2010年7月3日、+night伊藤誠「BOAT・遠足・かたち」で行われたワークショップの記録
まず、伊藤氏が用意した装置についての話を15分ほど行なった。
装置は大きく分けて三種類。
1.「BOAT」と名付けられた『持ち運びができる水面』の装置。上部には鏡がついており、装着した人は鏡に映った天井を見ながら、歩くことになる。この装置は革のストラップをつけ、頭に固定することができるものの他、手で持つタイプのものが二つ用意されていた。
2.「カニ目」と呼ばれていた装置。5cmほどの小さな筒状の装置。これは両目に押し込むように装着する。視野が極端に狭くなり、片目ずつしか見えなくなるという日常的な視覚ではない経験をする装置。装着した状態を維持するために目の周りに力を入れるので、端から見るとおかしな顔になっている。
3.ボール紙でできた筒状の装置。筒は緩やかなL字になっていて、その中心あたりに穴があいている。そこに目をあてて外を見る。筒の両端の様子が見える。「カニ目」と似ている部分もあるが、この装置の場合は左だけ右だけの景色が見えている状態になる。
この3つの装置の説明を終えた後、ワークショップがはじまった。
二人一組になり、一人は「BOAT」を装着した状態で見えている風景を画用紙にスケッチする。もう一人はデジタルカメラでその装着した人を撮影する。
描きおえたスケッチとプリントされた写真は壁面に展示されていった。
伊藤氏は「装着している人が体験しているちょっと奇妙な世界は「装着している人」を見ている人には全くわからないディスコミュニケーションの関係が「BOAT」を通してある。」
「コミュニケーションがとれていないのだけど、妙なコミュニケーションがとれている状態をある一つの「かたち」を元に積極的に誤解を持たせることでつくれるのではないか」と話していた。
はたのこうすけ