6月10日(土)・11日(日)岸井戯曲を上演する。#10[かり]


今週末は、昨年9月から月1回のペースで1年間で行っているシリーズ「岸井戯曲を上演する。」第10弾!! 土曜日と日曜日の2日間の公演です。


前回はアラカルトでしたが、今回はこのシリーズの基本に戻り、大石将弘、寒川晶子、岸本昌也、田口アヤコ、4組のアーティストがひとつの戯曲の上演に挑戦します。


――

かり

動物を狩り、植物を苅り、カリという語は、自然から借りるからきている。人生も仮住いというように、生きているのは、何かから借りた、仮の姿であるので、拝借の借りという言葉が、一時的の仮に使われるようになった。
例えば、演技するとき、私は私をかりている。では私をかしているのは誰か。

――


というのが戯曲[かり]の全文。


リアルとリアリーティーの間にあるフックのようなものが、様々な表現やその手法なのかもしれない。そしてそれは、現実にしている営みの中にある状態を解釈するための道具であり、言葉そのものの役割なのかもしれない。


わかりにくいかもしれないが、この戯曲を読んで、そんなことを考えた。現在も使われている言葉の由来を考えていくと、同音で発話される言葉の意味が元は同じでしたということはよくあるようで、そこにたどり着いてみると、なんだか妙に腑に落ちてしまう。


頭の中で、微妙にアクセントを変えて意味の言い換えをしているつもりでも、それらの意味はきっとたいした差はないのだろう。


古代の人々が、神々から、大地から、恵みを借りて、なにかを誰かにお返しする。その名残として、誰かからお借りしたなにかを誰かにお返しするのがアーティストのお仕事なのかしら? 確かに良く考えると、その誰? というところはモヤっとしていて、良くわからないものだ。


ヨーロッパの美学に根拠を持った演劇というジャンルとその思想が、日本の文化と、反発しあいながらもない交ぜに、どちらも同時にある姿に、より普遍性を感じて、その形式を担ってきたという岸井。


シリーズも大詰めになってきて、今回のシリーズを通して考えてきたことを、今月、来月には言葉にしていきたいということなので、その意味でも、今回の[かり]という戯曲はまさにふさわしい内容だ。戯曲の根拠と上演する根拠、その有り様が短い文章で書かれているからだ。


なにかアフタートークも含めてクリティカルな会になりそうです。ご期待ください。




こばやしはるお



〈blanClass放送室〉

[岸井戯曲を上演する]シリーズ恒例の放送室です。毎回、前の月に上演を行った方と、次回上演を行う方をお呼びして、プレ&アフタートークを同時に行っています。

今回の放送室では5月に[演劇はおもしろいものです]&[クロージングパーティー]の上演を行った眞島竜男さんと、[演劇はおもしろいものです]&[弱点の正気]の上演を行った二十二会の渡辺美帆子さん。そして次回(6月)[かり]を上演する田口アヤコさんをお呼びして、司会の佐藤朋子さん、劇作家の岸井大輔さんとともにお話を伺いました。(放送室進行:宮澤 響)



2017/5/25/田口 アヤコ/岸井 大輔/二十二会(渡辺美帆子)/眞島 竜男/佐藤 朋子/blanClass放送室↓


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Live Art 月イチシリーズ/演劇岸井戯曲を上演する。#10[かり]
http://blanclass.com/japanese/schedule/20170610-11/
https://www.facebook.com/events/1029224440510620/



大石将弘/寒川晶子/岸本昌也/田口アヤコ


2016年9月から1年間毎月、blanClassで、岸井大輔作の戯曲を、さまざまなジャンルのアーティストにより上演します。
ひとつの戯曲を、何バージョンかで上演し、終演後それぞれの上演を行ったアーティストでトークを行うことで、現代戯曲の可能性を考えるシリーズ。
第10回にあたる6月は『かり』を上演します。『かり』は、現在継続中のプロジェクト「始末をかく」の戯曲として書かれ、現在未上演。演技そのものへの問いかけで終わるこの戯曲に4人が挑戦します。トークゲストは批評家で「仮声のマスク」を発表している黒嵜想さんです。
================
『かり』 岸井大輔
動物を狩り、植物を苅り、カリという語は、自然から借りるからきている。人生も仮住まいというように、生きているのは、何かから借りた、仮の姿であるので、拝借の借りという言葉が、一時的の仮に使われるようになった。
例えば、演技をするとき、私は私をかりている。では私に私をかしているのは誰か。
================
バージョンA 大石将弘
バージョンB 寒川晶子
バージョンC 岸本昌也
バージョンD 田口アヤコ

司会:佐藤朋子(アーティスト/Comp) マンガ:今井 新(アーティスト)
トークゲスト:10日(土)黒嵜 想(くろさき・そう)

日程:2017年6月10日(土)11日(日)
時間:19:00〜22:00(開場:18:30)
予約:2,000円/当日:2,500円

〈予約方法〉ご予約は前日までにご連絡をお願いします。
〈タイトル〉[岸井戯曲を上演する。#10]予約
〈本文〉1)日にち 2)氏名 3)住所 4)メールアドレス 5)参加人数 上記の内容でイベント前日までに以下のメールアドレスに送信ください。こちらからの返信を持って予約完了とさせていただきます。なお定員に達した場合などお断りすることもございますので、あらかじめご了承ください。
〈メールアドレス〉 info@blanclass.com

                            • -

今井 新 Arata IMAI

  • 1992年生まれ。港北ニュータウンで育つ。2009年、ホームレスのインタビュー映像に基づく映像インスタレーション《上野公園。ホームレス。五十嵐さん。》を発表。以来、都市における様々な事象を「取材」し、映像やドローイングによって独自のナラティブに再構成する形式の作品に取り組み続けている。その際に「イマイ君」という、作者自身の分身とも言えるキャラクターを自在に操り、取材経験を作品化することも多い。
                            • -

大石 将弘 Masahiro OOISHI

  • 俳優。1982年、奈良県生まれ。ままごと、ナイロン100°Cに所属。2015年にスイッチ総研を立ち上げ。“スイッチ”を押すと“何か”が起こる3秒〜30秒の小さな演劇=「スイッチ」を開発。団体設立以降、六本木、横浜、道頓堀、小豆島など、10都市以上で上演。
                            • -

岸井 大輔  KISHII Daisuke

  • 1970年生まれ。劇作家。他ジャンルで遂行された創作方法による形式化が演劇でも可能かを問う作品群を発表している。代表作「potalive」「東京の条件」「好きにやることの喜劇(コメディー)」。「始末をかく」プロジェクトを2013年から2018年にかけ開催中。
                            • -

岸本 昌也 Masaya KISHIMOTO

  • 1987年生まれ、滋賀県出身。神楽を始めたことをきっかけに舞台に立つようになる。京都造形芸術大学情報デザイン学科卒業後、上京し座・高円寺劇場創造アカデミーにて演劇を学ぶ。現在は東京と関西を行き来しつつ、俳優・デザイナーとして活動中。これまでに、「地点」や「カンパニーデラシネラ」などの作品に出演。石見神楽東京社中在籍。
                            • -

黒嵜 想 So KUROSAKI

  • 1988年、大阪生まれ。「音楽学に拠らない音声論」を中心的な論題とし、批評やイベント企画などの活動を主に関西で展開。声優論「仮声のマスク」(批評誌『アーギュメンツ』連載)、活動弁士・片岡一郎氏による無声映画説明会「シアター13」など。先月刊行された『アーギュメンツ#2』では編集を務めた。
                            • -

佐藤 朋子 Tomoko SATO

  • 1990年長野県生まれ。2012年より振付家の小山柚香と共にComp.というカンパニーで主に「サンカ」というかつて日本にいたといわれる集団をテーマに作品発表をする(現在カンパニーとしての活動は休止中)。最近は自身の祖母の生い立ち話を「今ここに再生する」方法としてのパフォーマンスを制作したり、長野県飯山市北原地方に伝わる「狐にだまされた話」の調査をしている。
                            • -

寒川 晶子 Akiko SAMUKAWA

  • 楽家/ピアニスト 1982年、京都市生まれ。神奈川県民ホール主催「アート・コンプレックス」シリーズでの演奏会、東京都現代美術館主催「靉嘔 ふたたび虹のかなたに」 「フルクサス・イン・ジャパン2014」、京都市立芸術大学芸術資源研究センター主催「五線譜に書けない音の世界〜声明からケージ、フルクサスまで〜」など多種多様な舞台に多く出演。現代音楽の初演、再演だけでなく近年は自分自身でも新たな表現を模索し「C」音のみに特殊調律したピアノを演奏している。2016年にその特殊なピアノでロームシアター京都のオープニング事業にて個展を開催した。 
                            • -

田口 アヤコ Ayako TAGUCHI

  • COLLOL主宰、劇作家・演出家・女優。1975年 岩手県盛岡市出身。東京大学 美学藝術学専修課程卒。体外受精から39週5日の妊娠期間を経て、2015/10月に出産、1歳児子育て中。劇団山の手事情社・指輪ホテル等での俳優活動を経て、1999年 演劇ユニットCOLLOLを設立。2005年より劇作家 岸井大輔氏に師事。財団法人 舞台芸術財団 演劇人会議 会員。一般社団法人 日本劇作家協会 会員。舞台芸術制作者オープンネットワーク 会員。

近作:2014『なぜ「わたしを売る」ことで、あなたは離れていくのか』2013『サリー・キャロル』2012『消費と暴力、そのあと』2011『フリキル』2010『このままでそのままであのままでかみさま』

                            • -

blanClass月1シリーズ 岸井戯曲を上演する
第1回 『文(かきことば)』
https://www.facebook.com/events/304209653257545/
第2回 『桜木氷取 祭礼』
https://www.facebook.com/events/268749386836356/
第3回 『クロージングパーティー
https://www.facebook.com/events/1354007484687130/
第4回 『六本木ヒルズを守る一族』
https://www.facebook.com/events/409000589224192/
第5回 『メイド喫茶の条件』
https://www.facebook.com/events/1413162008697187/
第6回 『会議体』
http://ttu.main.jp/会議体 特設ページ
第7回 『本当に大事なことはあなたの目の前では起こらない』
https://www.facebook.com/events/1838121679777628/
第8回 『島』
https://www.facebook.com/events/689584794562597/
第9回 アラカルト『弱点の正気』他
https://www.facebook.com/events/1843046952620677/