full course

 昨日の夕方、BankaART1929のディレクター、池田修氏と映像作家の本田孝義氏(「船、山にのぼる」の監督)と「食と現代美術 part6 - full course フルコース」をめぐった。

http://www.bankart1929.com/

 フルコースとはBankART Studio NYKからスタートして他6施設をめぐるルート。私たちは、BankART PubとBankART Front を飛ばして、本町実験ギャラリーでのリハーサルをチラ見し、ぴおシティ(飲食はなし)を素通りし、野毛地区飲食街(鯨横丁)「おしょくじら」で三宅航太郎扮する占い師から支持を得て、クジラの刺身と立田揚げを頂く。BankARTかもめ荘でお米の作家、松田直樹から白米だけのお弁当をもらって、初黄・日ノ出地区(一般住宅)の谷口商店でおかずを借りて先ほどのお弁当を食べる。BankART桜荘では開発好明が発砲スチロールの最終チェックをしていた。そこで抹茶とお菓子をもらい、とんぼ返りでBankARTNYKのオープニングに参加した。
 正味1時間半の道のりだったが、考えてみると、BankART Pubで酔っぱらって、フラフラ歩きながら家に帰るまでの道のりとほぼ同じ道筋だった。言ってみればもっとも横浜らしい、真の姿があるルート。(林海象濱マイクシリーズとか、柳美里の「ゴールドラッシュ」の舞台でもある)一昔前なら、外の人は誰も見向きもしなかったようなエリアだ。フルコースとは、お食事だけでなく、そういう知られざる横浜を堪能するためのフルコースというわけだ。
 BankART1929の定番企画「食と現代美術」の第6弾だ。私は過去の5回も見にいったが、今回の展覧会が一番その趣旨にあっていて、シンプルでわかりやすい印象を受けた。あくまでも体感的であって、一望する場所がなく、記録することも難しそうな、その上、微にはいって、細にはいって、ユーモアを発揮する、ディレクター池田修の真骨頂という展覧会だ。

 今晩の+nightは、飯沢耕太郎「きのこと写真」。写真の嘘のような本当のような、真偽の狭間の芸術を、「きのこ」という不思議な存在をレトリックに暴きだそうというのだろう。たのしみである。うちもフルコースとはいかないまでも、キノコ料理で頑張ります。



小林晴夫