記憶を選ぶ

一年前の今日は金曜日だった。
明るい部屋では最後の展示が行われていた。
夜勤明けで、ビートルズの曲を再生しているところだった
あてどもなく続くリフレインと長い揺れが、奇妙にシンクロしていた。


今朝、一年振りに同じ曲を聞いてみた。
再生されたのは、想像していたよりもずっと乾いた感傷だった。


思いがけず一時的に停車した電車の中で、同じ時刻を迎える。
あの時と同じように何も考えない時間。
天井の蛍光灯。
踏切の音。


今日は日曜日だ。