2016年12月10日(土)遠藤麻衣[アートプロジェクト|「ボクは神の子を妊娠した。」プロジェクト?:代理母マリアの出産]

今回のイベントは、遠藤さんが昨年、阿佐ヶ谷のTAVギャラリーにて発表された作品の、設定の中のとある場面を新たに撮影する、というイベントです。(遠藤麻衣 公演「ボクは神の子を妊娠した。」http://tavgallery.com/sonofgod/


そのプロジェクトに向けてblanClass放送室を行いました。放送室は3本に分かれています。


なかなか壮大なプロジェクトなのですが、この収録したラジオをお聞きすれば、プロジェクトの全貌が分かります。今回のイベントのコーディネーターの河口遥さんによればラジオなので作業をしながら、電車に乗りながら、などながら聞きをして欲しいとのことです。


1本目は11月4日に遠藤麻衣さんと河口遥、ウラブラ(宮澤響+野本直輝)が参加して収録したものです。ウラブラ(宮澤響+野本直輝)の二人と河口遥が遠藤麻衣さんのTAV GALLARYでの展示についてお話を伺いました。



2016/12/2/Mai ENDO/blanClass broadcasting 1/3


2本目は11月4日に遠藤麻衣さんが、出産されてまもないお母さんである花子さんに出産体験について取材収録したラジオです。



2016/12/2/Mai ENDO/blanClass broadcasting 2/3


3本目は11月9日に風邪をひいてしまった遠藤さんと河口さんが、遠藤さんの家で収録したラジオです。



2016/12/2/Mai ENDO/blanClass broadcasting 3/3


ぜひお聞きください。


みやざわひびき

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遠藤麻衣[アートプロジェクト|「ボクは神の子を妊娠した。」プロジェクト?:代理母マリアの出産]
http://blanclass.com/japanese/schedule/20161210/
https://www.facebook.com/events/157706474703274/


現代において出産とは何か?
そのことを初音ミク聖母マリアを通して考え、実践するアートプロジェクト、それが「ボクは神の子を妊娠した。」です。


初音ミクは、ライブ会場で透過スクリーンに映し出され、踊り歌います。ポップでありながらもある種の崇高さを感じさせるようです。インプットされた音声を彼女は拒絶することなく、そのまま歌声としてアウトプットし、聴衆は熱いまなざしと声援を送ります。彼女のからっぽの身体は、大衆の欲望を引き受け、映し出す鏡です。そのさまは、生々しいアイドルというよりはむしろ、聖母を連想させるのではないでしょうか。


ミクのような存在を歴史をさかのぼり辿ってゆくと、僕に想起されるのは聖母マリアです。処女懐胎を天使より告げられたマリアは、神様の思し召しのままに神の子を引き受けます。けっして拒絶することなく、その身が容れ物となることを引き受けたマリアは、やがて神の子を出産します。彼女もまた、人々の欲望や期待を一身に引き受け、祝福されて、聖母となりました。


初音ミク聖母マリア。この二つの存在は、人々の欲望を引き受け、異世界と現世の邂逅を表象するイコンとして重ね合わせることができるのではないでしょうか。


マリアとミク、二つの存在を重ね合わせてみたときに起こるずれ、それが出産です。純潔のまま子を身籠った聖母マリアと、けっして大きくなることのないミクのお腹。現代の欲望は、歌い踊るアイドルにその身をやつすことに向かいこそすれ、出産には向いていません。このずれについて思考することはつまり、現代の僕たちにとって出産とは何か?を問うことでもあるのではないでしょうか。なぜマリアは身籠ったのでしょうか。それは人々が待望していたからです。では現代のイコンにあたってどうでしょう。誰かミクの受胎を望む者はいないのでしょうか。


この問いに応える形で、僕はとある女性二人をカップリングし、代理母出産をアートプロジェクトとして進めてきました。昨年12月には、TAV GALLERYにて一連のプロセスをレクチャー・パフォーマンスとして発表しました。子供が欲しい夫婦と、子供が産みたい女性を引き合わせて、幸せな出産を実行すること。これがこのアートプロジェクトの目的です。


そして今回、臨月を迎えた代理母の出産をblanclassで行わせていただけることとなりました。彼女の名前はマリア。マリアは、ドゥーラの河口遥さん、助産師の立蔵葉子さん、そして生まれる子供の父親となる渡辺さんとともに予定日にblanclassに入り、出産の準備をいたします。みなさまにはぜひ、この祝福すべき瞬間にお立会いいただきたいと思っています。


出演:遠藤麻衣、立蔵葉子、野本直輝、渡辺美帆子
生演奏:當麻卓也
コーディネート:河口 遥
still撮影:松尾宇人
movie撮影:河口遥
スペシャルサンクス:花子さん(仮名)、赤ちゃん

*作品記録のための撮影が入ります。


日程:2016年12月10日(土) 
開場:18:30 開演:19:30(約2時間の予定)
入場料:1,500円(ワンドリンク付)

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遠藤 麻衣 Mai ENDO

  • 俳優・美術家。東京芸術大学美術研究科博士後期課程在籍。主な作品に「あなたに生身の人間として愛されたいの。」(MOTアニュアル2016 キイセイノセイキ/東京都現代美術館)、「ボクは神の子を妊娠した。」(キュレーション:飯盛希/TAV GALLERY, 2015)、「アイ・アム・フェミニスト!」(コーディネート:河口遥/GALLERY BARCO, 2015)。主な出演に《へんなうごきサイファー》(二十二会, 2014~)、《イスラ!イスラ!イスラ!》(岡崎藝術座/三重県総合文化センター, 2016)《始末をかく》(戯曲:岸井大輔, 2013~2018)。

http://maiendo.net/

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河口 遥 Haruka KAWAGUCHI

  • 1985年千葉県生まれ。主な個展に「そんなにロマンチックな目つきをするな。」(22:00画廊,2012年)、「あなた」(blanclass,2013年)、「一人の男に三人の妻、もしくは、どうして俺のことをもう愛していないの?そして、無関心な女」(永田絢子企画,blanClass,bardenbarden,HIGURE17-15cas,2014年)。主なグループ展に「開館記念展示〜青梅ゆかりの名宝展」(国立奥多摩美術館,2012年)、「土湯アラフドアートアニュアル2014」(土湯温泉,2014年)、「第3回イドガヤ・ビエンナーレ」(blanClass, 2014–2017年)など。また小平市にて、22:00画廊(http://2200gallery.com/)を運営している。「母に描かれる 母の子 母とモデル」(2015年)を寄稿したタブロイド紙Pa+ フォビアと芸術生産』(http://t.co/By2Cj04Hs3)が販売中。

http://2200gallery.com/20120609kawaguchiharuka.html