今週の+night↓
http://blanclass.com/_night/archives/3724
アトリエ・ワン(塚本 由晴・貝島 桃代)
[ジグとしての建築]
blanClassにある家具や本をつかって、身体の持っている向きと家具が持つ向きの合成や本の構造などについて考えながら、建築のようなものをつくる。
「道具」を材に対して微妙な関係を最適化する「治具(jig)」という概念を、人を安定的な関係に一時固定するものとして拡張し、建築を考える、観客参加型のイベント。
※参考書籍:「アトリエ・ワン・フロム・ポスト・バブル・シティ」(2006・INAX出版)、「アトリエ・ワン | 空間の響き/響きの空間」(2009・INAX出版)
日程:11月20日(土)
開場:18:00 開演:19:30
入場料:¥1,200/学生 ¥1,000
今週は+night初の建築家アトリエ・ワンの登場!!
今回アトリエ・ワンには、ワンナイトという時間に制限のあるなかで「家を一軒建ててください」とお願いをした。むろん小さな部屋の中に本物の家を建てられるはずもなく、1時間強の時間と限定された空間のなかで「建築する」ことがいかなるものかを経験できればシリアスな体験になると思ったのだ。
アトリエ・ワンが建築した家に住んだことがあるわけではないので、建築とは違うメディア(写真や映像)を通して、その小さなアドベンチャーのような経験が重なって出来上がっているような建築を、大部分は私の頭のなかの想像で埋め合わせをして納得をしている。
ただアトリエ・ワンは展覧会や出版物でウィットに富んだ実験を多く展開をしているし、1999年以降、Bゼミにもアトリエ・ワンをゲストや講師というかたちでお招きして、彼らの考えを演習で垣間見てもいたから、彼らがデザインする建物の中に起こっているはずの、実際の冒険、その私の想像もそれほど当てずっぽうではないと思っている。
建築とか建物とかいったものは、この世の中の至る所にあって、特に都市の中には溢れかえって、その構成要素の大部分を占めている。そのくせ長い時間に変遷してきた役割、象徴性やら合理性やらが混在して混沌としている。大半は凡庸なイメージと化して人々の頭のなかで麻痺しているのだが、主体であるはずの人間をなんらかの方向に補うようなデザインをこそ模索すべきなのだ。アトリエ・ワンは、そういうあたり前のようで、やっぱり突飛なことを、手を替え品を替え世の中に問いかけている。
そんなアトリエ・ワンの塚本由晴氏が、2005年に出版したピンクの「Bゼミ本」のなかで、この場所を指して、勝手と寛容に溢れた「奇跡の空間」だと評してくれた。balnClassになっても、相変わらず「奇跡の空間」であってほしいと願いつつ、また今週、ちょっとした奇跡が生まれることを期待している。
こばやしはるお