1月23日(土)笠原恵実子 [アートでナイト part3/偽満州国※]

土曜日は笠原恵実子のアートでナイト第3弾!!


1回目は「PARASOPHIA:京都国際芸術祭」、2回目が「アメリカ大陸先住民」、そして今回のテーマが「偽満州国」、3回のテーマに共通しているのは、近代に敷設された大鉄道(シベリア鉄道(PARASOFIA出品)、アメリカ大陸横断鉄道、満州鉄道)を訪れて金属硬貨を潰していく笠原のプロジェクト。


それは、はるか昔に、歴史化されたり、情報化されてしまったような心もとないイメージに対抗するように、しかし、遺跡らしからぬ姿で現存する巨大な風景に、驚くほどパワフルに走り回って、その実、子供の悪戯のようにアプローチしていく、とても不思議なプロジェクトです。


作品として現れるのはいびつに変形したコインの山なのですが、作家が見ているのは、一瞬キラリと光って、跳ねる金属片の姿だったりします。


今シリーズ最後の夜です。ぜひ作家と一緒に、作品の裏側の話や、それぞれが抱えきれないいろいろなものもののイメージと実態の間にあるであろうものについて、カジュアルにお話ししましょう。



こばやしはるお
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アートを共に語るご飯会、お題付き|笠原恵実子 [アートでナイト part3/偽満州国※]
http://blanclass.com/japanese/schedule/20160123/
https://www.facebook.com/events/966349186793502/


日常的にそして真剣にアートを、文化を、政治を、シャッフルして語り合う場、アートでナイトの第3段。


1932年に現中華人民共和国東北地方に建国された傀儡国家「偽満州国」は、急速な近代国家形成を試みた大日本帝国が行き着いた、無謀な植民地政策でした。私は、その理想主義的建国理念と、1945年に至る悲惨極まりない崩壊への道筋との間に存在する圧倒的な齟齬感に、国家、イデオロギー、文化、政治、経済、個などといった争点を考えうる、重要な地点が存在していると思います。第二次世界大戦終結から70年経ちましたが、私たちは近代国家という枠を越えることが出来ないままにいます。あいも変わらず強国が主導権を握り粛々と営まれていく世界政治を前にして、「偽満州国」について皆さんと共に考え、会話を共有できたらと思います。


満洲国を歴史的な独立国として見なさない立場から、中華民国中華人民共和国では「偽満洲国」が正式呼称。


日程:2016年1月23日(土)
開場:18:30 開演:19:30
入場料:1,500円(ワンドリンク)
※軽食(無料)もご用意しております。

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笠原 恵実子 Emiko KASAHARA

  • 初期は身体を通じて女性と社会との関係性を考察する彫刻作品を制作。近年は、性別や宗教、国籍や言語など社会を規定する制度とその状況についてフィールドリサーチを行い、その記録を元に制度の曖昧性を示唆する作品を制作している。その手法は彫刻に留まらず、写真、ビデオやパフォーマンス、ドローイングなど多岐に渡る。国内外での個展の他にPARASOFIA(2015),横浜トリエンナーレ(2014),シドニービエンナーレ(2004),光州ビエンナーレ(2001)などで発表。

www.emikokasahara.com