blanClass定番企画、ステューデントアートマラソンは学科や専攻を違えた現役学生が、一時だけ学校を離れ、それぞれの表現をやってみる異種格闘技戦。
ステューデントアートマラソンは、いつもそうなのですが、世の中にはたくさん存在するはずのどのジャンルからもズレているような作品行為が見られる稀有な機会になるはずです。
彼ら、彼女らが、どんなタイミングでアートに関心を持ったのかは、それぞれ違うのでしょうが、それぞれに共有する文化があったり、全くの個別な経験に根ざしていたり、学校で学んだことも無関係ではないでしょうし、いろいろなメディアから吸収した知識や感覚もあるのでしょう。もっとも若いアーティストたちが一生懸命に、あるいは無造作に投げ出す、問題や表現というものは、きっと何年後かの社会が抱えるさまざまな問題をいち早く予兆しているものです。
募集を始めて2回目の開催、今回は14組が参加、内容はドローイングについてのワークショップ、道具の読み替え作業、アンケート、参加型スライド上映、言語によるコミュニケーションの実験、料理、演じること、参加型パフォーマンス、翻訳アプリによる演劇、粘土の壺に入るなどなど、どんな作品行為が展開されるのでしょうか?
学生以外の方々もぜひ足を運んでください。よろしくお願いします。
先日、全員ではないのですが、藪奥晴奈さん、西尾佳那さん、橋場佑太郎さん、奥村友規さん、黒坂祐さん、西本健吾さん、大橋藍さん、土屋友美さん、team☆HENTAIの秋山果凜さんと稲葉孝文さんの9組の皆さんとスタッフの宮澤響がステューデンたちにインタビューしました。そちらもご覧ください。
2016/11/7/ステューデントアートマラソンvol.12/blanClass 放送室
こばやしはるお
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アートマラソン|ステューデントアートマラソン vol.12
http://blanclass.com/japanese/schedule/20161126/
https://www.facebook.com/events/213705265726788/
日程:2016年11月26日(土)
時間:13:00〜20:00(予定)
入場料:700円(ドリンク別)
大橋 藍[これまでも、これからも、もち続けるであろう不在と、これからもつことになるかもしれない不在について/それらの為に私たちができること](女子美術大学美術学科洋画専攻3年)
- パフォーマー達と、パフォーマー達の亡くなってしまった友人や、家族などで『はないちもんめ』という子どもの遊びを行います。私たちは、生きている限り、友人、家族などの身近な人の死を経験していくと思います。それらをみつめたとき、死が私たちにもたらす不在や、不在によって伴う孤独を心からみとめたうえで、それでも、それらに対して、私たちのしたいようにふるまい、感じたままのきもちをあらわにすることだってできると思います。
奥村友規[enquête](多摩美術大学大学院博士課程前期1年)
- 睡眠時間についてのアンケートを行います。用紙が配布されますので可能な限り回答をお願いします。本イベント中に自作のアンケートを配布し回収します。
黒坂 祐[だれでもない風景](東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻)
- わたしがポジフィルムで撮ってマウントした写真を何人かに選んでもらい、スライドプロジェクターでそれを投影していく。選んだ人はその写真のどこが気になって選んだのか語ってもらう。それを順番に行なう。わたしが選んだ風景に再び選ぶという行為を重ねてみる。
しばたみづき[“見入ること”への実験](東京藝術大学後期博士課程油画2年)
- ”見入ること”で、過去・現在・未来を同時にみることは可能だろうか。自らつぼの中に入ることで、正しく文字通り、見入ることが出来るだろうか。見入ることで、空(カラ)の中身をみれるのだろうか。
土屋友美[untitled](武蔵野美術大学油絵学科油絵専攻4年)
- 我々のコミュニケーションは不完全である。コミュニケーションにおける言語の割合は約7%、その他視覚、聴覚による受け取りが全体の9割を占めている。言語として相手に伝える時の状況や状態を操作し、言語の透明度をあげてよりリアルなコミュニケーションを図る。
team☆HENTAI(秋山果凜/稲葉孝文/入澤千咲)[team☆HENTAI〇〇改ざん事件](東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻領域2年)
- 携帯などの端末によく見られる翻訳機能は意味を持たなくなることがほとんどである。この翻訳機能を使って私たちは最も身近な文章を二重に翻訳し演劇形式にして発表したい。そこから生じる意味の差異について考えていきたい。
長屋涼香[地元について](多摩美術大学絵画学科油画専攻3年)
- 地元が高齢化など様々な問題によってゴーストタウン化している現状を語り、記憶する人がいなくなれば消滅する存在の町の寿命を延ばす。語り部は鑑賞者もなることが可能で、それぞれ思いえがくのは別の場所だが、不確かで懐かしいという共通の「地元」を思い起こす、会話型のワークショップ。
西尾佳那[in order for to do(仮)](東京藝術大学大学院美術研究科修士1年)
- 道具の定義:「自分以外の物体をその本来の位置から取り出し、身体で操作することによって、それなしではできない目的を達成する。もしくは、困難な目的を容易に達成する獲得行動を道具使用、その時操作した物体を道具とする」 ※「自分」、「身体」はヒトが使用する場合の表現。a. ホミニンが最初につくった道具は叩く、切る、削る機能が複合された1つのものだった。ヒトの祖先であるホモ・サピエンスにその道具が伝わると、それぞれの機能に特化するように個別の道具へ改良していった。b. ヒトはある理解の範囲を超えて現れる物事や物体に対して言語や数値などに明確化(共有できる形)または、既存の物事や物体におきかえて理解できる範囲に置く。
西本健吾[人間の尊厳に関する実験vol.2:上演](東京大学大学院教育学研究科博士1年)
橋場佑太郎[個人研究:道をひくことについて](武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科4年)
- 私は現在、川崎市中原区に住んでいます。多摩川河川区域に最近、二棟の高層マンションが建設中です。今回はマンションとマンションの間にできた道を、なんとか視覚的に分かりやすくする方法を提示できたらと思います。
花崎結梨[小麦色の犬](武蔵野美術大学造形学部油絵学科大学院2年)
- 私はいま、金髪にしています。ある日鏡の前でからんだ髪をとかしていると、くしゃくしゃになった自分の髪をみて、実家で飼っていたゴールデンレトリバーを思い出しました。そのように思って改めて自分の後頭部を撫でてみると、不思議な気持ちがしました。私がいま撫でているのは、自分か、飼っていた犬か。うろ覚えでパステルで描いたゴールデンレトリバーの絵があります。そのうち写真も実家で見つけて、美容師さんに見せながら染めてもらうつもりです。鏡で自分を撫でながら思い出したのは、「星の王子様」(とくに池澤夏樹さんの訳が好きなのですが)のキツネの一節でした。“小麦畑をみると、君の金色の髪を思い出すようになる…” 絵をみながら、髪を撫で、それをみなさんに読んでみせるつもりです。
吉田未来[myein](東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻3年)
- 円環的合一を目指すために行われるような行為や自動連鎖的現象のなかで得られる体感。すべてが並列に置かれ”同じ”になることを目指す。
藪奥晴奈[「始まり」の共有](女子美術大学大学院美術研究美術専攻博士前期課程1年)
- 私は普段目にしている物から見えたモノをテーマに制作している。皆、制作するテーマは異なるが、そのプロセスを他者に見せる機会は少ないのではないか? アーティストであるならば、その「始まり」を一度共有しても良いのではないか?
山本千愛[木材をもち・あるく](群馬大学教育学部美術専攻3年)
- 私は、2016年の4月13日を皮切りとして12フィートの木材をもち・あるきだした。なぜかというと、こんな世の中だから。でも、なぜ木材にしたのかは自分でもよくわからない。その衝動がどこからきて、これからなにをするのだろう。私にもわからないこの衝動をみんなで想像しよう。
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