往復写真+書簡 #13(原田晋)

波多野くん


こんばんは。
あっという間の1週間でした。

熊本の映像や、ニュースの写真などをみていて
ふと感じたことがあります。

熊本、ユーロ、3.11、、、挙げるとキリがないですが、
そういった、一般的な感覚として、ある種感情に直接訴えかけてくるような
生々しい映像と思われるようなものをみても、
僕自身は、変な表現かもしれませんが、
現実感のない断片的なものとしてしか捉えることが出来ていないと感じています。
それは、ただ単に目の前、現場に自分が立っていなかったからなのか、、、
別に、感情的になりたいとかでは無いです。

祖父が亡くなったときにみた僕の頭の中の残像やシーン、
好きな小説を読むたびに思い浮かんでくる映像、
教科書に載っていた歴史上の人物たちの肖像や名画、
とか、何でもよいのですが、それらの「引っかかり」のある記憶のようなものすらも
断片に収束していっているような感覚があるんです。

上手く表現できないかもしれませんが、
展示では、総体的に断片を追うのではなくて、
より断片の細部に思考を向けていく為の試みたいと考えています。
可能であれば、会場でそういう話を。

毎回、返信になってないのは気にしないで下さい。。。


原田(2012年7月13日)




[イベント情報]

|展覧会

原田晋[The Ghost (Kassel, Tokyo)]

日程:7月14日(土)

開場:18:00 開演:19:30

一般:1,000円 学生:800円

モニタを撮影した写真を再出力して構成するインスタレーション

見るという行為そのものを問うことによって、わたしたちのなかに蓄積されている情報というものが何なのかをもう一度考えてみる。

カッセル、東京で撮影した写真を中心に。