真夜中のCAMP[これからのなにか? #7]と佐々瞬 [今から共有する場所と時間の有効な使い方への投票/あるパフォーマンスについての投票/20の選択肢]

 先日、神奈川県発、文化発信ポータルサイト「MAGCUL.NET (マグカル ドット ネット)http://magcul.net」の取材を受けた。そのサイトの フォーカスというページに7月一日に載るものなのだが、インタビューアーが、なんと山城大督。MAGCULのディレクター西野正将さんと山城氏が旧知の関係だったこともあり、謎のblanClassをアーティストとして知る山城氏を抜擢というかたち。いつもは私の方がインタビューする側だったのに、今回は逆にインタビューをされる側になったというわけ。
 「今後はよりアーティストとblanClassの役割にを共有していきたい」と、ちょうど考えていたところだったので、山城氏の率直な質問に答えていくという対話は、貴重な体験になった。山城大督は7/6にblanClassにも出演する。今回は異例のこちらからテーマを投げかけたこともあり、いつもとは違うアプローチで参加をしてくれるとのこと。よりパフォーマティブなコミュニケーションが試されることになりそうだ。そのときにあらためてお話しをすることになるのだが、その前にぜひMAGCULの記事も読んでほしい。
 さて今週金曜日の「拡張計画」月一ペースのレクチャー&トークイベントは、真夜中のCAMP。榎本浩子をゲストに、とりとめもなく朝まで気になることを話しましょう。
 そして土曜日のシリーズ「参院選へGO!|参院選ビフォアー&アフター2013」4回目のゲストは佐々瞬が久々の登場!! 佐々瞬とも先日、打合せを兼ねて2時間ほどお話しをした。この人はもう何度もblanClassでパフォーマンスを展開している。が、いつもギリギリまでどんな内容にフィックスするかが分からない。もちろん今回も同様で、展開されるパフォーマンスがどうなるかは当日になってみなければ分からない。
 打合せではいくつかのキーワードが出てきた。たとえば「17歳のバスジャック」、「幼いテロル」など。衝撃的な事件として行動されたある個人の決定を、どうやって考えていけば良いのかを悩んでいる様子だった。
 もちろん今回こちらかのオファーにある「選挙/投票/参院選」というお題を受けてのアーティストの悩みなのだ。前段、受取っている「あるパフォーマンスのための投票と、その20の選択肢」というものがあって、すでにwebにも貼ってあるのだが、それは以下のような選択肢。


1)あなたと渡邊トシフミのトークショーをする。
2)佐々瞬の今後のすすむべき未来についてアイデアを出す
3)若手議員をゲストとして、「参院選ビフォーアフター」というテーマでディスカッションする。
4)一人の作家が、パフォーマンスする事自体を投票で決めるというやり方に納得できない。入場料の返金を要求する。
5)仮にこの選挙の投票結果を得たしたとしても、そこで得られた結果を実践すること自体が
限られた美術という領域の仮想的な実践でしかないため意味が無い、つまりこの場を共有している人のための選挙でしかなく、閉じられた特定のコミュニティのためのものでしかない演劇的所為であり、まぁいいやとにかく白票。
6)基本的には共有しえない価値観を孤独に抱えること、望まれて生まれるわけではない立場を生み出すことが表現行為の重要性であるため、投票でやることを決めるという他力本願的態度には賛同できないため、白票。
7)選挙制度が、オルタナティブな政治的態度を指向しずらいものであるため、白票。
8)それでも、白票というシニカルな態度を取るのではなく何かを選ぶことによってしか未来という不確定なものに関わることはできないのでどれかを選ぶしかない、実はどれにも投票したくないのだが、やっぱりするしかないかと思い至るがしかし、マジでいい選択肢がないため、やっぱ白票。
9)いい選択肢が多すぎて、選べないため白票。
10)意味は明らかにしないが、白票。
11)白票に意味なんてない、白票に意図を見いだそうとすることが不毛である。ということで、自らが指示する政党、もしくは投票理由を明らかにする、参加者でディスカッションする。喧嘩も辞さない。
12)30人も集まればいい選挙で、選択肢が20個もある時点で死票が多くなる民意を反映させない選挙があらかじめ指向されているため、この選挙には13)実のところ、この選挙自体がどうでもいいし、夏の参院選とは関係ないと思っているが、白票以外のどれかを選ばないとパフォーマンス自体がそのまま終了するようなので、仕方なく 2番目を選ぶ事とするが、こちらにもそれなりの悪意もしくは敵意をそこで発揮させていただきます。そこで出たアイデアについては佐々瞬には死ぬ気で実践していただきます。
14)なんかもう面倒だ。今日はブランクラスで飲み会だ。
15)今日は何も見ず、何もせず帰ることにする。入場料を払うと言う事はつまり、対価を得れるかどうかとは別にその可能性に掛けるという立場に対して責任を負うということなので、仮に対価を得られなかったとしても仕方がない。ムカつくけど。
16)なんやかんやで、佐々瞬はこれらの選択肢以外のパフォーマンスを用意している気がするので、それに期待して白票。
17)選挙、と言われると嫌な思い出が蘇って辛いため白票。
18)あらゆる白票という一見オルタナティブな立場を許容する態度かと思いきや、やっぱりそれも選ばされる選択肢でしかないため、どれも選びたくない。つまり選挙に行かない。棄権する。
19)
20)19番目の選択肢が空欄になっているので、そこに投票者が同じことを書けば、それが実現されるという未知の可能性に賭けてみる。と、思いながらもそれを支持するためにはこの20番目を選ぶしかないのを苦しく思いつつ。


 この投げかけられた選択肢は、選択不能な選択肢ばかりが示されている。白票の嵐だ。それは、ある選択を迫られたときに、うっかりナイーブになってしまう私たちの日常的な状況に似ている。自分が本当に選択したいものは、そもそも選択肢の中に用意されていないのだから、選択をする必要なんてないとうナイーブさ。消極的な個人の決定と、前述したように、さらにナイーブな個人の極端な決定や行為と、佐々はどんな結びつきを発見しているのだろうか?
 本人による最終プランは今日明日中には、このコラムにもアップする予定!!!
 これまでも佐々がblanClassでことを起こしたときには、静かだが、何かとても重要な事件が確実に起こってきた。今回もきっと何かが起こるに違いない。それは突然その瞬間に起こって消えてしまう事件なので、ぜひお見逃しないように。



こばやしはるお

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[1]真夜中のCAMP[これからのなにか? #7]


「話したくないこと」榎本浩子(アーティスト)


日程:6月28日(金)23:30〜
一般:1,200円/学生:1,000円
定員:30名(要予約)

「真夜中のCAMP / これからの何か」は、気になっていることやモヤモヤしていることを、ゆっくりと時間をかけて、話し合ったり考えたりするイベントです。

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榎本浩子 Hiroko Enomoto

  • 1986年生まれ。2011年女子美術大学大学院美術研究科美術専攻修了。主な個展に「ヤマ ヒム アヌ」(gsgp女子美アートセンター準備室、神奈川、2012)、グループ展に「ブルームバーグ・パヴィリオン・プロジェクト(なんばしすたーず)」 (東京都現代美術館、東京、2012)、「thinking about dog’s death #11」(art & river bank、東京、2012)など。現在、個展「話したくないこと 英語の勉強 布団を干す」をシャトー2F(武蔵小金井)で開催中(6月23日まで)。

http://jp.flavors.me/enoeat

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CAMP http://ca-mp.blogspot.com/
〈予約について〉予約フォームかメールでご予約ください。
〈予約フォーム〉http://bit.ly/LXO3ao
〈予約方法詳細〉http://ca-mp.blogspot.jp/2008/06/blog-post.html
〈メールアドレス〉notesoncamp@gmail.com
〈メールのタイトル〉キャンプ予約
〈メールの本文〉1)イベント名 2)氏名 3)メールアドレス 4)参加人数
〈当日の予約について〉予約受付を終了していなければ可能です。予約確認のメールをお送りできないことがありますが、お気軽にお越しください。会場の準備などがありますので、お知らせいただけると助かります。ご協力よろしくお願いいたします。

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[2]パフォーマンス(投票)|佐々瞬
[今から共有する場所と時間の有効な使い方への投票/あるパフォーマンスについての投票/20の選択肢]
あるパフォーマンスについての投票/20の選択肢
※「20の選択肢」の詳細は↓


日程:6月29日(土)
開場:19:00 開演:19:30
一般:1,200円 学生:1,000円

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佐々 瞬 Shun SASA

  • 1986年生まれ。東京で活動中。2009 東京造形大学美術学科絵画専攻卒業。インスタレーション、パフォーマンス作品を制作。個展に、2009年「それについて」(TAKE NINAGAWA・東京)。グループ展に、「No Man’s Land」(在日フランス大使館・東京)、2010年「camaboco」(東京造形大学・東京)、2012年「テグフォトビエンナーレ2012」(Deagu Art Factory・韓国)、「MOTアニュアル2012」(東京都現代美術館・東京)など、パフォーマンス作品に、2012年「それらの日々をへてあの日がやってくる」(blanclass・横浜)などがある。