今週土曜日のLive Artは沼下桂子さんが初登場。といっても、ソロでのイベントではなく、さらにアーティストの阿部大介、迫鉄平、両氏を迎えた展覧会とインタビューの企画になっている。
この企画は今年の6月、相模原市立市民・大学交流センター(ユニコムプラザさがみはら)で行われた[Practical case interviews #01 アスビョルン・オレルド/吉田和貴]という、やはり展覧会とインタビューが組み合わさった企画の第2弾となっている。
https://www.facebook.com/events/174190263246885/
前回の企画は女子美術大学大学院 版画研究領域「キュレーション」授業の関連事業として進められたもので、展覧会をつくっていく過程を学生たちと考える上で、アーティストとの対話が重視されるがゆえに、「インタビュー」というものが、クローズアップされたのか、「キュレーション」以上に「インタビュー」の比重が重くなっている。
この[Practical case interviews #01 アスビョルン・オレルド/吉田和貴]の期間中に、沼下さん、アスビョルンさん、吉田さんと、なぜか伊豆で、一緒にしゃべる機会があり、大した話を交わしたわけでもないけれど、それでも後で展覧会場に置かれていたインタビューを読んだ時、車の中や食事中にみんなで話した話が重なって、アーティストが日頃考えていることと作品を作ることの間に、いつもとは違う遠近法が生じたような気がしたのだ。
それが沼下さんをblanClassにお呼びするきっかけなのだが、結果、[Practical case interviews]の第2弾に展開したというわけ。今回は第1段にはない、Liveの時間が加わるので、展覧会+インタビュー(文字)+トークイベント(2日目には映像展示する)という形になる。
作品や紙のインタビューの邪魔にならないようなトークイベントに…、とご本人たちは気にしているようで、トークイベントでは私も加わり、それぞれの位置からそれぞれにインタビューをし合うようなことができたらと考えている。
考えてみると、インタビューというのは、生で見ることもあるけれど、文字化されたり、映像化されて、世の中に溢れている。インタビューそれ自体がインタビューイの仕事の場面ではないけれど、これだけインタビューが求められているということは、数少ない、他人同士の接続の機会になっているのかもしれない。
ということで、インタビューの可能性を考えつつ、阿部大介+迫鉄平、両氏それぞれの制作や、関係などにも興味を抱きつつ、ぜひぜひお運びください。
以下、アーティストお二人のステイトメントです。
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近年、様々な物質の表面を版にして、その凹凸を剥がしとる作品を制作しています。剥がされる対象は、衣服、車のタイヤ、工具など、身近な物から家の外壁まで多岐にわたります。剥がされた皮膜は、制作行程の中で本来の形を留めながらも、展開図のように薄くのばされたり、熱を加え発泡させたりと別物へと変容していきます。物質の内と外との境界が振動し、機能や形態が曖昧になっていく様は、暴力的な要素をはらみながらも、多様な想像を内包する力があると考えています。
(阿部大介|あべだいすけ)
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街で何かを発見し、思わず「あっ」とカメラを向けシャッターを切る。「あっ」は“あるがままの姿”として、いとも簡単に定着していく。このようなスナップショットの手法を。映像(=連続した写真)へと応用する。写真の決定的瞬間「あっ」は映像という時間の中で「あーーー」と引き伸され、被写体は無防備な本来の姿を露呈する事になる。写真というメディアの持つ特性や限界を考察しながら、「写真のようなもの」を用いて作品を制作している。
(迫 鉄平|さこてっぺい)
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【blanClass放送室】
10月20日(土)21日(日)のゲストで企画の沼下桂子さん、作家の阿部大介さん、迫鉄平さんに卓球をしながら、今回の展覧会についてお話をしていただきました。卓球をしながら半紙をするのは難しそうでしたが、そのせいかだんだん卓球が上手くなっていくようでした。
2018/10/14/沼下桂子+阿部大介+迫鉄平/blanClass放送室
こばやしはるお
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展覧会/インタヴュー/アーカイヴ|沼下桂子[Practical case interviews #02 阿部大介/迫鉄平]
http://blanclass.com/japanese/schedule/20181026/
https://www.facebook.com/events/307196636523130/
作品を展示するアーティストと、展覧会を企画する人の関係性を、インタヴュイー/インタヴュアーに喩えて置き直し、展示という形態について考えるために始めたプロジェクトです。作品をつくること/見せること/それを誰かとともに行うことは、例えば、インタヴュアーが誰かに話を聞く場面を設定し、インタヴュイーから引き出したインタヴュー内容を、紙面やウェブ、あるいは映像や音声など、さまざまなフォーマットに落とし込み発信することに似ているように思います。このプロジェクトでは、インタヴュアー/インタヴュイーの力量に関わらず、そこにどのようなプロセスが含まれるのか、再考するために実践されることを重視しています。
展覧会:2018年10月20日(土)・21日(日)13:00-20:00(20日は19:00まで)入場料:500円
トークイベント(沼下桂子+阿部大介+迫鉄平):20日(土)開演:19:30 1,000円(ドリンク別)
会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)
https://goo.gl/maps/Q7Aat7nBarE2
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阿部 大介 Daisuke ABE
- 1977年京都府生まれ。2002年 京都精華大学芸術学部造形学科版画卒業。2004年 愛知県立芸術大学大学院美術研究科修了。主な展覧会に「cross references 協働のためのケーススタディ」(アートラボはしもと・神奈川・共同制作者:鷹野健・2017)、、「Dialogue」(Tezukayama Gallery・大阪・2017)、「Sky Over ?」(アートラボあいち・愛知・2016)、「皮膚感覚」(美濃加茂市民ミュージアム・岐阜・2015)、「Untitled•CB125T」(AIN SOPH DISPATCH・愛知・2015)などがある。
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迫 鉄平 Teppei SAKO
- 1988年大阪生まれ。2010年グラスゴー芸術大学(イギリス)交換留学。2014年京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程修了。2017年京都精華大学大学院芸術研究科博士後期課程満期退学。個展に『FLIM』(Sprout Curation・東京・2018)、『Chill Town』(VOU/棒・京都・2017)、『RUN UP!』(同志社女子大学 mscギャラリー・京都・2017)、『剣とサンダル』(東京都写真美術館・東京・2016)、『硝子の塔』(Ponto 15 / Finch Art Gallery・京都・2016)、『Carbon, Copy・Analog, Delay,』(YEBISU ART LABO、愛知・2016)、『Sliver』(space_inframince・大阪・2016)など、グループ展に『自由の場所』(京都精華大学ギャラリーフロール・京都・2017)、『電気文化会館開館30周年記念 THE NEXT 〜次代を創る10人の表現者たち〜』(電気文化会館・愛知・2016)、『Art Court Frontier 2016 #14』(ART COURT Gallery・大阪・2016)、『showcase #5 “偶然を拾う - Serendipity”』(eN arts・京都・2016)、『京都精華大学卒業生ファイル2016 ー未来の問い』(京都精華大学ギャラリーフロール・京都・2016)などがある。2015年「第38回公募 キヤノン写真新世紀2015」グランプリ受賞。
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沼下桂子 Keiko NUMASHITA
- 編集/企画/コーディネーター。文化施設での学芸アシスタントを経て、現在アートプロジェクトのマネージメント業務に従事。アート批評系雑誌「+journal」編集メンバー。展覧会と飲食店のはしご、川沿いを上流まで歩く、一定の場所に数時間集うなどの行為をリサーチと位置付けて活動する、アーティスト・グループ、泥沼コミュニティ メンバー(アサヒ・アート・フェスティバル 2016参加)。リサーチの途上で偶発的に始まる出来事や、そこから立ち現れるプロジェクトに関心を寄せている。
泥沼コミュニティ ウェブサイト
http://doronumacommunity.wixsite.com/doronuma