トヨダヒトシ 映像日記 / スライドショー “白い月” (2010 / 60mins. / 35mm film / silent)

今週の+night↓
http://blanclass.com/_night/archives/2758
2010年9月18日(土)
トヨダヒトシ 映像日記 / スライドショー
“白い月” (2010 / 60mins. / 35mm film / silent)

開場 18:00 開演 19:30
一般 1,200円/学生 1,000円

※予約制ではございません。当日会場にお越し下さい。


写真をプリント作品とせず、スライドショーという何もあとに残さない写真表現をつづけるトヨダヒトシ。現れては消えていく、日常の断片。ライブ上映でつくりだす映像日記作品、2010年最新作を発表。


“白い月” (2010年 / 60 mins. / 35 mm film / silent)
ある4月の朝/この町に住みはじめて何年になるのだろう/台所の窓/エリー湖/寄せては返すもの/波のない日は底に沈んでいるものが見えた/友人との食卓/蚊柱/きのう、イラクの町で62人が亡くなった/なんでもない会話/いつもそこにいた/無差別の死/北の寺へ/寄せては返すもの/静かな光/冬へ
この年は日本へは帰らなかった。ニューヨークでの日々。長編映像日記第6作。



ニューヨーク在住のトヨダヒトシはスライドショーでのみ作品を発表している写真家だ。
毎回、作家自らが上映に立ち会い映写機を操作しライブ上映をおこない、観客と時間を共有する。一枚の映像が一定の時間現れては消えていく、ということが長い作品では90分ほど続くが、一枚一枚を切り替えるタイミングや使われる映像は毎回変化し、ときには上映中に映像を差し替えることもあるという、まさにライブ上映をおこなっている稀な写真家である。

トヨダは自らの作品の形式を「映像日記/visual diarly」と名付けている。映されているのは食事風景、部屋の中、いつも通っている道、再会した友人、事件の新聞記事、旅の中での見た景色、小さな虫の成長、変化していく季節など。ありふれた光景でありながら、普段僕たちが見過ごしてしまう様な微細な出来事を丁寧に見続けている。
 作品全体には植物、虫、動物、人間、社会、世界などいくつかの時間軸があり、トヨダはそれらの時間をそれぞれ一定の構図、距離、時にはクローズアップなどを用いて観察し、撮影することで時間を蓄積していく。映像化されたいくつもの時間軸は同時に進行していく。そのようにしていくつもの時間軸が徐々に影響しあいながら、 変わらない日々/変わり続けていく日々を交差しながらトヨダが見た時間が続いていくのだ。 日常の中にある生と死を静かに観察し、同時に移動し続けるトヨダの視点。観客は見続けるにつれて、その小さな時間の中で少しずつ変化していく映像に吸い込まれていくようになる。

一度見ると癖になる様な、不思議な経験を促す作品だ。

今回のblanClass+nightで発表してもらう作品は2010年の新作で仏教に使われる暦の中からタイトルは「白い月」とつけられた。同時発表の新作「黒い月」とは別の作品でありながら共振しあう2作品であるという。
2年ぶりのトヨダの新作を楽しみにしている人も多いようだ。
普段ニューヨークに住んでいるトヨダは一年に一時期しか日本に滞在しない。トヨダヒトシのライブ上映の機会はなかなかないので、少しでも興味がある人は是非見てほしい。

http://www.hitoshitoyoda.com/


はたのこうすけ