AZBY BROWN [SEMI-AUTOMATIC]

今週の+night↓
http://blanclass.com/japanese/

AZBY BROWN [SEMI-AUTOMATIC]

アズビー・ブラウンが最近手がけている未公開の映像作品を上映します。作中にみられる、複雑で抽象的なイメージは作家自身によって作曲されたサウンドによってコントロールされていたり、サウンドがイメージに触発されて発生していたり、別の側面では画像合成モジュールによって時間の経過とともに、さらに変更が加えられるなどという、パラメトリックな画像処理システムによって生成されている。それは、「絵画」や「コラージュ」の概念を「時間の領域」に拡張する試みであり、最近のブラウン自身による脳科学研究が反映して、「ヒトの視覚処理システム」について、ひいては「人間の理解力」の境界、限界の探求でもある。

日程:2011年3月12日(土)
開場:18:00 開演:19:30
一般:1,200円/学生:1,000円

アズビー・ブラウン Azby BROWN
アーティスト/金沢工業大学未来デザイン研究所所長
1956年米国生まれ。イエール大学にて彫刻/建築を学び1980年卒業。東京大学大学院工学部建築学修士課程を1988年修了。日本建築/デザインについての代表的な著書として、「The Genius of Japanese Carpentry」(初版1989・講談社インターナショナル)、「Small Spaces」(初版1993・講談社インターナショナル)、「The Japanese Dream House」(初版2001・講談社インターナショナル)、 「The Very Small Home」 (2005・講談社インターナショナル)、「Just Enough」(2009・講談社インターナショナル/今秋日本語版が出版される)がある。
http://wwwr.kanazawa-it.ac.jp
http://www.justenoughjapan.com


 今週は、現在募集している「+ART ENGLISH TRAINING 2」の特別ワークショップもお願いしているアズビー・ブラウン氏が+nightに初登場してくれる。
 前回の「+AET」でも「Art Words and Ideas (in English)」というタイトルで5回の講義をしていただいたのだが、彼は1992年からBゼミで継続して講義や演習の授業を受け持っていただいた。その講義内容はBゼミの頃と変わらずARTを中心にさまざまな裏道に枝分かれしてゆき、ICチップや回線のようなミクロの世界、建築や都市のような俯瞰的な視野、ネット空間の散歩道、バーチャルな未来予想図、ネイチャーにはじまって脳内や手仕事のメカニズムを解明するようなサイエンスにいたるまで、まるで収まりのきかない「おもちゃ箱」のように自由に展開していく。
 作品はというと、これまた多様な技術、手作業、宮大工のような高度な構築技術、演出のような能力、デジタル技術まで駆使、それに加えて、躊躇のないナイーブさまでも引き受けたユーモアをも兼ね備え、多様にアウトプットしている。
 ほかにも日本文化の研究家として略歴にも触れているように執筆活動もしているのだが、そのどの仕事にも共通して「人間の理解力」とはどんなメカニズムなのかということが、興味の中心にあるようだ。
 今回、+nightで発表していただく映像作品はここ数年、彼が夜な夜な仕込んでいた未発表のものばかり。素材を選択し、ある程度の方向性を示した後は、半分はソフトにまかせて自動処理をするという行程でつくられた[SEMI-AUTOMATIC]シリーズ。
 2月14日収録の「blanClass放送室」に出演してもらったときにもお話ししたのだが、彼が長年作品制作を考える手がかりの1つが、20世紀の絵画が獲得した「コラージュ」という考え方だったという。そして[SEMI-AUTOMATIC]という一連の映像作品は、この「コラージュ」という概念を「時間の領域」に拡張する試みでもあるというのだ↓
http://www.ustream.tv/recorded/12691747
(放送室:ゲストAZBY BROWN)

 「コラージュ」といえば、20世紀初頭の絵画運動のなかで、たとえばセザンヌに触発されたキュビストたちの世界を把握する知覚や認識のあり方の1つの答えとして、またチューリヒで勃発したダダイストたちの偶然性を取り込むための1つの回答として発明された。当初から、人間がものごとを理解するその仕組みを考える上でも、驚くほど的確で豊かな実践になっているし、その後今日にいたるまで、何度となく新たな2次元の表現の可能性を開いてきた手法なのだ。昨日の放送室でほんの少しだけ具体例を挙げて「コラージュ」について話したのでそちらもどうぞ↓
http://www.ustream.tv/recorded/13154508
(放送室:「コラージュ」について、第1次世界大戦後の都市風景、PICASS0、BRAQUE、KURT SCHWITTERS、MAX ERNST、DAVID WOJNAROWICZなど)

 アズビー・ブラウンの[SEMI-AUTOMATIC]は、見るものが、意味や質や肌理や形などといった、いうなれば理解しようとしてしまう突起のようなものに満たされていて、頭のなかをグルグルまわっていくイリュージョンなのだ。止まることのない知覚と認識の嵐のような体験にご期待あれ!!


Max ERNST:「慈善週間」第4章「エディプス」より


こばやしはるお