7月20日(土)藤川琢史[どうにも手をつけられないので、このままキッチンで食べることにする。]

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今週土曜日のLive Artは藤川琢史が2016年以来、3度目の登場!
 
展覧会の準備をしているであろう誰かが、目の前になにもものがない状態にメジャーを当てて測ってるところを目撃したところから始まったシリーズ。blanClassではパフォーマンスとして展開してきた。
 
最初に出演した2013年の発表では、数人の協力者とともに、パフォーマンスをした。まずは前述のように、目の前にはまだないなにかをメジャーを使って測っている行為がある。パフォーマンスとしてこの行為を見れば、例えばダンスの振り付けのように、もともとの意味が剥がれた行為のようにも見える。けれども同じ動きを街中や展覧会の準備中などにその動きを見たとしたら、きっと彼ら彼女らの頭の中には、具体的な対象が想像されているのかもしれない。などと想っていると、観客からは仕切られて見えにくい場所に陣取った藤川が対面の女性に今回のパフォーマンスの準備からの経緯とその苦悩を語り出す。先ほどの「測る人」にあった図式を今回のイベントを準備する自分と結びつけて、たどり着きべき到達点のイメージすら不在の中で、何かしらを図るように感があぐねる様そのものを見せるというパフォーマンスだった。
 
2013.11.12 藤川琢史[scales(仮)]
 
2016年の2回目の発表では、今度は自分だけではなく、来場者たちと一人一人と向き合って、頼りない条件の中で、「現在いる部屋になにかものが置いてある状態を想定して、この場所に向き合ってください」などの無理難題を投げかけて対話を進めて、自分が置かれた状況に取り込むようにして、寄る辺なき、またピンボケのイメージをも共有しようという試みか?
 
2016.3.26 藤川琢史[5…10…20…30…36…43]
 
どちらにしても、彼のパフォーマンスは、なかなか本編が始まらない。といってなにもしないわけではなく、なにかしらは行われるのだが、モヤモヤと行き場がない。そもそもの発端のイメージが「測る人」の頭の中にしかなく、見る人からは空気でしかないのだから。簡単にそこに居合わせた人たちがみんな同じイメージを共有してしまうことにも疑問を感じているからなのだろう。
 
藤川琢史の作品は、なかなか始まらない上に、なかなか終わらないのだ。
 
そして今回は、藤川パフォーマンス3部作品の完結編か? いや、非完結作品か…?
 
タイトルや紹介文を見ると、例えば引越しの後、うず高く積み上げられたダンボール箱の壁の中で、身動きができない状態で、片づけるでもなく、とりあえず生活を続行するような状況について、書かれているようだ。
 
ある状況からある状況へ移行する、そのちょうど真ん中で、少しの間立ち止まった時、頭の中をいろいろなイメージがぐるぐる回っている状態を、内から眺めるのか? それとも外から眺めて想像するのか? 今回もきっと独特な雰囲気のパフォーマンスが見られるだろう。
 
 
 
こばやしはるお
 
 
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【blanClass放送室】

7/20(土)のゲスト藤川琢史さんと東京都現美の隣の公園でお話ししました。blanClassでの藤川作品は、行動の手前で立ち止まり考えあぐねる様をテーマに展開してきました。今回は3部作完結編? いや非完結編か?

2019/7/15/藤川琢史/blanClass放送室


2019/7/15/Takashi FUJIKAWA/blanClass Broadcasting

 

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パフォーマンス|藤川琢史[どうにも手をつけられないので、このままキッチンで食べることにする。]
 
片付ける荷物が背の高さを超えて山積みになっている。
奥の方にあるテーブルの上も既に雑多な物でいっぱいなので今日はそのままにして、今日もこのままここで食べることにする。
 
日程:2019年7月20日(土)
開場:19:00 開演:19:30
入場料:1,800円(ワンドリンク付)
会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)
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アクセス:京浜急行「井土ヶ谷」駅の改札出て正面の信号わたりすぐを左折、一つ目の交差点を右折、二つ目の角を左折、三井のリパーク後ろ、blanClass看板がある細い段々を上がって右の建物2階
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藤川 琢史 Takashi FUJIKAWA
1987年生まれ。東京造形大学美術学部絵画領域専攻卒業。近年の主な発表に「Hypopharynx」(krautraum、東京、2018)、「5…10…20…30…36…43」(blanClass、神奈川、2016)、「scales(仮)」(blanClass、神奈川、2015)。

 

 

7月13日(土)高石 晃[歴史の穴]

 
 
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今週土曜日のLive Artはソロでは初登場、高石晃が出演します。
 
高石晃は2014年に早川祐太と共に出演。その時はスタジオの中で、彫刻家と画家が彫刻と絵画を制作するスタジオ内での思考する様をblanClassに再現しつつ、言葉にできない状態の、その思考や行為、ひいいてはその産物がつくりだす形自体をお互いに交換することができるかという実験的な時間を示したものだった。
 
普段は絵画作品を制作している高石だが、2015年にスペース23℃で行われたグループ展「わたしの穴 美術の穴」では、ギャラリーがある奥沢の住宅の庭に穴を掘った。
 
穴を掘ったのは、スペース23℃というギャラリーがアーティストの榎倉康二氏ゆかりのスペースであったことこともあり、榎倉がかつて穴を掘っていたこと、その後、榎倉康二、高山登、藤井博、羽生真が、1970年にアパートの敷地内に空き地で行った野外展示「スペース戸塚`70」を調べていくうちに、そのことに触発された石井が空き地に穴を掘るイベントを行い、高石自身の作品行為にもなっていった。
 
また彼らのキュレーションによるシリーズに展開、昨年の「わたしの穴 21世紀の瘡蓋」を挟んで、今年5月には第3弾、「わたしの穴 美術の穴」2019年企画が3つの会場で同時開催された。
 
私は全てを見ているわけではないが、2015年のスペース23℃でのグループ展では、石井の映像作品と、高石の穴を目撃していて、最近になって、そのシリーズが継続していることにいろいろと思うところもあり、blanClassにお呼びして、なにか一緒に考えてみようということになった。
 
いろいろとというのは、私ごとにもなってしまうが、1995年〜1997年、原口典之氏が1968-69年に制作した米軍の戦闘機の尾翼部分の実物大の作品、《スカイホーク》を再制作するという話を聞き、彼とMarket(当時横浜にあったアーティスト・イニシアティブ)に頼み込んで、1年以上取材を重ねて、《スカイホーク》オンリーを特集したムック本を制作したことがあって、その動機が《スカイホーク》がつくられたのが私が生まれた歳であったこと、テレビでNHK映像の世紀を見ていたらスカイホークが鈴なりになっている空母を見たことだったのだが、石井+高石が美術史にも組み込まれているようで組み込まれていないような、しかしかつて確かにあった、あるアーティストたちの行為に、またそのわずかな痕跡に、なにかを手繰り寄せるように、静かに思考をし始める姿には、共感するところがあった。
 
「わたしの穴」のシリーズごと呼ぶという手もあったのかもしれないが、そこはblanClassなので、彼らの本体から一つだけ引っ張り出して、その正体を見てみたいという、そんな企画。
 
といっても、blanClassの敷地内に大穴を開けられては、ちょっとまずいので、本物の「穴」というわけにはいかないけれど、なにかしら「歴史」と「穴」の間で考えを巡らせるような、プレゼンテーションが展開される予定だ。
 
 
実は現在のところ、高石くんは3つぐらいの可能性を準備しながら、どれにしようかと詰めている段階(7/7現在)で、決定したら、また告知をします。
 
 
はっきりとした答えが出るようなイベントではないかもしれないけれど、blanClassを初めて訪れたはずの多くの人が、かつてのこの場所の、手の届かないはずのイメージと重ね合わせて、遠くを眺める目をしていることがあって、みんなはなにをしているんだろうと、いつも不思議に思っていたので、今度のイベントが、そこで起こっていることを、改めて考える良い機会にならないだろうかとも思っています。
 
より妄想が広がってしまうのか、それともなにかしらの気づきが生まれるのか、どちらでしょうか。
 
 
こばやしはるお
 
 
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【blanClass放送室】

今期あは2つの放送室が上がっています。それらもぜひご覧ください。

2019/5/17/高石晃#1/blanClass放送室


2019/5/17/Akira TAKAISHI/blanClass Broadcasting

7月13日(土)のゲスト高石晃さんとの放送して第1弾! 現在、三軒茶屋clinicで行われている高石晃個展「下降庭園」会場でお話ししました。「歴史」と「穴」について、個展の作品を中心にお聞きしました。

 

2019/6/27/高石 晃 #2/blanClass放送室


2019/6/27/Akira TAKAISHI #2/blanClass Broadcasting

7月13日(土)のゲスト高石晃さんとの放送室第2弾! 今回はblanClassでお話ししました。イベントの具体的なお話を伺おうと思ったのですが、どんどん美術談義になってしまいました。ちょっと長めです。

 

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プレゼンテーション|高石 晃[歴史の穴]
地面に掘られた穴はそれ自体は空虚ですが、同時にその場所固有の地層をあらわにします。その場所にしかあらわれない歴史の断面を見るよう試みます。
 
日程:2019年7月13日(土)
開場:16:00 開演:16:30
入場料:1,500円(ワンドリンク付)
会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)
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高石 晃 Akira TAKAISHI
1985年神奈川県生まれ。 主な個展に、2019年「下降庭園」(clinic、東京)2016年「地下水脈」(Maki Fine Arts、東京)、2013年「シャンポリオンのような人」(児玉画廊、東京)など。
 

7月6日(土) ミルク倉庫+ココナッツ[それらはしっかりと結ばれていて、さらに離れたキャビネットに閉じ込められていますーそれでも、物は動かされ、音楽は演奏されます。]

 

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今週土曜日のLive Artは、ミルク倉庫+ココナッツが初登場。メンバーの何人かは、これまで、出演してくれたり、お料理を作ってくれたり、電気工事をしてくれたりとblanClassに関わりもあったりするのですが、ミルク倉庫+ココナッツとしてちゃんとお呼びするのは初めてのこと。

 

今回のイベントは展示+トーク&パフォーマンス。先日まで京都総合博物館2019年度企画展「タイムライン|時間に触れるいくつかの方法」というグループ展に出品した作品と同名のタイトル「それらはしっかりと結ばれていて、さらに離れたキャビネットに閉じ込められていますーそれでも、物は動かされ、音楽は演奏されます。」となっている。

 

ということなので、先日強行軍で、京都に行ってまいりました。

 

タイムライン 時間に触れるためのいくつかの方法 - 京都大学総合博物館

 

展覧会は、井田照一という作家が1962年から2006年に亡くなるまで、日課のように制作し続けた版画作品《tantra》とともに大野綾子、加藤巧、𡈽方大、ミルク倉庫+ココナッツらの作品が並置されたもの。

 

井田照一の《tantra》という作品も独特だが、博物館で展開される美術展というあり方も独特で、常設の博物展示と体験としてはつながっていき、結果的に展覧会がテーマとするところの、捉えがたい「時間」という概念に対する珍しい接触の機会になった。

 

ミルク倉庫+ココナッツの作品は2つのものが置かれた台座が5つ並んでいて、それぞれの台座の後ろには、「変化の工程」、「履歴の中抜き」、「現象の伸縮」、「物質の置換」、「未来の先取り」という表題のついたダイアグラムが貼られているとうもの。

 

あんまり詳しく説明していくとネタバレになりそう? と言っても、ちゃんと説明できる自信はないけれど…。一見関係の遠そうな2つのものをつなぎ合わせる図式が展開され、時間の経過で変化を遂げるものものが見せるであろう様相を想起させる仕掛け?

 

そして、問題のパフォーマンスですが、タイトルにある「〜音楽は演奏されます。」の部分が実践されるということのようで、「変化の工程」、「履歴の中抜き」、「現象の伸縮」、「物質の置換」、「未来の先取り」のパフォーマンスへの転換が試されるようです。


今回のblanClassの展示では、その京都での展示が再現されるので、京都には行けなかったという人はぜひ遊びに来てください。

 

こばやしはるお

 

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【blanClass放送室】
7/6(土) のゲスト、ミルク倉庫+ココナッツによるリハーサル中の様子です。当日は12時から展示、夜19時半から、パフォーマンスとトークが展開されます。この動画は音声なしですが、もちろん当日には全てが明らかに!! 京都大学総合博物館の「タイムライン」展をお見逃しの方も、ぜひこの機会に!!

 

2019/6/30/ミルク倉庫+ココナッツ/blanClass放送室


2019/6/30/mirukusouko + The Coconuts/blanClass Broadcasting


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展示+トーク&パフォーマンスミルク倉庫+ココナッツ[それらはしっかりと結ばれていて、さらに離れたキャビネットに閉じ込められていますーそれでも、物は動かされ、音楽は演奏されます。]
http://blanclass.com/japanese/schedule/20190706/
https://www.facebook.com/events/1587033398142924/


複数の事物や事象を引き合わせ、相互に射像させることで、今まで潜んでいた関係性を暴くことを展示において試みます。

日程:2019年7月6日(土)
展示:12:00〜
トーク&パフォーマンス:19:30~
料金:1,500円(ドリンク別)/500円(展示のみ)
会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)
https://goo.gl/maps/Q7Aat7nBarE2
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ミルク倉庫+ココナッツ mirukusouko + The Coconuts
ミルク倉庫は2009年に結成し、2015年よりアーティストユニット・ココナッツが加わり、現在は7名でミルク倉庫+ココナッツとして活動している。メンバーは、宮崎直孝、松本直樹、梶原あずみ、篠崎英介、坂川弘太、西浜琢磨、瀧口博昭。メンバーそれぞれが、電子制御、映像、エディトリアルデザイン、土木系 技術、建築、音響、造園などの専門的な技能を有し、中世のギルドのように芸術家と技術者の線引きをしない組織形態になっている。2013−2016年、八丁堀にて「milkyeast」を運営。

主な個展に、「Chewing Machine チューイングマシーン」(2017/S.Y.P. art space)、「家計簿は火の車」(2016/3331 GALLERY)、主なグループ展に、「タイムライン − 時間に触れるいくつかの方法」(2019/京都大学総合博物館)、「清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2017 − 身体のゆくえ」(2017/岐阜県美術館)などがある。
http://milksouko.com

6月29日(土) ★★シリーズ SakSak#15 Aokid[Everything]

今週の土曜日はSakSak#15、ゲストはダンサーでアーティストのAokid。

 

blanClassでは、岸井大輔さんの上演シリーズでのゲスト出演があるけれど、ソロでの出演は実は初めてのAokid氏。

 

 

彼はダンサーだけれどその活動の幅がとても広くて、パフォーマンスのイベントを自分で企画したり、アーティストとして絵の展覧会を開いたり、デザインワークを手がけたり、様々なタイプのアーティストと積極的に関わりながらその活動を展開している。

 

僕自身も昨年、彼が行なっている「どうぶつえん」というイベントに呼んでもらってパフォーマンスをしたり、参加していた公演のトークゲストを彼にお願いしたりと、少しずつ交わる場が増えてきたこともあって、今回はSakSakで何かやってもらえないかと思い声をかけてみた。

 

 

今回のイベントは「Everything」ということで、それは言葉の意味通りに「すべてのもの」であって、そこには何か特定の「どれかではない」ということも含まれているから、きっと文字通りの「全部」というわけでもないのだろう、みたいな想像もできる。

 

唐突にそんなことを思ったのは、そういえばAokidが書く文章も独特だったなあということを思い出したから。

Aokidの文章は、読んでいるうちに勝手に頭の中でリズムが生まれて、読むというよりも見ている目から入って頭の中が踊らされるような感覚で、そういう振り付けみたいな文章だなぁと思ったことがある。

 

彼はダンサーだから自身も踊るけれど、姿勢としては「みんなもやろうよ!」というノリを常に示していて、見ている人にとってそれ自体が振り付けになる場もあれば、ならない場も当然あるよね、みたいなことを試しているように見えるから、文章も踊りも、その受け手の様子をいつも想像しているのかもしれない。

 

 

今回のイベントでどんなことを試すかはまだよくわからないけれど、開場時間が1時間半あって、その時間も結構重要な時間になりそうだとか。

ご興味ある方はぜひ、開場時間も含めた全てのものを、見に来て、遊んでいってほしいと思う。

 

野本直輝

 

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2019/6/22/Aokid/blanClassb放送室

Aokidとの放送室を公開しました。渋谷の雑音がうるさいですが、全部(Everything)を見てもらえると嬉しいです。AokidもEverythingしています。


2019/6/22/Aokid/blanClassbroadcasting

 

 

SakSak #15 Aokid

Everything|ダンス、遊び、全部

blanClass webページ http://blanclass.com/japanese/schedul...

facebook イベントページ https://www.facebook.com/events/29395...

 

The day I want to do everything.

あの頃、友達と遊ぶ時にゲームもレゴも自由帳も外遊びもおやつも全部やりたい日があった。

あの日全部出来たっけ?どれくらい出来るかを改めて興奮とアイディアを持って集まったら始めたい。

 

出演:Aokid/企画:野本 直輝

日程:2019年6月29日(土)

   17:30 からOPENしています。

   19:00 START

料金:1,800円(1ドリンク付き)

会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)

https://goo.gl/maps/Q7Aat7nBarE2

 

Aokid

アーティスト/ダンサー。東京造形大学映画専攻卒業後、ダンスカンパニーへの参加を経て現在の"Aokid city"などのプロジェクトを開始する。ドローイングやパフォーマンス作品の制作、発表の他、積極的にイベントなどの場所や時間の作り方を模索している。

http://ninjaaokid16.wixsite.com/aokid

 

SakSak

SakSakでは、誰かが発する表現を手掛かりに、その先を一緒に考えながら、その思考を交換することができる場の可能性を模索します。そのために取り敢えず、粗くてもろい、隙間だらけの場を想像してみる。(野本直輝)

https://saksak.localinfo.jp

 

6月22日(土)神村 恵[彼女は30分前にはここにいた。]

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今週土曜日のLive Artは神村恵によるソロダンス。
 
神村さんはblanClassには、高嶋晋一さんとのユニット「前後」の一員として作品の発表や週イチセッションの講師としても参加していただいていたり、blanClassでの発表こそなかったけれど、津田道子さんとのユニット「乳歯」では、何度かここで稽古をしていたりするので、ちょっと意外なのですが、実はblanClassでのソロ出演は初めてです。
 
ご自身も最近はコラボレーションが多かったようで、久しぶりのソロダンス。
 
放送室でのプレトークでもお話ししたのですが、誰かとコラボレーションをする際には、どちらかというとボケ役を買って出ていたそうで、ツッコミがいない状態では、ボケって成り立たないと実感するそう。
 
そうかもしれない。ツッコミこそ独りでは無理と思ってしまうが、独り言って、ツッコミっぽい。
 
とはいえ、そうやすやすとはツッコミには転じない神村さん。自然の営みをツッコミ代わりに、あるいはもう一人の自分だってツッコミ要員にかり出して、どうにかボケが成立するような状況づくりに挑戦します。
 
「ボケというのは、観客も含めて、あらかじめ共有される、ある種正常な状況の中で、奇異な態度や発言を投げ出していくこと」というような意味のことを神村さんは言っていたけれど、そういうことで、ダンスらしきものが立ち上がっていくのかしら?
 
日没していく1時間ぐらいのシチュエーションで、ストリートのように外の変化に対峙しつつ、舞台上にふっと消えてしまうような瞬間が生まれそうな期待をしてしまいます。
 
窓のあるblanClassならではの公演でもあるので、ぜひぜひお運びください。
 
 
こばやしはるお
 
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【blanClass放送室】

6/22(土)のゲスト神村 恵さんとお話をしました。ソロでの発表は久しぶりということで、ユニットでの制作とは違う状況や関係の作り方などのお話を伺いました。

2019/6/12/神村 恵/blanClass放送室


2019/6/12/Megumi KAMIMURA/blanClass Broadcasting

 
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ダンス|神村 恵[彼女は30分前にはここにいた。]
日が最も長くなる時期、日没前後の時間にダンスをおこないます。
境目の時間に、何が消え、何が浮かび上がるのか。
人だけではなく、太陽や影や床やものや思考や騒音なども踊ることになるでしょう。
 
 
日程:2019年6月22日(土)
18:20頃ー19:20頃(日没前後)
入場料:2,300円(ワンドリンク付)
会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)
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神村 恵 Megumi KAMIMURA 振付家/ダンサー
2004年より、国内外の様々な場所にて公演を行う。2016年より美術家・津田道子とのユニット「乳歯」を始動。物質としての身体、言語によって切り取られる身体、他者との関係によって動かされる身体など、身体を様々な側面から観察する。

6月16日(日)矢内原充志/中村兼也/河ノ剛史[スワッピングデイ SWAPPING-DAY]

 

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今週土曜日のLive Artは矢内原充志が2011年以来の登場!!
 
今回は中村兼也(ヘアメイク)、河ノ剛史(ビジュアル)も加わり、参加者と共に、ガチで女装をしてみようというワークショップ。
 
前回の矢内原充志イベントは「箪笥ショー」と題して、自身が子供の頃に2人の姉たちと友人や親戚の家にある箪笥の中身をひっくり返して熱狂したファッションショー? を再現したようなイベントだった。
 
その子供の頃に興じた洋服との戯れが現在の充志くんのクリエイティビティーの源泉だったのかもしれないが、今回はもう少し突っ込んで、自身のジェンダーやソーシャルイメージを飛び越えたメイクやファッションに挑戦しようというもの。
 
ファッションはとっくに多様だし、どんな格好も自由自在に、それこそTPOに合わせて、ハイセンスに飛び越えられるはず…。なんて頭の中では思っているけれど、実際のところ、あんまり派手な格好なんかしたらドン引きされて「なんかイメージが違う」とか、いちいちチェックされちゃうから、とやかく言われるたびにちょっとずつ、おとなしめの格好にスライドして、いつの間にかアースカラー専門の地味ーなワードローブ着て、できるだけ静かに振る舞うようになってしまった今日この頃…。
 
そんな人は少なくないはず。
 
放送室のプレトークでは、充志くんいわく「そもそもそれぞれ人間は多面的に外側に顔を持っているはずなのに、どれか一つだけの顔(面)だけを、例えばSNSのようなメディアを使って肥大させっていくような現在の状況がとても不健康だ」。
 
なるほど、誰もが見せたい部分だけを見せることができる装置があるから、意識してか無意識なのか、自分自身がそのイメージに縛られてしまうようなことが起きているかもしれない。
 
それが昔のタレントのようなイメージだけかというと、例えば、社会的に責任を伴うようなお方いイメージでも、同じ仕掛けで肥大化してしまっているかもしれない。
 
そんないびつな多面体を本来の曖昧で、自由な形にほぐしてみようというのが、今回のガチ女装の意図。できるけど、そうそうできないガチメイク。ストレートの男性でなくても、あまり経験のない人が多いのでは?
 
というわけで、男性でなくても、お父さんでなくてもガチメイクしてドレスアップできます。
 
 
自分がメイクするのはちょっと…という人も、観覧するだけでもOKです。その場合は、思い切って無料でどうぞ…。
 
 
こばやしはるお
 
——
 
【blanClass放送室】

6月16日・父の日のゲスト、矢内原充志さんが運営する有限会社スタジオニブロールのアトリエに伺って、今回のイベントについて、お話ししました。

 

 2019/6/6/矢内原充志/blanClass放送室


2019/6/6/Mitsushi YANAIHARA/blanClass Broadcasting

 
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ワークショップ
矢内原充志(ファッション)/中村兼也(ヘアメイク)/河ノ剛史(ビジュアル)
[スワッピングデイ SWAPPING-DAY]
~父の日は男子と女子とその間の全てを混ぜる日にしたい~
僕たちは、ちょっと気が緩むと、都市に直線を求め、その慰めに植物を置く。
曖昧な有機体で当然なのに、何かの型に入れて存在を固めようとする。
直線に飼い慣らされないために、去勢されないために、いつも自分を疑っていなければいけない。
境界はどこまでもグラデーションで、いつも時間とともに揺らいでいるものだ。
6月16日、令和元年、父の日は男が本気で女装をする日にしたらどうかと急に思った。
当然、逆も中間もなんでもありよ。
 
 
日時:2019年6月16日(父の日)
13時くらいから話し合い 15時くらいから着替え&メイク 17時くらいから順次撮影 19時くらいからパーティー(集合写真) 21時に解散。
参加費:3,000円(女装費込み)
定員:15名程度
会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)
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矢内原充志 Mitsushi YANAIHARA
1975年生まれ。愛媛県今治市出身。桑沢デザイン研究所卒業。1997年~2011年国際的に活躍するパフォーミングアート・グループ「ニブロール」のディレクター・衣装担当として活動。
平行して、2002年~2009年「Nibroll about Street」名義で東京コレクションを発表。東日本大震災を受けてこれまでの表現活動を見直し、2011年からリアルクローズのメンズブランド「Mitsushi Yanaihara」を始動。2012tokyo新人デザイナーファッション大賞プロ部門選出。
また衣装家として海外を中心に活動しながら、国内では様々なプロジェクトのアートディレクションを手がけている。有限会社スタジオニブロールCEO。桑沢デザイン研究所非常勤講師。
 

6月8日(土) ★★シリーズ SakSak#14 小山 渉[Phantasma / みえてくるもの]

今週の土曜日、6月8日はSakSak#14、ゲストにアーティストの小山渉さんをお迎えします。

 

blanClassでは初登場の小山さん、僕は彼の卒業制作くらいから、なんだかんだいろいろと作品を見てきて、先日、北千住のBUoYで行われた彼の個展も見に行ってみた。

そこでは、大学の卒業制作から新作の映像や写真など、いくつかの作品を時系列的に配置したインスタレーションを発表していた。

 

彼の制作の中心的なテーマは「幽霊」なのだけど、それは彼自身が中学校の3年間をほぼ全て不登校で過ごした中で、たった1日だけ学校に行ってみた日の経験と結びついている。

久しぶりに学校へ行ってみたら、周りの人からは自分が見えているの?というくらい、ふわふわした存在のような自分が、幽霊になったかのようだったらしい。

実際には、周りの人から見た彼の姿や存在が、どう認識されたか分からないにも関わらず、彼が、自分で自分のことを幽霊だと思ってしまったところが、面白いところ。

 

今回のイベントでは、「洞窟の比喩」をモチーフにした参加型のパフォーマンスを予定している。

「洞窟の比喩」とは、プラトンイデア論を説明する際に用いた比喩の一つで、それは洞窟の奥で壁を見続けるように身体が拘束された状態の人、その反対側には火、その中間に火の灯りを利用して壁に影を作り出す人物がいる。拘束された人は映し出された影を見続け、その影が世界の実体だと思い込んでいる、という感じ。

彼が中学校で「幽霊」になったときの話を、この洞窟の比喩に当てはめてみると、火、影を操る人物、拘束された人々、壁に映し出される影のそれぞれが別々の何かというより、この4つの役割全部が彼の中でループしていて、幽霊の影を自分に投影しているようにも見えてくる。幽霊の影ってなんだろう。

 

イベントは参加型ということなので、比喩の中の、火、影を操る人物、拘束された人々、壁に映し出される影のそれぞれに、今度は役割を振ってみて、複数の人で何かやってみる、という感じなのだろうか。

もちろん、その様子をさらに外側から捉える目も必要で、それぞれの場所から見える影の形も違うはず。

実も像も影も、なるべく複数の視点から見届けたいので、少しでも興味のある方はぜひご参加ください。

 

野本直輝

 

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2019/5/31/小山 渉/blanClass放送室

ゲストの小山渉さんとのblanClass放送室も公開しました。blanClassには初出演の小山さんに、制作の中で大きなテーマになっている「幽霊」的な経験談から、最近発表した作品、そして今回のパフォーマンスについて、いろいろお話ししてもらいました。


2019/5/31/Wataru KOYAMA/blanClassbroadcasting

 

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SakSak #14 小山 渉

Phantasma / みえてくるもの|参加型パフォーマンス

blanClass webページ http://blanclass.com/japanese/schedule/20190608/
facebook イベントページ https://www.facebook.com/events/438650620046196/

 

暗い洞窟、火の揺らめき、前方のみを見続ける囚われた人々、影によって作り出されるイメージ、イメージを操作する者…

私はこれらの要素を含んだプラトンの”洞窟の比喩”に、実際のイデアにまつわる内容よりも、そのイメージ自体に強く惹かれてきました。

今回はそうした“洞窟の比喩”をモチーフに“みえてくるもの”を探ってみようと思います。

 

出演:小山 渉/企画:野本 直輝

日程:2019年6月8日(土)

開場:18:00 開演:18:30

料金:1,000円+投げ銭

会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)

https://goo.gl/maps/Q7Aat7nBarE2

アクセス:京浜急行「井土ヶ谷」駅の改札出て正面の信号わたりすぐを左折、一つ目の交差点を右折、二つ目の角を左折、三井のリパーク後ろ、blanClass看板がある細い段々を上がって右の建物2階

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小山 渉 WATARU KOYAMA
1992年東京都生まれ。2016年東京造形大学卒業。
主な展示に”Untouchable”(北千住BUoY 2019)、 ”作品を「飾る」#1 ”( 相模原SOS@相原スタジオ 2018)、”Escape”(アートセンターオンゴーイング 2018)など。
https://watarukoyama.jimdo.com

SakSak
SakSakでは、誰かが発する表現を手掛かりに、その先を一緒に考えながら、その思考を交換することができる場の可能性を模索します。そのために取り敢えず、粗くてもろい、隙間だらけの場を想像してみる。(野本直輝)
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