WORM HOLE episode 12
前に、小林晴夫も書いていた、WORM HOLE episode 12を見に行きました。
鈴木光の「もしあなたが話したいことがあるなら、それを僕に教えて下さい。/ Please tell me, if you have something to talk to」について、作品の登場人物と同年代として感想みたいなものを何回かに分けて書きたい。
かなり印象的だったのが、ドイツ人(おそらく)が日本人の「名誉」というものに関して語っていたシーン。
作家がどういう問いかけをしたのかはわからないが、その多分ドイツ人は完璧とは言えない、むしろ不十分な英語で一生懸命自分の感じた事を語っていました。彼にとって見知らぬ外国人に。何かを伝えようとする事に真剣に見えました。
それを見ていて、ふとサッカーのトルシエ監督を思い出しました。
トルシエが日本代表監督に就任してからしばらく、彼は試合直後のインタビューに、お世辞にも上手いとは言えない英語で答えていた。日本人に少しでも自分の話を伝えるにはフランス語より英語のほうがいいと判断したのだと思う。その後は試合直後のインタビューにも同時通訳がはいるのを知ったのか、フランス語で話すようになった。
トルシエは自由に語れるフランス語より、多くの人に伝わるであろう英語を選んで使っていた。彼も伝える事に真剣だったのだと思います。
この作品の中で、日本人は伝えることより、何を語るかに真剣になっているように見えました。けどその結果「話したいこと」というのが隠れてしまい、話自体は印象にはあまり残りませんでした。逆に完璧ではない英語や日本語を使って、真剣になにかを伝えようとする外国人の話が印象に残りました。
何かを語ろうとする事と、何かを伝えようとすることは全く違う事なのだと感じました。
上田朋衛