田中功起 [不安定なタスク#2, 非常食を食べながら名前について話す]

田中功起さんの作品は美術館にはありません。田中さんは美術館の外で活動します。」というのは今、東京都現代美術館でやっている「MOT ANNUAL 2012|Making Situation, Editing Landscapes 風が吹けば桶屋が儲かる」に行くと受付で聞かされる田中功起の「アーティスト・ステイトメント」。と言って手渡されるのが「活動カレンダー、田中功起、2012年から2013年」というA3の紙。
 そのカレンダーにも記載されているのが、今回、田中功起がblanClassでおこなっている「不安定なタスク」シリーズ。2回目は「非常食を食べながら名前について話す」だ。
 田中功起の作品は、ちょっとした事象、作家本人がその事象の契機をつくり、コントロールできない行方をムービーで切り取り、その映像をインスタレーションするという仕事にはじまって、対象が人の行動とともなった事象に展開するごとに、その内容も複雑になっている。
 上記の説明は、先日日曜日(11/4)に渋谷ユーロスペースでおこなったイベント「二日間のスクリーニング〈A Piano played by Five Pianists at Once〉とトーク佐々木敦田中功起〉で、田中功起が自身の作品を説明した言葉を参照しているのだが、そのトークのなかで、同じ職能を持った人々が1つのことをする(ほかに9人の美容師が1人のヘアカットをするなどがある)作品について、映像作品としては機能するが、これをライブでやるとどうも上手く行かない、というのも、区切られた時間内で完結してしまい、外の時間や空間と断絶してしまうからではないか、と分析していた。作品として何かを示すときに、この場合は「映像」で示すことが適しているという話しだった。
 ところで、blanClassでおこなう「不安定なタスク」シリーズは、ライブでおこなう。そのときに田中功起が選んだのは、そこで起こることを作品にしないという選択肢。これまでの田中作品同様、作家からタスクは与えられるが、あくまでも「不安定」なもの。そこで生まれる状況、起こる事柄は、作家と観客という関係を度外視したところで共有していくことでもあるし、いってみれば、事象に中心をつくらず、中心をつくらないことで、そこで起こるいくつかの事象と人のあいだにある、距離の差をつくらないということか?
 それはつまり作家にとっても落としどころはわからない、参加するお客さんと対等な立場で共有される種類の試みということなのだろう。


11/5(月)で少しお話しをしたのでそちらもどうぞ↓
http://www.ustream.tv/recorded/26733456
blanClass放送室 2012.11.05 田中功起 プレトーク


 実は、偶然、今回のMOT ANNUAL に出品しているアーティストが、これまでにblanClassになんらかの形で関わった作家が少なからずいたので、blanClassもリアクションをとろうと、この11月から来年の1月まで、緩やかな関連企画を勝手に企画している。11/9(金)田中功起[不安定なタスク#2, 非常食を食べながら名前について話す]、11/17(土)奥村雄樹[多元宇宙の缶詰]、12/1佐々瞬[あの人の紹介/読んではみたものの、大げさに言えば許しがたい]、12/8中崎透[ヤミナベ]、12/22山城大督 Presents クリスマス・パーティーTomorrow Never Knows](Nadegata Instant Party はもう1人、野田智子さんと放送室をしたいと考えている)、1/12 The Academy of Alter-Globalization+森田浩彰Vol.2[新年パーティ(仮)]などがそれ。



こばやしはるお
 
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|コレクティブ・アクト、パーティシペイション
田中功起 [不安定なタスク#2, 非常食を食べながら名前について話す]

今回は非常食を食べながら、参加者それぞれに自分の名前について話していただきます。自分の名前にまつわる歴史(誰がその名前を付けたのか、名前との付き合い方など)、その名前が意味すること、自分の名前と両親もしくは子どもの名前との関係、そうした名前についての短い話を考えてきてください。名前について話しましょう。

日程:11月9日(金)
開場:18:00 開演:19:30
一般:1,200円/学生:1,000円

特殊な事態が生じ、一時的にひとが集まり、その状況に対処する。これはアートの文脈においても、普段の生活においても起きうることです。きっとblanClassで毎週末に起きているイベントの数々もそのようなことのひとつかもしません。
今回、blanClassでのプロジェクトではこの特殊な状況における対処、反応、経験をすこしゆるやかな枠組み - いくつかの未成熟な、おぼつかないアイデア - を元に、シリーズで参加者とともに行い、考えてみたいと思っています。
例えば「自販機の中身を購入し道行くひとたちに配る」「懐中電灯を振りながら夜の街を歩く」「本を焼いてフライパンを温め、食べ物を作る」「ろうそくが一本なくなるまで会話する/一緒に過ごす」「都心から郊外まで歩く」など。
またこのプロジェクトの一部、またはすべてはヴェネツィアビエンナーレ日本館(2013年)でも展示される予定です。(田中功起

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田中 功起 Koki TANAKA

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