岡田 貞子 [や/ま/と/か/わ]

 今週の+nightは、blanClassの常連アーティスト、岡田貞子のソロパフォーマンス。体中に書かれたテキストを探しながら読み進めていく岡田の朗読パフォーマンスは、語りでもお話しでもない前人未到の世界です。ますます面白くなって再登場!!
 先日の「放送室」では、テキストを書いているときも、それを体や壁や垂れ下がるリボンなどに書き直しているときも、そのどこかに書いたテキストを読み上げているときでも、絵を描いている作業に似たことをしているのでは? と推察を試みた。
 というのも岡田貞子が絵描きさんだからだ。「放送室」では、その描かれたものの内容にもう一歩踏み込んでお話を伺おうと試みたが、時間切れになってしまったので、当日はもう少し内容にも踏み込んでみたい。
 その内容、書かれた言葉は、彼女が描く絵の世界と共通の主題、ちょっと入り組んだ情景のような世界が展開している。絵の方は横長に伸びていくような風景のように描かれることが多い。
 声を出して読み上げられるお話しの方は、きっと登場人物がいる。そのどれが主体に描かれているかわからない何人か、あるいは何匹か? の登場人物が、上に行ったり下に行ったり、出会ったり分かれたり、擦れ違い様になにかを言ったり、思ったりする。
 共通しているというのは、どちらも岡田が脳内に持っている未整理の映像を元にしているということだ。きっと一度目は、彼女の経験にはじまっている。見たり触ったりする世界の断片を念写して脳の中に治めている。どうも脳内では繋いでいない、そのバラバラの情報を絵やテキストの上で、繋げてみようという作業のようなのだ。
 しかしこれが、見ている観客の脳の中で辻褄が合うかというと、それがなかなか難しい。のだが、岡田貞子が偉いのは、そう簡単に既存の形式から出来上がった編集技術を採用したりしないことだ。だからそのうちつくる方も見る方ももっと育っていって、どこにもない芸術を味わうことになるのだ。



こばやしはるお


今週の+night↓
http://blanclass.com/japanese/


岡田 貞子 [や/ま/と/か/わ]


「あわ」になる横軸の「あか」。
「あお」は「あい」より出でて藍より青しという縦の軸であり、「こん」が示すように底辺を結び「あを」となる。
稀なものとして、斜めに点を打ち波紋の始まりの「き」。
 轟々という水の落ちる爆音の中、時々甲高い鳥の鳴き声がする。
かの子は、流れの中で洗われてすっかりスベスベに丸く薄く削られた石を水面にスライスさせるように放り投げる。
放り投げられた石は、川の流れに逆い1段は跳ねたが、跳ねた先の岩に当たって四方に砕けてしまった。


日程:7月30日(土)
開場:18:00 開演:19:30
一般:1,000円/学生:800円


岡田貞子 Teiko OKADA
1974年大阪府生まれ。2003年Bゼミ Learning System 修了。絵画作品を多く手がけているが、自作の絵やインスタレーションのなかで朗読劇を展開している。言葉や擬音のような音が、折重なり進んだり戻ったりしながら流れていく。絵画作品にも朗読劇にも共通して、独特な可笑しみのある物語り空間を創出している。最近の個展に、2010年「きのことなど」(BankART NYK ・神奈川)、「It is a tree」(Ouchi Gallery・U.S.A.N.Y.)などがある。blanClassでは2009年11月「何個目かのポッチ」でソロ、12月「クリスマスナイト」などに出演している。
やまひこ7・2・ 7(仮)http://d.hatena.ne.jp/ki9te50/