350日間のニューヨーク滞在を経て、冨井大裕さんが帰ってきました。blanClassでは4年ぶり、3回目の出演です。
昨年の3月にCAMPのイベントでゲスト出演した折、「アメリカから帰ってきたらなにかしてください」とお願いしていたことが功を奏して、今回のイベントが実現しました。
今回のイベントは冨井さんが、7時間弱ドローイングを描き続けます。来場者は紙の上に、絵が描かれる様子がリアルタイムにプロジェクションされる映像を見ることができます。描かれるのは350日の海外生活のことを1日1日思い出しながら絵にしてみるというパフォーマンス。
それは言葉で海外の滞在を報告することへの躊躇があったという。語ってしまえば、容易に語れてしまったり、ちょっとした嘘が生まれてしまうかもしれない。そこへいくと絵ならば、具体的なことが描けるし、なにを覚えていて、なにがおぼろげなのかがはっきりするかもしれない。
口頭で話される言葉とは違った誠実さで語られていく? 350日間の報告会というわけです。
渡米前から、作家としての環境を見直しているらしく、その1つの試みとして、海外での1年間の生活があったようです。これからの変化が期待されるところですが、その前に、一息ついて、1年間にあったことを思い出しているアーティストの様子を見にきてください。
先日、blanClass放送室にて、リハーサルを兼ねて、当日の会場レイアウトを一筆描いてもらいました。その様子をご覧ください。
2016/5/1/Motohiro TOMII/Broadcasting
こばやしはるお
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イベント/公開制作/展示|冨井大裕[ドローイング]
日程:2016年5月7日(土)
公開制作:12:00-19:00 公開展示:19:00-20:00
*途中からの参加、入退場自由
一般:1,500円(ドリンク別)
2015年の3月30日から350日間、ニューヨークで生活しました(途中、日本に戻ったりもしました)。42歳にして初めての海外生活でした。皆さんには、私が海外生活を思い出しながらドローイングを描いている様子を見てもらいます。ニューヨークの体験談を話すことも考えましたが、個人的な話をしても面白くないのでやめました。それよりも、過去を思い出そうとすることと、その場で絵を仕上げようとすることの間にある逡巡をそのまま提示した方が、記憶を表現するということを正確に表せる様な気がしました。美化され、醜悪にもなり、完全な創作もあるかもしれません。誰もが少しは抱えているであろう「怪しい記憶」を、「描く」という個人的な喜びとともに表してみたいと思います。
協力:ユミコチバアソシエイツ
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冨井 大裕 Motohiro TOMII
- 1973年新潟県生まれ、東京都在住。既製品に最小限の手を加えることで、それらを固定された意味から解放し、色や形をそなえた造形要素として、「彫刻」のあらたな可能性を模索する。近年の参加展覧会に、「横浜トリエンナーレ2011」(横浜美術館, 2011)、「MOTアニュアル2011」(東京都現代美術館,2011)、「水と土の芸術祭2012」(万代島旧水揚場, 新潟, 2012)、「マンハッタンの太陽」(栃木県立美術館, 2013)、「開館20周年記念MOTコレクション特別企画 コンタクツ」(東京都現代美術館, 2014)、「メルド彫刻の先へ[彫刻と記録]」(前橋文化研究所,2015)、「カメラのみぞ知る」(Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku,2015) 、「引込線2015」(旧所沢市立第二学校給食センター,2015)、「アーティスト・ファイル2015 隣の部屋ーー日本と韓国の作家たち」(国立新美術館、韓国国立現代美術館,2015ー2016)など。