4月20日(土)加藤康司[父を語ることは、世界を語ることかもしれない]

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《父を語ることは、世界を語ることかもしれない》2019
 
今週土曜日のLive Artは加藤康司がソロでは初登場。
 
blanClassでは2017年のステューデントアートマラソンに出演している。その時の作品にも扱っていたのが、彼が当時住んでいたエリアのほど近くにあった米軍厚木基地。イベントでは、近隣の空を飛ぶ軍用機の影を撮影した映像のインスタレーションを発表した。
 
他にも厚木基地横田基地の周辺に住まう人や、そこに生まれた独特な文化を取材してみたり、何かしら自分と社会の間にある物的に見えているものを手掛かりにしながら、web siteやポスターなどを使ってパフォーマティブに関わる仕掛けを模索してきたが、しかしうまく距離を縮められず、一定の距離をとりながら、自分の方に引き寄せようとしてきた。
 
発端は、飛び交っている戦闘機の機影が、大学生の彼の日常に当たり前のように見えていることだったに違いないが、よくよく聞いてみると、「基地問題」に完結した興味というより、ニュース、食べ物、音楽やファッションなどに、時折、まとわりついてくる「アメリカ」というイメージ自体に、縮められない距離を感じているようなのだ。
 
今回のイベントは展覧会とディスカッションという構成のイベントなのだが、テーマは「父」。
 
米軍基地から始まって、「アメリカ」を中継した作品の展開は、一回りして出てきたテーマが、彼の父が持ち込み、彼には手の届かない「アメリカ」のイメージを通して感じてきた「父」の捉えがたい面影だった。
 
考えてみると戦後の日本にとって「アメリカ」は力技で伝染してきた、とても悩ましい文化。(世界の多くの地域で同じようなことが起ってきたといえるのかもしれないが?)家族間に感じる、なんとも収まりのきかない感情とも相まって、すっかりこじれてしまったまま、すでに遠くの問題になりつつあるのかもしれない。
 
どっぷりはまった世代とはまた違った距離感で、遠くのアメリカのことを…、それから遠くの父親のことを、しばし考えてみませんか?
 
 
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【blanClass放送室】

4/20(土)のゲスト加藤康司さんと、彼の作品が、これまでに扱ってきた米軍の基地について、基地周辺の文化について、そこから派生して出てきた興味として、彼の父と父が影響を受けたアメリカについてお聞きしました。

 

2019/4/9/加藤康司/blanClass放送室


2019/4/9/Koji KATO/blanClass Broadcasting

 

 

こばやしはるお

 
 
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展覧会+ディスカッション加藤康司[父を語ることは、世界を語ることかもしれない]
 
米軍基地に関心を寄せてからしばらく経ち、なぜこのようなテーマに至ったのか、考えてみた。そこでふと、若い頃にアメリカで生活をしていた父親という存在が見えてきた。どこにでもいるようで、どこにでもいない。世界でたった一人の、父と僕にまつわる物語。
 
日程:2019年4月20日(土)
展覧会:12:00ー19:00
イベント開始:19:00
入場料:展覧会 500円/イベント 1.600円(ワンドリンク付)
会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)
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アクセス:京浜急行「井土ヶ谷」駅の改札出て正面の信号わたりすぐを左折、一つ目の交差点を右折、二つ目の角を左折、三井のリパーク後ろ、blanClass看板がある細い段々を上がって右の建物2階
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加藤 康司 Koji KATO
1994年生まれ。2016年弘益大学校(韓国)交換留学。2017年多摩美術大学美術学部卒業。現在東京藝術大学大学院GAP専攻在籍。主に映像作品を制作し、政治的、社会的問題と自身との関係性を模索する。またそれらを通して、自己と他者との見えない権力構造を探求する。