伊東 乾「《かぎろひ》を聴く/余韻を観る ─音と光の共感覚─ 」

 今週の+nightは伊東 乾、2度目の+night出演↓


2010年5月29日(土)
伊東 乾「《かぎろひ》を聴く/余韻を観る ─音と光の共感覚─ 」

開場:18:00 開演:19:30
入場料:一般 1,500円/学生 1,300円


美術作品は一様に明るい蛍光灯や電灯の光の下で観なければならないのか?
能舞台に蛍光灯が埋め込まれているのは技芸の自殺行為と思う。常に「かぎろひ」揺れる炎が止まることを知らない「和ろうそく」の光の元でいくつかの試みを行いたい。
日常的な定常光と揺れる炎の下で、同じ音は果たして同じ響きに聴こえるか?
或いは音の変化は視覚に影響を及ぼさないか?
時空の体験という観点から音と光の相互浸潤を感じ考える場を持ちたい。


 伊東 乾氏には、Bゼミで私が所長の時代に、3回の講座を受け持っていただいた。それぞれの講座は自身の音楽活動、カニングハムとケージの遺作「OCEAN」初演のコラボレーションや「説教あぽとおしす縁起」(神奈川県立音楽堂・2002)などのビデオ上映に始って、「ニューロンの発見」「脳のイメージ」「感覚のメカニズム」「スポーツ工学の話」「奥行きは脳で創る」「ステレオビデオカメラでの実験」などなど、多方向に変化していく内容だった。
 近年執筆した「さよならサイレント・ネイビー」でノンフィクションを手がけている。その本を読んで、彼自身のことと、彼の研究対象がなぜどんどん多方面に開いていったのかが、つながったように思えた。
 前回(昨年12月12日)の+nightにお呼びしたときに「伊東さんが抱えていることの一切合切を含めたような、音楽の実験の場にblanClassを利用してほしい」とお願いした。
 そのときの内容は「一つ目巨人と片耳小僧 ─死角の詩学─」と題して、片耳の世界(モノラル)と両耳の世界(ステレオ)を行き来しながら音の力を確認するという、どちらかというと「片耳小僧」よりの内容だった。今回はいよいよ「和ろうそく」のもとで視覚の問題「一つ目巨人」の意味するところに迫るのだろうか?


こばやしはるお