2月23日(土)山城大督[行為と記録|物質と映像|右手と左手]

今週土曜日のLive Artは1年と2か月ぶりに山城大督の登場。blanClassではこれが7回目の出演になる。

 

1回目から4回目ぐらいまでは、アーティストとして自身が抱えている映像というメディア、特に「カメラ」を強く意識して、撮影されるべき「出来事」の創出と、そこに居合わせてしまうハプニングの衝撃のようなものに拘泥していたように思う。

 

ところが2015年に行った5回目のパフォーマンス作品《LOST IMPRESSION / ロスト・インプレッション》では、映像というメディアにとどまらず、もっと根本にある感覚や知覚、体や脳の関係、人と人の関係の不思議さ、偶然の面白さ、といった、より抽象度の高い経験を参加者たちと一緒に確認するような集いになった。

 

6回目の前回のイベントでは、「ロスト・インプレッション」で試したことがさらに展開して、新しい表現や認知を考察する「センサリーメディアラボラトリー(SML)」というリサーチプロジェクトを行った。

 

これは、blanClassのいたるところにテキストによる指示書と何かしら「モノ」が置かれていて、参加者がそれを順番に経験していく。それぞれ、ある一つの感覚だけに集中して体験するという仕組みだった。

 

先日、改めてそのあたりの経緯を聞いてみたところ、当初は、映像に記録される事柄を改めて見ることと、現実に経験している事柄をその時に感じることと、記憶をたどることなどの間にあるズレのようなことに興味を持ちつつ、逆に、撮られることによって初めて必然性を持つつような事柄や行為に関心を寄せていたのが、カメラには絶対に収まらないような、「感覚」を映像メディアのように再生することの可能性に、関心が移っていたっというのだ。

 

VR(仮想現実)とか、AR(拡張現実)とか、MR(複合現実)のような、最近のヴァーチャル技術の開発で試みられているようなものにも似ている欲望なのかもしれないが、どうも同じではないようで、まずは、いろいろと実験を重ねて、考えを巡らせているというところなのだろう。

 

さて、今回は前回のセンサリーメディアラボラトリー的な実験を、もう一度記録するという試みでもあるようで、例えば微細な感覚のように記録の難しい経験を何とか再生できるような、何かしらの仕掛けを試すということなのだろうか?

 

ちょっと見てみないと、どうなるのかよくわからないが、いわゆるヴァーチャル体験ではないようなので、ぜひ皆様もお越しいただいて、参加してみてほしい。

 
 

こばやしはるお

 

——

 

【blanClass放送室】2/23(土)のゲスト山城大督さんと[行為と記録|物質と映像|右手と左手]についてお話しします。

 
2019/2/18/山城大督/blanClass放送室

2019/2/18/Daisuke YAMASHIRO/blanClass Broadcasting 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


公開制作+展示+セミナー|山城大督[行為と記録|物質と映像|右手と左手]http://blanclass.com/japanese/schedule/20190223/https://www.facebook.com/events/219398315676721/

 


この10年。行為や出来事を、どう記録して再生し追体験させるかを考えてきた。行為や出来事のサイズを変化させてみたり、行為を延命させ記録物と並列させたり、記録することを行為としてみたり。今回のblanClassでは、その最小の単位の「行為と記録」を、右手と左手を使って制作し展示する事とする。夜にはセミナーを実施する。

日程:2019年2月23日(土)14:00ー19:30 公開制作と展示19:30ー20:30 セミナー入場料:1,600円(ワンドリンク付)会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)https://goo.gl/maps/Q7Aat7nBarE2

---------------

山城 大督 Daisuke YAMASHIRO

1983年大阪府生まれ。名古屋市在住。映像メディアの時間概念を空間やプロジェクトへ応用し、その場でしか体験できない《時間》を作品として展開する。2006年よりアーティスト・コレクティブ「Nadegata Instant Party」を結成し、「MOTアニュアル2012:風が吹けば桶屋が儲かる』(東京都現代美術館、2012)、「あいちトリエンナーレ2013」など全国各地で作品を発表。主な展覧会に森美術館六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」、ナムジュン・パイク・アートセンター「Wrap around the Time」展。第18回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品受賞。

http://the.yamashirostudio.jp/