写真の向こう


WAKO WORKS OF ARTでゲルハルト・リヒターを見ました。
展示は二つの会場に別れていて、片方はオイルペイントともう片方は写真の上にオイルペイントの作品でした。
リヒターの作品は作品集で見たことがあったのですが、実物を見た印象はまるで違うものでした。


写真には人や風景が写っており、僕は写真の向こう側の人や風景を見ようとするのですが、写真の手前にある色面や油絵のマチエールによってどうしても写真の手前に意識が戻されてしまう。写真の向こう側というのを写真の内容、写真の手前というのを紙としての写真そのものと言ってもいいかもしれません。
そして写真を見るのをやめた途端、写真のもつ気持ち悪さと写真を見ることの気持ち悪さがわっと押し寄せるのです。
その気持ち悪さと視覚的なトリックのせいで僕は本当にクラクラしてしまい、座り込んでしまいました。
写真自体を問題にし続けた結果としてこうなったのかと思います。


どうやってリヒターがその仕掛けを作りえたのかまでは見れなかったので、もう一度見に行きます。
今度はクラクラしないはず。


WAKO WORKS OF ART
http://www.wako-art.jp/about/gallery/index.php


上田朋衛