2012-03-11 記憶を選ぶ 三木義一 一年前の今日は金曜日だった。 明るい部屋では最後の展示が行われていた。 夜勤明けで、ビートルズの曲を再生しているところだった あてどもなく続くリフレインと長い揺れが、奇妙にシンクロしていた。 今朝、一年振りに同じ曲を聞いてみた。 再生されたのは、想像していたよりもずっと乾いた感傷だった。 思いがけず一時的に停車した電車の中で、同じ時刻を迎える。 あの時と同じように何も考えない時間。 天井の蛍光灯。 踏切の音。 今日は日曜日だ。