[ふれる/かたどる/よこぎる]へ向けての覚え書き | 町野 三佐紀

静かな震え。
低いささやきが鳴っている。空気、距離、風の音。
耳を澄ますと、多くのうなりに紛れながら、たちあらわれる息づかい。
深く深く、意識の奥深く。低く長い、地響きと波のざわめき。
静寂のなかの低いささやき。聞き取れない声が聞こえる。
溜まりに溜まった静けさは、耐えきれずにはち切れる。
一瞬の閃光。一瞬の破裂。
突然の衝撃は、まるでなかったかのように消える。再び静寂。
残る余韻。
地面より下へ下へ潜る。重力に押しつぶされる。
この器のなかに居られないほどの重み。それは静けさの重み。
身体と意識を超える。脱する。置き忘れる。
静けさとの同化。


まちのみさき(映像作家)