杉田 敦[ナノ・スクール]と荻野僚介 [ポール・セリジェ、マティスあるいは三波伸介]

 金曜日は[ナノ・スクール《nano school》#7]、いよいよコアな内容と思考の実験現場へと変化してきました。知っているつもりのあれやこれやを、身体と頭を駆使して再認識してみようとする一大勉強会です。
 ナノ・スクールは、これまでfacebookから、行ったことのない人にとってはとてもハードルが高いであろうような場所(といっても街のあちらこちらにそれなりにある場所)へ行って、レポートをするという、なかなかに難易度の高い宿題が出されてきました。知っているつもりだったり、単に素通りしてしまっていたような、場所やら歴史的な事実やら、一般化されたかに見える常識や概念と言えるようなものを自分の身体の前に置き直して、はたと考えてみると、急にそれらを客観的に捉えることができないことに気づく。というよりも、そういう客観的な視点がどこにあるのかもよく分からなくなってしまうし、そもそもそんな鳥瞰的視野って持っているはずもない。
 だとしたら、考えるってどうやってしたら良いのだろうか? というあたり前のようで空恐ろしい体験が毎月毎月実践されているとってもナノなスクールなのだ。ナノスクールも知ったつもりで、素通りせずに、ぜひ一度、参加してみてください。



 土曜日のLive Artは、荻野僚介が「絵画」というカテゴリーで初参戦!! そして、イベントの内容も詳しく発表されました。タイトルにある三波伸介って誰? と思われる方いるでしょうが、あの「満点パパ」の三波伸介のことらしいです????? それでも何のことか分からない人は、ぜひ会場で!!!!
 2009年にblanClassを始めたころから、呼び続けてきた荻野僚介がやっと来てくれる。悩み抜いた末に彼が提案してきたのが、彼のホームグラウンド、絵画をつくる、その手触りの思考。白い紙やキャンバスに魔法のように現れてくる不思議な経験を同時に共有することはできるだろうか?


こばやしはるお
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[1]杉田 敦[ナノ・スクール《nano school》#7]
http://blanclass.com/japanese/schedule/20130517_nano-school7/ https://www.facebook.com/nanoschool


ナノ・スクールは、極小の学校。スケールや人数の意味ではなくて、コンテンツとして極小。教えられることを、これ以上ないまでに小さくしてみること。近代の理性は必要だったのか? じゃあ一回手離してみよう。本当の意味でそれができるのは、アートだけなのかもしれない!的なところから始めてみる

疑ったことを、いろいろと実験してみること。例えば、blanClassのある井土ケ谷で起こった歴史的事件を実際に体験して、知識と実際との違いを体験してみるということ。つまりそれは、理性の新しい在り方そのものの実験でもあるはず。facebookで伝えられる、体験型の宿題もあるよ!(facebook:nanoschool)


5月17日(金)19:30〜
一般:1,200円/学生:1,000円

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杉田 敦 Atsushi SUGITA

  • 美術批評。オルタナティヴ・スペース art & river bankディレクタ。女子美術大学教授。最近の著書に、『ナノ・ソート』(彩流社)、『アートで生きる』(美術出版社)、『アート・プラットフォーム』、『inter-views』(共に美学出版)がある。作品に"critics coast"(越後妻有アートトリエンナーレ, 2009)など、キュレーションにポルトガルの現代美術展『極小航海時代』(JAM)などがある。また、アーティストの増本泰斗と、ディスカッション・プロジェクト、"Picnic"を行っている。


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[2]絵画|荻野僚介[ポール・セリジェ、マティスあるいは三波伸介]
http://blanclass.com/japanese/schedule/20130518/


着色された紙を切ったり貼ったりして、参加してくれるみなさん全員でひとつの絵画を作ります。
1人の画家における分裂そのままに、参加者は、色の指定をする人、手を動かす人、絵が完成したと判断する人と、それぞれ特化した役割を担ってもらいます。
色が問題、こういう時。僕が調合し、実際に作品に使って余ったものや、作ってみたけど不採用とした絵の具がございますので、それらを塗った紙を持っていきます。
作品の完成はどこで決定されるのか。それまでのプロセスで画家はいかなる判断、行為をなしているのか。荻野が調合した絵の具を使うと、荻野っぽい作品ができるのか。モンドリアンっぽい絵は目指せるか。「●●っぽい」とは何によって担保されるのか。ってなことをみなさんとわいわい言いながら探っていけたらと思います。
しかしそもそも絵は完成するのか?


日程:5月18日(土)
開場:18:00 開演:19:30
一般:1,200円/学生:1,000円

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荻野 僚介 Ryosuke OGINO

  • 1970年埼玉県生まれ。1993年、明治大学政治経済学部政治学科卒業、1998年、Bゼミスクーリングシステム修了。主な個展に、「腕が当たったから窓を開けた」(2012・SPROUT curation・東京)、「春の絵画展」 (2011・TRAUMARIS|SPACE・東京)など。主なグループ展に、「灰色」(2012・紙屋公民館・大分)、所沢ビエンナーレ美術展「引込線」2011(2011・所沢市生涯学習推進センター・埼玉)、「New Vision Saitama 4 静観するイメージ」(2011・埼玉県立近代美術館・埼玉)など。