今週の Live ARTは、安達裕美佳が初登場!!
彼女はつい最近大学を卒業した。油絵を描いている。が、不意に一連の流れがあるシーン頭によぎるのだそうだ。流れがあるから、絵には描けない。だからパフォーマンスすることにした...。
いろいろと聞いていると、夢を見るような脳の状態で、起きたままそれらのシーンは浮かんでくると言う。
白昼夢だ。
そういえば私も若い頃よく白昼夢を見た。あまりにもリアルに映像が眼前に浮かぶものだから、邪魔で歩くのに閉口した。最近は白昼夢をまったく見ない。夜見る夢も、いつ頃からか、普段起きているようなことと少しだけしか違わない、まるで仕事の延長のような夢ばかりを見るようになった。物思いにも耽らないし、妄想や空想する時間もほとんどない。つまらないと思う人もいるかとは思うが、幼い頃に妄想しすぎたせいか、妄想や空想が大嫌いになってしまったのだ。
とはいえ、頭のなかにイメージがないわけでもない。段取り脳といったらいいか、直近にやることや、少し先にやることなどを、グルグルと20回ぐらいは頭のなかだけで予行演習しないと、なにごとも始められない性分だ。
ほぼ毎日のようにご飯をつくってもう20年強、晩飯づくりもつくる前には20回ほどシュミレーションしている。
大分脱線してしまった...
安達裕美佳のアイデアスケッチは、ものや、ものものの関係や、空間のありかたなどを、常識とか普通とかと思われるアプローチとはズレたところで発見し直している作業のようだ。
けだし、安達の頭に飛来する「流れのある場面」には、いつもオペレーターとしての安達自身がいる。彼女の止まらないアイデアをひとつひとつ聞いていたら、なんだかここ100年の美術の流れのように聞こえてきた。しかし彼女は今時の若者だから、いまや古典になりつつある近現代の美術の中身に、そこそこ疎い。
知らないということは面白いことでもある。竹橋の近代美術館に西洋の画家たちの仕事に類似した、日本の近代画家の絵を並べて置いた展示があったが、あれらは極東の辺境の芸術の、その形の模倣にはじまって歪に展開する特異な文化の有り様なのだが、最近の若い人が無意識に抱えた問題とそのアプローチは、形というより中身が似ている。
超若手のアーティスト安達さんをおよびした経緯は、ご本人が「放送室」で赤裸々に語っている。まるでテキトーにディレクションをしているようにも聞こえるが、どんなキャリアの作家を招くにしても、未解決の問題をとりあえずぶつけてほしいと頼む、というのがblanClassのスタイルだから、若い作家の不安定な表現に対してもできるだけ開いていきたいというのが信条である。
blanClass放送室_2012.05.28 安達 裕美佳
こばやしはるお
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今週の Live ART↓
http://blanclass.com/japanese/
|パフォーマンス
安達裕美佳 [行為かじょうが]
日程:6月2日(土)
開場:18:00 開演:19:30
入場料:800円/学生:600円
様々なことを考えてみる。それは限りなく生まれ出る。脳みそからそいつらを出さなければいけない。考えは脳みそにあるうちは目に見えないが、それなりにその人の方法で具現化できる。その出し方とはいかに。それが出てくる瞬間とは。
何かをするという行為について考えてみる。それは絵を描くことかもしれないし、化粧をすることかもしれない。極素直に、純粋な眼差しで、ものに反応してみる。そしてやってみる。それを表現として。
安達 裕美佳 Yumika ADACHI