9月17日(土)吉川陽一郎[地球の上を回る回る。]


今週土曜のLive Artは吉川陽一郎が3年半ぶりの登場!!


吉川は言葉に寄らない「かたち」から受け取る経験を彫刻に置き換えるようなユニークな作品を80年代から現在まで精力的に、またその多くを自力で発表し続けてきたアーティスト。


また展覧会とは別に、パフォーマンスの制作もしてきたのだが、なぜかそのパフォーマンスの方は人前で発表するのではなく、スタジオに知人の写真家を一人だけ呼んで、秘密裏に行うと、記録だけをし続けていた。


blanClassを始めた頃、パフォーマンスをとうとう人前でやってみてはくれまいか? と説得すると、だいぶ間を置いてから、思いつめたような電話があって、「やらさてください」という低姿勢なお返事をいただき、以来、blanClassで、何度かパフォーマンスイベントをお願いするようになった。


今年の春、「裏無いの小部屋」(路地と人, 東京)での展覧会を見に行ったのだが、その内容は全体がインスタレーションのようであり、ひとつの彫刻の経験のようでもあり、また吉川陽一郎本人の営みそのもののようでもあった。


というのも、その小さな会場に入ると、入れ子状に小部屋が設えられており、観客は一人ずつその小部屋に入る段取りなのだが、舞台セットの裏に待っているような、その上吉川さんがずっとしゃべり続けているという状態だったのだ。


その吉川さんにツッコミを入れながらビールを頂戴したのだが、帰る頃になって、やっと、それらが皆吉川さんのパフォーマンスの一部なのだということに気がついた。


かつてはそれぞれの仕事をはっきりと分けることで、作品が成立すると考えていたであろう、思考の端々が、最近の吉川の仕事では、どんどんくっついてきているのだろうと考えた。


今回のblanClassでのパフォーマンスは、この夏に静岡県掛川市東海道日阪宿で開催された「GAW展」で行われた「地球の上を回る回る」の展開版。日常も非日常もなく、ひたすら何かの行為をし続けている彼自身の行為が淡々と展開されることだろう。


リアルこそが不条理に見える現在の社会にあって、アーティストの愚直な行為の連続を不条理の表れというのが妥当なのかどうか、もはやよくわからないのだが、その社会の現状にあって、なお行為する意味を見つけたのは確かなようだ。


当日垣間見れるののは、長い長い吉川の行為のほんの一部に過ぎないだろうが、そこに立ち会ってこその経験があるはず。ぜひご来場をお願いします。



先日吉川さんと宮澤くんがデモンストレーションを交えてお話をしました。そちらの様子もご覧ください↓



2016/9/12/吉川陽一郎/blanClass放送室
2016/9/12/Youichiro YOSHIKAWA/blanClss broadcasting



こばやしはるお
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パフォーマンス|吉川陽一郎[地球の上を回る回る。]


始まりも見えず、終わりも見えないものを、人は見てくれるのでしょうか? 小さな鉄の球を時間のある限り、部屋いっぱいに押していきます。ぐるぐると。時々おかしなものをかぶって自転します。


日程:2016年9月17日(土)
開場:18:30 開演:19:30
入場料:1,300円(ドリンク別)

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吉川 陽一郎 Youichiro YOSHIKAWA

  • 1955年鹿児島生まれ。7歳まで宮崎で、以後18歳まで横浜で育つ。1浪。多摩美術大学彫刻学科卒。留年1回。卒業後はほぼ横浜在住。立体作品製作発表の傍ら、30年間映像の操演、舞台の特効の仕事に携わる。近年身体を使った表現が多くなる。2年前から 介護の 仕事を始める。3児の父。運転免許持つも運転できず。

http://www.ab.auone-net.jp/~yoshikaw/