笠原恵実子 [アートでナイト part 2/アメリカ大陸先住民]

今週のイベントは1つだけ。

土曜日のLive Art、笠原恵実子のアートでナイトpart2。2回目のお題は「アメリカ大陸先住民」。前回同様、そのテーマから会場を構成し会話を始めます。笠原さんはゴールデンウィーク中に合衆国中西部に、硬貨を列車で潰すというプロジェクトを実行してきたばかり。これは京都で行われたPARASOFIAに出品した「TSR 14」、シベリア鉄道の線路に硬貨を置いて列車の重みで潰していったプロジェクトに次いで、同様のコンセプトで行われているものです。

大陸の大脈鉄道の計画は、どの地域においてもトップダウンで壮大なプロジェクトであり、その後の地域のあり方を決定付けた計画でもあります。インフラが支えられて、隅々にまで行き渡ることになった、価値の定まった小さなプレス金属を、別の方法で、悪戯(まさに悪戯)のようにプレス直す…。

列車で硬貨を潰すのは、幼い頃の遊びからきているの? と聞いたところ、何年か目の南米で、ほかのツーリストの発言をきっかけに潰した硬貨が跳ねたときに、一瞬で一枚の輝く金属に変わった様子に、インスパイヤーされたのだということでした。

5月のアメリカの旅の道すがら、笠原さんが出会った、ネイティブアメリカンの文化をきっかけに、ざっくばらんなお話をしましょう。


ちなみに、私も、23歳の夏にアメリカ中西部を訪れて、ネイティブアメリカンにインタビュー(あくまで個人的に)をして回ったことがあります。25年以上も前のことなので、現在の状況とはだいぶ変化もあると思いますが、その頃のお話も少しできればと思っています。

ご用意するお食事もネイティブアメリカンに因んだものを準備しております。



笠原さんのワークテーブルより



こばやしはるお

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アートを共に語るご飯会、お題付き
笠原恵実子 [アートでナイト part 2/アメリカ大陸先住民]
http://blanclass.com/japanese/schedule/20150613/
https://www.facebook.com/events/364398727089885/


アートでナイトは気軽に集まって、ご飯食べて時には熱く話をする。日常的にそして真剣にアートを、文化を、政治を、シャッフルして語り合う場。誰かが話す事を聞いて勉強するという一方通行なのでなく、お互いに話す、そういう対等な関係をもつ場です。2回目のお題は「アメリカ大陸先住民」です。

私は現在、アメリカ合衆国を横断する大陸横断鉄道(TransーContinental Railroad、通称TCR)で金属硬貨を潰していくプロジェクト、「TCR 15」を制作しています。今回のお題は、この作品のコンセプト形成に深く関わるものです。PARASOFIAに出品した「TSR 14」はシベリア鉄道において同様のコンセプトで進められたものでした。近代における鉄道の敷設は、資本の集中に加担すると同時に異文化の同化を引き起こしました。つまり、経済力を持ったものの文化が経済力を持たないものの文化に越境していったのです。北アメリカ大陸における横断鉄道の建設は、先住民達の生活圏を分断し、食料体系を破壊し、独自の経済体系に壊滅的な打撃を与えました。多くを失った彼らのその生活や文化を考え、そこから派生する会話を共有できたらと思います。

※隔月で全4回を予定。お題は各回ごとに笠原より提示、そのテーマから会場を構成し会話を始めます。


日程:2015年6月13日(土)
開場:18:30 開演:19:30
入場料:1,500円(ワンドリンク)
※軽食(無料)もご用意しております。

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笠原 恵実子 Emiko KASAHARA

  • 初期は身体を通じて女性と社会との関係性を考察する彫刻作品を制作。近年は、性別や宗教、国籍や言語など社会を規定する制度とその状況についてフィールドリサーチを行い、その記録を元に制度の曖昧性を示唆する作品を制作している。その手法は彫刻に留まらず、写真、ビデオやパフォーマンス、ドローイングなど多岐に渡る。国内外での個展の他にPARASOFIA(2015),横浜トリエンナーレ(2014),シドニービエンナーレ(2004),光州ビエンナーレ(2001)などで発表。

www.emikokasahara.com