泉太郎 [焚き火]

  今週の Live ARTは、泉太郎が久々の登場! 前回も突飛な状況で、清澄白河の個展オープニング会場から、blanClassまでの道筋で見たものを特殊言語で生け捕りし実況中継をした。それも「狩り」と言えなくもないが、今回も「狩り」をするらしい。
  収穫を前にして焚き火を囲んでみんなでときを過ごす。現代の都市生活者にとっての焚き火は、よりレジャーに近づいてきている。ちょっと前まで、秋冬には庭で落ち葉焚きをあたり前のようにやっていたが、最近では近所の手前、控えるようになってきた。キャンプ場だって、直火禁止はあたり前のことになってきた。
  泉太郎の言う「焚き火」は、もっと原初のヒトの営みに欠かすことのなかったであろう「焚き火」のことか? 唯一の調理器具としての、また暖をとるための必須の手段であったはずの「焚き火」は、現在の「焚き火」とは、まったく違う意味を持っていたかもしれない、と前置きをした上で、でもだからこそ、その明かりや装置を無心に眺めて楽しんでいたかもしれない、と付け加えた。
  だから彼が日頃アートと言って、示していることや方法をその「焚き火」のようにやろうということなのだ。
  そんな原初のヒト(ネアンデルタール人? クロマニヨン人?)の生活をどこまで想像できるかわからないが、もしかしたら「焚き火」ぐらいしか楽しみはなかったかもしれない、なんて想像もできる。だからきっと「狩り」だってそうなのだ。生活と仕事とか、プライベートとパブリックなんて区別がないように、生き死にと娯楽だって区別されていなかったに違いない。
  そういえば、最古の洞窟壁画やネガティブハンドがクロマニヨン人によるものだとされていたが、それらはもっと古くて、ネアンデルタール人の手によるものだという記事を最近読んで、びっくりした。
  天に向かって手をかざしながら唄をうたったり、自らの手の刻印をしるしたり、獲物の絵を描いたり、焚き火をしたり、そういうことが渾然となって営みになっていたに違いない。
  そのころには、きっとアートも特別なことではなかったのだろう。神々が身近に息づいていたように。


7/19 泉太郎プレトーク(録画)放送室にて↓


こばやしはるお
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今週の Live ART↓
http://blanclass.com/japanese/


|パフォーマンス
泉太郎 [焚き火]
どこにいったのかわからない人を呼び寄せるために焚き火をたいて寄ってきたのが知らない動物だったとしても獲物を分かち合えるように、今日は長めに狩りをした。


日程:7月21日(土)
開場:18:00 開演:19:30
一般:1,200円/学生:1,000円

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泉 太郎 Taro IZUMI

  • 1976年奈良県生まれ。2000年多摩美術大学美術学部絵画学科卒業。2002年多摩美術大学院美術研究科修士課程修了。最近の個展に、2011年「cloud, looks like a spider」(NADiff Window Gallery, 東京)、「勇ましいあくび」(hiromiyoshii, 東京)、「ヤブ医者/髭の中」(スプラウト・キュレーション, 東京)、「動かざる森の便利、不便利Tamagawa Art Gallery Projects 2011-2012 no.4」(玉川大学, 東京, 2011) など。グループ展に、2011年「MOTコレクション サイレント・ナレーター それぞれのものがたり」(東京都現代美術館, 東京)、「ヨコハマトリエンナーレ2011 OUR MAGIC HOUR 世界はどこまで知ることができるか?」(日本郵船海岸通倉庫, 神奈川)「Invisibleness is Visibleness: International Contemporary Art Collection of a Salaryman -- Daisuke Miyatsu」(台北現代美術館, 台北)、「オムニログ:オルタネイティング カレント:3.11以降の日本現代美術」 (パース・インスティチュート・オブ・コンテンポラリー・アート, オーストラリア)、2012年「小金井アートフル・ジャック! バミューダトライアングル 」(シャトー小金井, 東京)、「泉太郎キュレーション展:有袋類 」(TALION GALLERY, 東京)、「池田シゲルキュレーション展:縁側つなわたり・無理強いの計」 (TALION GALLERY, 東京) など。現在国立国際美術館(大阪)での展覧会出品中。

http://taroizumi.com/