先ほど多田正美氏と電話でお話をした。以前から日本の音楽著作権のあり方に違和感を唱えていた氏は、最近観たBSの「リミックス戦争」という特集について話し始めた。
あくまでも個人の権利を守るためだった著作権は、もはや遠い昔の話。現在のアメリカなどでは、いくつかの巨大化したメディアが著作権を牛耳っている。それを政府がバックアップする形で、ミッキーマウスの著作権がドンドン延長されていく。
しかし一方で、急速に発展するネット上のソーシャルネットワーク、たとえばyoutubeを代表するような映像配信などの現状を眺めていると、著作権の未来は危うい状況に陥っているようにも見える。実際、IntelやGoogleのように、コンテンツの公共性(図書館みたいな)を訴えて、公然と著作権の危険性を批判する企業もあるくらいだ。
多田氏は、blanClassが実験、実践しているストリーミングやwebの運営に対して好意的だ。若い世代が出来上がってしまった文化や表現に迎合せず、まだ答えの固まらない表現に挑戦するのには、現在のインターネットは向いていると言う。応援してくれるもう1つの理由は、著作権に限らず、現代社会のシステムが、理不尽なまでにいびつな形で肥大していることを、憂いでいるからなのだろう。
blanClassは、まだまだだらしがないところも多くて、反省しなければいけないことひとしおなのだが、同時に一様な意味でのクォリティーには懐疑的な姿勢を貫くつもりでいる。大事なことは、すでに答えの出ていることではないからだ。
今度の+nightはその多田正美、2度目の登場だ。自身がサウンド・エンカウンターと呼ぶ即興のパフォーマンスももちろんのこと、公開インタビューも楽しみだ。2度目ということもあるので、氏が最近気になっていること(電話では南インドのティアムのお祭りの話もしていた)を中心に、ざっくばらんにお話を伺おうと思う。
2010年4月24日(土)多田正美 [サウンド・エンカウンター]
開場:18:00 開演:19:30入場料:1,500円
未来から降りてきたのは、今はもうすたれてしまった「祝う芸・説く芸・語る芸・商う芸・流す芸」などの放浪芸だった。
http://d.hatena.ne.jp/blanClass/20091114/1258127893
「ふるさと伝承」にみる各地の祭りにアートの未来を予感し、空っぽの《場》に挑戦しつづける即興の凄みを体感してほしい!!http://d.hatena.ne.jp/blanClass/20091109/1257736540
こばやしはるお