池宮中夫ダンスソロより「愛ー空 LOVE-SKY」から|岡田貞子

10月13日にblanClassで池宮中夫ダンス ソロより「愛ー空 LOVE-SKY」を見てきました。前に池宮さんのダンスを見た時に感想文?を書いて以来、何か池宮さんのダンスを見ると言葉を探すことをしています。
そういえば、そのダンス後のインタビューの時に出た「未分化」という単語から、藤井貞和さんが、古代のコトの世界(言事未分化の状態説話内容を指し示すコト) という話をされていたのを思い出し、その状態は池宮さんのダンスに繋がるなぁとぼんやり思ったり。

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  眠ると夢を見て、知っているらしい部屋の中にいる。
その部屋の本棚には読んだはずの、読まれるはずの沢山の本が並んでいる。
壁や天井には赤や青や黄色の電球なんかがぶら下がっていて、誰かが絡まったコードと繋がるボタンを押して、何かの合図を送っている。
いつも表は夜なんだけど、人がいない時は明るいときもあるらしい。
  そこにいる大きなものが、慣れた手つきで窓を外す。
その流れる様な仕草からそれを長く生業としているようにみえる。
大きなものが窓を外すと建物の躯体があらわれて、外も内も繋がっている平面の中にいた。メビウスの輪の中に迷い込んだ様な錯覚を覚える。
にもかかわらず「ここにいること」を思い知らされ打ちのめされる。
そして、明日のパレードの予行演習ということが毎晩つづくキミドリの谷で迷子になるんだ。
  そこにある厚手の袋の中には、うごうごと動く生暖かいものやガラガラと回るガラクタが入っている。
機能的かもしれないけれど、だいたいのものはそうでもないらしい。
袋の外側には雲が発生していて、それに長い物や細かい物が絡まっている。
私には、その厚手の袋がどういう仕組みで動いているのかは分からないのだけれど、穴からは風が吹いている。
 
  絶滅した恐竜は鳥になったという。それは空で生きるためだろうか?それとも生きやすい場所を探すためだろうか?愛おしむという行為は地上で行うべきだろうか?
羽はパックリ空いた背中の肉から生えてくるのだろうか、大きく振り回している腕が翼に変わるのだろうか? 
どちらにしろ、 ー(ダーシ)は変化(ヘンゲ)するらしい。


おかだていこ(アーティスト)


岡田 貞子 Teiko OKADA

  • 1974年大阪府生まれ。2003年Bゼミ Learning System 修了。絵画作品を多く手がけているが、自作の絵やインスタレーションのなかで朗読劇を展開している。言葉や擬音のような音が、折重なり進んだり戻ったりしながら流れていく。絵画作品にも朗読劇にも共通して、独特な可笑しみのある物語り空間を創出している。最近の発表に、2010年「It is a tree」(Ouchi Gallery・U.S.A.N.Y.)、「や/まと/が/わ」(BankART Artist in Residence 2011 ・神奈川)などがある。blanClassでは2009年11月「何個目かのポッチ」、2011年7月「や/ま/と/か/わ」などに出演している。来年の2月に、またblanClassでパフォーマンスを予定している。

やまとかわ(49+1)http://yamatokawa49-1.blogspot.jp/