバーの窪澤瑛子は7月10日(土)にも河原田隆徳+ゾーハウ・コーヘン+ノブナガケン(パーカッション)とのコラボレーションで[パラレルズ Parallel Zoo]というタイトルで+nightに企画・出演している。
アーカイブ↓
http://blanclass.com/_night/archives/1779
コラム↓
http://d.hatena.ne.jp/blanClass/20100706/1278397767
この窪澤という人は自身黙々と作品を制作する傍らで、なにやら企てをし、人を巻き込むことに長けていると、その7月のパフォーマンス中、新聞紙をグチャグチャにしてからノリづけしてつくった彫刻を仮面に(これは河原田+コーヘンの指示による)かぶり、そのなかでクックックックと終始笑いつづけていた窪澤を眺めながら、そう思った。
この窪澤/河原田+コーヘン:コラボレーション企画の話はそもそも「BankART AIR Program」(2010年4月-6月・BankART NYK)で一緒だった吉本伊織の紹介で波多野がセッティングしたものだった。
私もすぐに紹介してもらって、BankARTで会ったときに、窪澤が「クロタヌキ」というユニットのメンバーであることもすでに耳にしていたし、5月9日(日)にクロタヌキが黄金町のL CAMPの1日店長をやると言うので、吉本伊織と遊びにいったりもしていた。カウンター越しにメンバーの1人、神山藍輔もいて、この人は「なんかどこかで会った」気がした。それもそのはずで、実は今年の2月に私は新宿でクロタヌキの展覧会を見ていたのだ。(そのときにはお目にかかれなかった歌人の五島諭氏は仲間の歌人と2階で和歌談義に花が咲いていたのだそうだ。)
それなのにそのときはモヤモヤしたままで、結局、7月10日の公演が終わるまで、私が見た展覧会とクロタヌキが一致しなかった。たぶん、インタビューの後になぜだかフッと前ぶれもなく思い出した。
私が見たのは「レジェンド・オブ・ボンズ・フリーマン展/クロタヌキ+Jacque.Linu+T.J.L.Jr.」(2010年2月19日-24日・新宿眼科画廊・東京)のことだ。最終日にほかの部屋でやっていた窪田久美子展を見にいって偶然見かけた展覧会だった。
その展覧会は、画廊のエントランス部分を占領して、60年代のオーストリアを席巻した伝説の男、ボンズ・フリーマン(たぶん架空の人)へ捧げるオマージュという仕立ての展覧会だった。ボンズ・フリーマンにまつわるモノモノがおもちゃ箱をぶちまけたように雑多に展示されていた。DMが見つかったので、そこに書かれているコピーをここに掲載する。
61年秋のドラムショックはオーストリア経済に大打撃を与え、人々は生きる意味を失いかけていました。そんな時代にあって、ボンズ・フリーマンは数々の伝説を打ち立てていきます。テーブルライトを飲み込んで自ら発光する「人間ライト」や「自転車片手曲げ」など、ばかばかしいほど滑稽で、それなのに胸の奥が熱くなるようなボンズのパフォーマンスは、オーストリアの人々の希望の星となっていったのです。
今回の回顧展では映像やポスターなどを交えて様々な角度から人間ボンズの魅力に迫ります。「自転車片手曲げ」の自転車をはじめとしたボンズゆかりの品々には、ボンズ自身の魂の震えが今も息づいているでしょう。そして、その響きはきっと皆さん一人一人の魂と深く共鳴するに違いありません。
「その異様さと過激さゆえに、ボンズは歴史の闇に封印されてきました。彼の“遠吠え”が時代を超え、アーティスト達によって蘇ることを非常にうれしく思います。」(妻:ルーシー・フリーマン)
クロタヌキというユニットの不思議さが少しは察してもらえるだろう。今回のクロタヌキはそのタイトルからもわかるように「フライドポテトナイト」にまつわる事件が起こるらしい。公開インタビューでは、3人の役割分担というか、どうやって話し合ってつくっているのかをじっくり聞きたいと思っている。
こばやしはるお