佐々瞬[それらの日々をへて、あの日がやってくる]

 昨年の3月14日〜19日、東日本大震災の直後、佐々瞬の展示とパフォーマンスが行われた。あれから1年、あらためて佐々瞬をお招きして。作家のその後の展開と今を見つめる!!
 あの日は、パフォーマンスと言っても、実際は作家とお客さんが、その時の気持ちをお互い話し合うというものだった。多くは不安な気持ち。3月19日の段階では、実際になにが起こっているのかは誰も把握しきれてはいなかった。
 人智を超えた未曾有の津波による災害と、刻一刻と変化しながら報じられる人災としての原発事故というコントラストに、言いようのないストレスを感じつつ、努めて平静を保っていたと、表現したらよいか? なのにあたたかな雰囲気に包まれた不思議な夕べとなった。
 その後の1年は、日本の権力のシステムがあからさまに白昼にさらされて、どんなに無知だった人でも、「おかしい」と思える状況になった。これで旧来のシステムは本当に死んでしまったのか? 何事も遅々として進んでいないように見える。 
 blanClassは3.11の翌日もゲストのアズビー・ブラウンの要望もあり、変わらず土曜日のワンナイトイベントを続けた。淡々と続けたことによって、その時々のアーティストたちの生の声が聞けたと思う。
 偶然にも直後のイベントを予定していた佐々が、その日試みたアートワーク(とりあえずみんなでいまの気持ちを話す)をきっかけに、佐々の仕事も少しずつ変化し、blanClassでも、時間や場所をお客さんと共有する条件を、うまく本人の作品に反映させながら展開していった。
 それは同じ場所でおこっている現実と、そこに居合わせた人々の経験が、どのように共有されているのか、あるいはどこまで無関係にズレていくのか、というような時間を作品として再統合するという試み。本当のこと、素直な感想、妄想や想像、過去の記憶や未来の記憶、シリアスさとユーモアなどなど….。
 これまで試みてきた、対話、テキスト、映像などでの実践を、今回はより限られた時間で完結するパフォーマンスに落とし込むのだという。
 3.11で経験した「何か」をきっかけに、そのものズバリの批判的な作品には見えないかもしれないが、佐々の仕事は、回り込んで確信を摸索するその姿勢が面白い。


こばやしはるお


軽食は「インゲンの胡麻和え、ニンジンご飯」お楽しみに!!
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今週の Live ART↓
http://blanclass.com/japanese/


3.10|パフォーマンス
佐々 瞬 [それらの日々をへて、あの日がやってくる]


日程:3月10日(土)
開場:18:00 開演:19:30
一般:1,000円/学生:800円


まだ訪れていない日の日記(もしくはいつか日記になるかもしれない文章)をめぐる記憶と経験についてのパフォーマンス。


佐々 瞬 Shun SASA
1986年生まれ。東京で活動中。2009 東京造形大学美術学科絵画専攻卒業。個展に、2009年「それについて」(TAKE NINAGAWA・東京)。グループ展に、2009年「 東京造形大学卒業制作展-ZOKEI展」(東京造形大学・東京)、「No Man’s Land」(在日フランス大使館・東京)、2010年「camaboco」(東京造形大学・東京)などがある。
http://www.sasashun.com/







2011年3月19日 佐々 瞬 [それについての話,それらの行方]より