その壺をたたくと音が鳴る|安達裕美佳


 今回は、私がパフォーマンスを始めてから6回目の試みとなる。そもそも私はパフォーマンスを主軸にやっている訳ではない。どちらかというと絵を描いくことの方が多い。しかしどういうわけか、パフォーマンスの発表をする機会に多く恵まれているように思う。それはおそらく、私の持っている発想を表現する為には必要なことだったからだろう。
 私の考えを作品にすることは絵の場合とパフォーマンスとで大きく異なる。パフォーマンスでできないことを絵で表現し、絵で表現できないことをパフォーマンスで表現する。今までもそうだったが、私という一人の体がただ表現するのではなく、その他に何かアプローチをする対象があって私のパフォーマンスは成立している。一つ前にやったパフォーマンスでは自分以外のある人物と関わることによってパフォーマンスを進行させる手法をとった。自分以外の人物というのは自分とは別に存在し、別に生活し、別の人生を送っている。それが一体どういうことなのか。またその話は本当に事実なのかどうかもわからなかった。相手は私の質問に対し本当のことを言ってもいいし嘘を言ってもよかった。そもそも私たちは日常の中で話を盛ったり、悪い状況から逃れる為に嘘をついたりする。私はそれに対し場違いな方法で相手にアプローチをしていった。それは全くすれ違った行為にも見え、またとても息の合った行為にも見えた。
 今回のパフォーマンスでは三人の人物にインタビューをしていく。彼らの中には自分と関係の深い人物もいれば、一度も会ったことのない人物もいる。ある人物と対面して話を聞く。そして私はそれを私の方法で表現していく。今回のパフォーマンスの着想は私の頭の中のイメージから始まった。それは部屋全体をインスタレーションした音の出る装置だった。その中にインタビューされる人物と私がいて、相手は話をし、私はその装置を使って音を鳴らしていくのだ。実際にそれを試すことによってどういうことになるのかは私にもまだわからない。ただ多くのことはやってみなければわからないものなのだから、私はただやってみたいと思う。


あだちゆみか