横浜トリエンナーレまもなく終了します。
https://www.yokohamatriennale.jp/2024/
現在開催中の第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで⽣きてる」に「小林昭夫とBゼミ」という名義で、父の作品と創設当時のBゼミ資料が展示されております。blanClassのメールニュースやコラムでは、BankART Life7で出張参加しているイベントの情報を主に配信してきましたが、遅ればせながら告知いたします。
今回のトリエンナーレは章立てになっていて「小林昭夫とBゼミ」が展示されているのは「密林の火(fires in the woods)」という章、過去に起きた活動と現在進行形の活動が同じ場に響き合うように配置されています。
Bゼミが創設されたのは1967年10月なので、それから50年以上の時が流れております。当時、創設者の小林昭夫は旧態依然としている日本の美術教育と既に表出しているコンテンポラリーな表現との間にあるギャップに憤りを持って、その小さなシステムで対抗しました。
トリエンナーレのアーティスティック・ディレクターであるキャロル・インホワ・ルーとリウ・ディンと、一昨年から何度かお会いしてBゼミや小林昭夫について話すうち、自力で奮闘するBゼミ周辺の動きに興味を持ったのでしょう。あるいはBゼミを「野草」ならぬ、雑草のようだと思ったのかもしれません。何か底流のところで気があったというのか、説得され、今回の参加になりました。
すでに見に行かれた方は、仮設のパーテーションに囲まれるように展示されている「小林昭夫とBゼミ」コーナーのど真ん中になぜか張られた赤いテントが何なのか、訝しく思われたかもしれません。リウ・ディンから父が1969年の第2回Bゼミ展に出品した唯一のインスタレーション作品を出してほしいと、特に頼まれて実現したのがその赤いテントです。ちなみのこのトリエンナーレには「野草」とは別に裏テーマの「テント」があり、様々なシュチュエーションの中で必然的に現れる「テント」という存在が展覧会中にもいくつかのサイトに張られているのです。
オリジナルの作品は綿帆布を牛の血に浸して染めたもの、それが1969年の制作ということで、父からは作品のコンセプトや制作方法を詳しく聞いていたわけではないのですが、横浜や牛や米軍やベトナムのことなどが、私の頭をよぎり、今のご時世のことも考えて、テントをリメイクしました。リメイクではリネン布と染料を使っていますが、オリジナルは1週間ほどの展示の間に濃い茶色へと変色して、異臭を放っていたそうで、実際に目撃した私の姉などは恐ろしくなって、家に帰ってからもしばらく泣いていたのだそうです。
旧来の教育のあり方を批判して「学習」を真摯に取り組んだBゼミでしたが、現在私が取り組んでいるblanClassの活動は、学習を出発点に、もはや学習でもない、もっとよくわからない人々の営みや取り組みや思考そのものを、その協働の仕掛けを何とか探してきたつもりです。
キャロルとリウ・ディンがその章で示そうとしているように、過去の思想が歴史化して葬られてしまうのは耐えられません。過去に考えられたり試されたことは、積み重なったり、階段状に登ったりするわけでもなく、実はいつでもそこに共にあるという時間のあり方を、これからもアーカイブの手法を持って示そうと思います。
会期終了間近のタイミングになってしまいましたが、トリエンナーレの「小林昭夫とBゼミ」の展示にぜひお立ち寄りください。
こばやしはるお(アーティスト・blanClassディレクター)
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「小林昭夫とBゼミ」
生没年(グループは結成年)
小林: 1929–2000 Bゼミ:1967–2004
出生国・地域 日本
会場 横浜美術館
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第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで⽣きてる」
https://www.yokohamatriennale.jp/2024/
2024年3⽉15⽇(⾦)-6⽉9⽇(⽇)
[休場⽇:毎週⽊曜⽇(4⽉4⽇、5⽉2⽇、6⽉6⽇を除く)|開場⽇数:78⽇間]
旧第⼀銀⾏横浜⽀店(横浜市中区本町6-50-1)
BankART KAIKO(横浜市中区北仲通5-57-2 KITANAKA BRICK & WHITE 1F)
クイーンズスクエア横浜(横浜市西区みなとみらい2-3クイーンズスクエア横浜2Fクイーンモール)