ウィリアム•エグルストン

原美術館で開催中の「WILLIAM EGGLESTONN:PARIS-KYOTO ウィリアム エグルストン:パリー京都」を観に行った。
ウィリアムエグルストンはニューカラーの代表的な作家で、いままでなんとなしに好きだったのですが、今回の展覧会はエグルストンの試みが分かりやすく提示されていたと思う。
展覧会は一階の「パリ」シリーズから写真、ドローイング、写真とドローイングのペアと、二階の初期の代表作の写真で構成されていた。


エグルストンの写真からこんな事を発見した。
「パリ」シリーズは街の看板、壁、植木のようなものやショーウィンドウ等撮影対象はさまざまなのだがほとんどのものがクローズアップぎみに切り取られ、実際被写体が街のなかでどう機能しているのか、被写体がどういう状況に置かれているのかはよく分からない。
それらの写真はそれでもなんらかの意味を想像させるように仕掛けられている。象徴的なのが、空中に浮いた足の踝から下を撮った写真。これも足だけにクローズアップしているので背景はよくわからない。この展覧会の中でその写真だけがワイヤー吊りで展示されていた。ただ椅子に座って足をぶらぶらしてただけかもしれないし、ジャンプした一瞬を撮ったのかもしれないけれど宙づりにされていると思ってしまった。
写真で切り取ることで新たに作られた意味を見てしまう。エグルストンのドローイングも初めて見たのだが、様々な色のマーカーやペンのうにょうにょした線で長方形が構成されているというものだった。なにか形のあるものが書かれているわけではないのだが、それでも意味を想像してしまう。特に写真とペアで展示されるとなおさら意味を探してしまう。
意味を作ってしまうのは写真の特徴であり、エグルストンも初期の作品では意味をができてしまうことを遊び、楽しんでいるように見えるが、近作ではその効果を使ってより意識的に見る側に揺さぶりをかけていた。
僕にとっては発見のある心地よい展覧会でした。


原美術館
http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html


うえだともえ