blanClassの日|良知 暁

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以前、リーフレットの英訳を頼まれてblanClassの小史を眺めたとき、その成り立ちを含め、思いのほか知らない出来事が多かったことを覚えている。それは自分が出演者なり観客なり、それぞれのかたちでblanClassに関わった人々の多くを知らないということでもある。おそらく、このblanClass10周年記念+クロージングパーティーに足を運ぶ多くの人にとっても、blanClassはそういうところではないだろうか。事実、「モバイルキッチンでできること#3」について、ともに企画した永田さんやblanClassの小林さん、安部さんと決めたゲストの半分近くの方には、これまで一度も会ったことがない。
 
blanClassのファイナルイベントのひとつ、10周年記念+クロージングパーティー「モバイルキッチンでできること#3[○月○日の料理]」では、複数のゲストが〈モバイルキッチン〉をつかって、それぞれ特定の日付のための料理をつくる。ーー打ち合わせのときに(あるいは放送室で)安部さんが言ったように、それをキッチンと呼ぶのはおかしな話で、〈モバイルキッチン〉と言うのは、5年ほど前にblanClassに新たに加えられた機能であり、条件のことなのだろう。〈モバイルキッチン〉登場以前から、料理はblanClassのひとつの特徴だった。過去のアーカイブを遡れば、その一部を見ることができる(そうでなくても、料理はイベントの記録写真にしばしば写り込んでいる)。その意味で、〈モバイルキッチン〉はblanClassの活動の裏側(階下)にあった、もうひとつの「つくる」という工程を共有するものだったのかもしれない。「モバイルキッチンでできること#3」のテーマを[○月○日の料理]にした理由のひとつは、特定の日付と結びつけられた料理の存在。たとえば、1月7日の七草粥。あるいは、7月6日のサラダ記念日。日付は料理と結びつき、言葉にしえぬものや実体なきものの記憶をとどめる。しかしながら、記憶されたはずのものの不確かさゆえに、その形式こそが信じられるものとして残されることになる。
 
「blanClassの日を制定しませんか」と提案してみた。
 
なぜ「日付」か。数ある理由のひとつは、日付と忘却あるいは想起との関係にある。日付はしばしば特定の出来事と結びつき、その周期的な運動において「何か」を到来させる。また、日付それ自体を媒介に複数の出来事を結びつける。blanClassという場に結びついていた言葉にしえぬものや実体なきものを、場ではなく、日付に結びつけることはできないだろうか。休業を宣言したblanClassから、あえて〈モバイルキッチン〉登場の元にあった改造/拡張というアイディアを引き継いで、「blanClassの日」という新たな機能を拡散する(いずれはblanClassの料理のレシピも拡散できないだろうか)。国民の祝日に関する法律には、その祝日を命名するだけでなく、それがどのような日であるのかといった一文が記されている。たとえば、文化の日であれば、11月3日、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」のように。blanClassの日を、毎週土曜日に開かれる一夜完結のイベントが始まった10月17日に制定するとき、その一文を記すべき「」の中はその名にちなんで、からっぽのままに残されるだろう。
 
10月20日の10周年記念+クロージングパーティー「モバイルキッチンでできること#3[○月○日の料理]」では、ゲストによる[○月○日の料理]や、当日参加できない人々によるなんらかの形での遠隔参加に加えて、からっぽのままに残された「」のことについても話をしてみたい。
 
 
らちあきら
 
 
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★blanClass10周年記念+クロージングパーティー
モバイルキッチンでできること#3[○月○日の料理]
2014年にblanClassの新たな機能として登場した〈モバイルキッチン〉をつかったパーティー第3弾。
 
10周年を迎えると同時にすでに「休業」を宣言しているblanClassから、あえて〈モバイルキッチン〉登場の元にあった改造/拡張というアイディアを引き継いで、「blanClassの日」という新たな機能を拡散できないだろうか。ときに日付は一度だけ起こった特定の出来事と結びつき、その周期の運動において「何か」を到来させる。しかし一方で(あるいはだからこそ)、国民の祝日から極めて個人的な記念日まで、日付のその特性はしばしば恣意的にさまざまな形で利用されている。
 
毎週土曜日に開かれる一夜完結のイベントが始まった「10月17日」を改めて「blanClassの日」に制定したとき、あなたはそれをどんな日として思い出すだろう。
 
というわけで、「ご飯をつくることで社会らしきものをつくること」(2014)、「だれかのためのデモンストレーション」(2015)に続く今回のテーマは「○月○日の料理」。それぞれのゲストがつくる特定の日付のための料理を食べながら、みんなで10周年を祝いましょう!
 
ゲスト:荒木 悠/梶原あずみ/金 善瓔/BARBARA DARLINg/野田京子/古市久美子/ヤング荘(津山 勇+北風総貴+安野洋佑)ほか
遠隔参加:奥村雄樹+見増勇介/佐々 瞬/増本泰斗/百瀬 文 ほか
企画:永田絢子/良知 暁/blanClass
 
日程:2019年10月20日(日)
開場:13:00(なんとなく開けてますのでお気軽に…)
パーティー:17:00(ゆるゆると始める予定)
参加費:2,000円
 

10月13日(日)中村達哉[ミニマルな劇について考える]参加者募集中!

 

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今週日曜日のLive Artは中村達哉による参加型イベント。このイベントも10月中の他のイベント同様、blanClassの10周年と休業の両方を記念したファイナルイベントのひとつ。
 
中村達哉はblanClassにとって、とても貴重な存在だった。数少ないコンテンポラリーダンス枠のアーティストということもあるが、それだけでなく、彼が最初に登場した、2010年の吉本伊織、作・演出・主演によるパフォーマンス以来、blanClassの活動期間中にまんべんなく出演、他のアーティストとのコラボレーションやソロでのダンスパフォーマンスだけでなく、ワークショップや週一セッションなどにも挑戦してもらった。
 
あらためて考えると、blanClassをblanClassたらしめるような、試みの連続だったと思う。
 
中でも忘れ難いのは、2016年の週イチセッション「ボディーマップを重ねる」とその成果発表会。複数人の様々な記憶の断片を言葉にしながら、半ば協働で思考や対話を数ヶ月かけて重ねていくというものだったのだが、最終的に出てきた寸劇のようなパフォーマンスは、つくろうと思ってつくれるものではない、とても珍しい経験を生み出した。
 
今回は、その「ボディーマップを重ねる」に集約された思考のプロセスを2時間完結の参加型イベントに展開(凝縮?)したものです。
 
それぞれの記憶を辿りながら、言葉にしたり、からだで確認したり、優しくてじっくり重なる対話をしながら地図のような場をつくる時間を、中村さんと一緒にご堪能ください。
 
またきっと珍しい体験になると思うので、ぜひこの機会にご参加ください。
なおこのイベントは予約が必要です。下記の予約方法にしたがって、前日までにご予約をお願いします。
 
 
こばやしはるお
 
 
——
 
 
【blanClass放送室】
10/13(日)のゲスト中村達哉さんをお招きしてお話ししました。大劇場でなくても成立するような最小限の劇のようなサイズの表現を参加型で模索します。現在参加者募集中です。 
 
 2019/9/19/中村達哉/blanClass放送室
 
 
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参加型/リサーチ|中村達哉[ミニマルな劇について考える](要予約)
それぞれの記憶のなかにあるなにげない体験を紐解きながら、メモや仕草の断片として描き出します。
 
一人称による語りを複数の人たちで共有してみたり、ただ行為を繰り返してみるなど、表出の方法を考え、空間に現れる”感触”を探ります。
 
ミニマムな演劇性、身体性がその場に浮かび上る可能性を、参加者の方たちと模索できればと考えています。
 
日程:2019年10月13日(日)17:00ー(2時間半程度)
入場料:1,500円(ドリンク別)
会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)
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予約方法:以下の内容でイベント前日までに以下のアドレスに送信ください。こちらからの返信を持って予約完了とさせていただきます。なお定員に達した場合などお断りすることもございますので、あらかじめご了承ください。
〈タイトル〉中村達哉[ミニマルな劇について考える]予約
〈本文〉1)日にち 2)氏名 3)住所 4)メールアドレス 5)参加人数
〈アドレス〉 info@blanclass.com
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中村 達哉 Tatsuya NAKAMURA
1998年より現在まで、ダンスカンパニー「イデビアン・クルー」に参加。パフォーマンスシアター「水と油」の作品や山下残の作品などに出演。ソロ活動と して、ギャラリーや野外でのパフォーマンスを継続的に行うほか、大学や劇場を中心にワークショップ活動を展開。stスポット主催「ヨコラ ボ’10」「ヨコラボ'11」集団創作コースオブザーバー担当。ブランクラスでは主に「かかわりをおどる」(2013年)「ボディマップを重ねる」(2016年)として作品を発表。

ミニマルな劇について考える|中村達哉

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10月13日に、横浜・井土ヶ谷のアートスペース「ブランクラス」にて参加型のイベントを行います。

 

 まずは個人的な記憶・風景・感触などを断片的なエピソードとしてそれぞれに話してもらいます。次に語り手を変え、表出の仕方を変えながら次々に構成しなおすことで、その場に居合わせた人たちのなかに、どのような出来事のマッピングが現れるのかを見届けたいと思います。

 

 ほぼ10年間、ブランクラスでいろいろな試みをさせていただきましたが、今月をもって休業に入るため、これがひとつの区切りになるかもしれません。お気軽にお越しください!

 

 このイベントは要予約です。詳しくは以下を↓

 

なかむらたつや

 

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参加型/リサーチ|中村達哉[ミニマルな劇について考える](要予約)
 
それぞれの記憶のなかにあるなにげない体験を紐解きながら、メモや仕草の断片として描き出します。
 
一人称による語りを複数の人たちで共有してみたり、ただ行為を繰り返してみるなど、表出の方法を考え、空間に現れる”感触”を探ります。
 
ミニマムな演劇性、身体性がその場に浮かび上る可能性を、参加者の方たちと模索できればと考えています。
 
日程:2019年10月13日(日)17:00ー(2時間半程度)
入場料:1,500円(ドリンク別)
会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)
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予約方法:以下の内容でイベント前日までに以下のアドレスに送信ください。こちらからの返信を持って予約完了とさせていただきます。なお定員に達した場合などお断りすることもございますので、あらかじめご了承ください。
〈タイトル〉中村達哉[ミニマルな劇について考える]予約
〈本文〉1)日にち 2)氏名 3)住所 4)メールアドレス 5)参加人数
〈アドレス〉 info@blanclass.com
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中村 達哉 Tatsuya NAKAMURA
1998年より現在まで、ダンスカンパニー「イデビアン・クルー」に参加。パフォーマンスシアター「水と油」の作品や山下残の作品などに出演。ソロ活動と して、ギャラリーや野外でのパフォーマンスを継続的に行うほか、大学や劇場を中心にワークショップ活動を展開。stスポット主催「ヨコラ ボ’10」「ヨコラボ'11」集団創作コースオブザーバー担当。ブランクラスでは主に「かかわりをおどる」(2013年)「ボディマップを重ねる」(2016年)として作品を発表。

10月5日[さっくさく]★★シリーズ SakSak+〇〇のかたちを探すfinal

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今週の土曜日は、SakSakスペシャルイベント「さっくさく」です!

今のところ参加予定ゲストは、Aokid、青柳 菜摘(Skypeでの参加)、荒木 美由(Skypeでの参加)、うらあやか、奥 誠之、尾崎 藍、黒坂 祐、小宮 麻吏奈、小山 友也、小山 渉、関 真奈美、武本 拓也、田村 香織(Skypeでの参加)、中村 大地、西山 友貴、村田 紗樹、メラン カオリ、吉田 裕亮、レンタルズ(今西勇太、小杉 晶)、渡辺 志桜里、となっています。

 

10月はブランクラスの10周年クロージングマンスなので、何かちょっと特別な場を作りたいなということもあり、ブランクラスで僕が2016年から始めた「〇〇のかたちを探す」と、2018年から始めた「SakSak」で、ゲスト出演をお願いした人々に再び声をかけ、とりあえず集まれる範囲で集まってもらおうということになりました。

 

こんなに集まってもらって何をしようか、と考えてみて、そういえば以前から興味のあった「サーカス」や「フェス」のかたちで、何かできないかなと思い始めました。

サーカスやフェスのかたち、と言ったときに僕がイメージしているのは、複数の何かが同時多発で起きている状態にお客さんが入り、お客さんの中でそれぞれを自由な時間で区切って体験してもらう、お祭りみたいな感じのやつです。

 

当日は、参加ゲストによるステージタイムと、トークタイムの2本柱で進行します。ステージタイムは、集まったゲストによる自由なイベントの場として進行する感じで、トークタイムは、それぞれのゲストが〇〇シリーズやSakSakで行ったイベントから、最近の活動に至るまでをざっくりお話ししてもらう時間になる予定。

理想はステージタイムとトークタイムの同時進行だけど、まあ、やってみながら全然違うかたちになっていってもオッケー。

重要なのはいつも通りで、その場に入るお客さんがいることで成立するイベント、ということです。

 

今のブランクラスでの僕の企画も、これで一区切りです。

実はまだブランクラスのイベントに行ったことがないという方は、気軽な気持ちで足を運んでもらえたらと思います。

もちろん、いつもの方もお待ちしています。

 

野本直輝

 

blanClassの小林晴夫さんと、当日の準備についてお話ししました。

2019/9/24/野本直輝/blanClass放送室


2019/9/24/Naoki NOMOTO/blanClass Broadcasting

 

さっくさく|サーカス、フェス

blanClass ウェブページ 

http://blanclass.com/japanese/schedule/20191005/

Facebook イベントページ 

https://www.facebook.com/events/2554531061281342/

 

 

さっくさくは、blanClassでのSakSakスペシャルイベントです。

2018年からのシリーズ企画「SakSak」と、2016年からの「〇〇のかたちを探す」で出演をお願いした方々に再び声をかけ、可能な範囲で集まってもらいます。当日は、お昼頃から夜くらいまで、サーカスでフェスな催しをさっくさくっと開催予定!参加ゲストや内容などの詳しい情報はウェブでお知らせします。

 

参加予定:Aokid、青柳 菜摘(Skypeでの参加)、荒木 美由(Skypeでの参加)、うらあやか、奥 誠之、尾崎 藍、黒坂 祐、小宮 麻吏奈、小山 友也、小山 渉、関 真奈美、武本 拓也、田村 香織(Skypeでの参加)、中村 大地、西山 友貴、村田 紗樹、メラン カオリ、吉田 裕亮、レンタルズ(今西勇太、小杉 晶)、渡辺 志桜里、他 /企画:野本 直輝

日程:2019年10月5日(土)

   だいたい 13:00 START

   だいたい 21:00 CLOSE

料金:2,000円

会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)

https://goo.gl/maps/Q7Aat7nBarE2

アクセス:京浜急行「井土ヶ谷」駅の改札出て正面の信号わたりすぐを左折、一つ目の交差点を右折、二つ目の角を左折、三井のリパーク後ろ、blanClass看板がある細い段々を上がって右の建物2階

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SakSak

https://saksak.localinfo.jp

 

〇〇のかたちを探す

https://naokinomoto.localinfo.jp/posts/categories/956074

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もう一度からっぽ(2019_10)

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blanClassは横浜の住宅街にある小さなスペースを拠点に、芸術を発信する場として2009年に活動をスタートしました。かつてここが現代美術を学ぶ教場だったこともあり、5年間ブランクになっていたこともあって、「空っぽの教室(blanc+class)」という意味を込めました。週末の夜にワンナイトイベント+公開インタビューを始めたのが「10月17日」なので、この10月で10周年を迎えるのですが、すでに公表している通り、この機にblanClassは長期休業に入ります。

活動前夜に書いたステイトメントには「いったんドアが開いたら、どんなことでも好きなだけ掘り下げて考えることができ、簡単には時代や社会に媚びないように、芸術を区分けしているジャンルや機能を飛び越えて、向こう側にある力強いメッセージを、より自由でシリアスな問題を、真摯に模索していきます。」という言葉で締めくくっていました。

直前に書いたステイトメントにしては、その後の10年分の活動をブレずに言い当てていると思います。確かにひとつひとつのイベントで、ひとりひとりのアーティストたちや参加したみんなが、それぞれに「学び」や「試み」を実践してきました。

ただし10年もひとつのシステムを稼働させていくと、その機能自体が役割を終える気もするし、世の中もまた変わり目を迎えているような気もするし、私自身がまたもや真っ白な状態になってしまいました。あまりジタバタしても良いことが起こる気もしないので、もう一度この場所を「からっぽ」にします。

10月中の4つのイベントはどれもファイナルイベントです。10月20日には10周年と休業の両方をお祝いしながら、休業してなお拡張する仕掛けとして「blanClassの日」を制定する予定です。

箱の運営はお休みしますが、webなどの運営を続けながら、またできることを模索していきますので、そちらもどうぞよろしくお願いします。それでも一応これで一旦お休みです。どのイベントでも良いので、ぜひ遊びに来てください。

 

小林晴夫(2019.10 チラシ掲載)

9月28日(土)森田浩彰[先輩に学ぶミドルライフ・クライシス]

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今週土曜日のLive Artは森田浩彰が3回目、4年ぶりのソロ出演!
 
これまで森田浩彰がblanClassで行ったイベントは、会場にあらかじめ紛れ込んでいる参加者が持っているであろうものがダイレクションのように壁に貼られていたり、こっそりと参加者と作家の間に約束を交わしてみたり、あるいは、インディアン・ポーカーに着想を得て、おでこに貼られたダイレクションに従って対話のようなものをしてみたりと、そもそも日常のどこかに生まれてしまった集団に、どうしても生まれてしまう状況や関係性を、小さな隙間をこじ開けるように見つめ直すような試みをしてきた。
 
というのは、そもそも彼が日頃から触れている風景やある状況に対して、社会とも、経済とも、心の問題とも言えないような独自な切り口で見つめているからなのだろう。そこでの気づきから、ある意味でパフォーマティブな方法で、参加者と一緒に考える方法に展開してきた。
 
常に見落としているような、でも当たり前のようなことを、手元にグッと引き寄せて考え直してみせる、あるいはテーブルに投げ出す様は、彼の作品にも通じる先見性と言えるかもしれない。
 
今回のイベントは、ズバリ「先輩に学ぶミドルライフ・クライシス」という企画になった。
 
かつて先輩アーティストに「若手じゃなくなくなって中堅(中年?)になると辛いよ〜」なんて言われていた言葉を自分がその中堅(中年?)になってみて痛感しているらしく、この企画を思いついたのだそうで、誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくい「中年の危機」のすべてのことを先輩に教えてもらおうという、生々しいけれど、個人個人にとってはとても大事な問題をこのタイミングで示す、これまた田浩彰らしい先取り企画。
 
彼が今回お呼びする先輩アーティストは、宇治野宗輝さんと白井美穂さん。お二人にお願いした理由は、逆に「微塵もミドルライフ・クライシスを感じさせない魅力的な活動をされているように見える」からとのこと。
 
確かに時々の時代を軽々とオリジナルな位置で駆け抜けていそうな感じがするけれど、きっとそれぞれにタフな人生を生き抜いてきたはず。当日はお二人が40代ぐらいから現在までのお話をお聞きして、その後お悩み相談をしていく予定だそうです。いろいろとヒントが聞けそうな予感。ぜひ一緒に聞いてみましょう。
 
 
 
こばやしはるお
 
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【blanClass放送室】
青山|目黒にお邪魔して、9/28(土)のゲスト森田浩彰さんと、お互い中年になって身に降りかかるさまざまな問題などについて、お招きする先輩アーティスト、宇治野宗輝さんと白井美穂さんに聞いてみたいことなどをお話ししました。
 
2019/9/17/森田浩彰/blanClass放送室


2019/9/17/Hiroaki MORITA/blanClass Broadcasting

 

 
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トーク森田浩彰[先輩に学ぶミドルライフ・クライシス]
中年の危機(ミドルライフ・クライシス)という言葉があります。一般的には、体調の変化、親や子供、キャリアの問題等複数の重要事項が重なってくる時期といわれています。我々、アーティストにも展覧会が減る、経済問題等のアーティスト特有の問題も降りかかってきます(僕自身もまさにそのど真ん中にいる)。そこで諸先輩方を招いてどのようにその時期を過ごしてきたのか、その先には何が待っているのかを学んでいきたいと思います。
 
特別ゲスト:宇治野宗輝/白井美穂 
 
2019年9月28日(土)
開場:18:30 開演:19:00
入場料:1,800円(ワンドリンク付)
会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)
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森田 浩彰 Hiroaki MORITA
1973年福井県生まれ。1998年Bゼミスクール修了。2002年ロンドン大学ゴールドスミスカレッジMAファインアート修了。生活の中で当たり前に存在しているが特に意識されない物事に注意を向け、それらの中に折り重なっているコンテクストや関係性を可視化させる作品を制作している。近年の主な展覧会に「Triple Point of Matter」(Fondation Fiminco,パリ,2017年)、「Something to Something else」青山|目黒、東京、2016年)等がある。
青山|目黒
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宇治野 宗輝 Muneteru UJINO
1964年東京都生まれ。東京藝術大学美術学部工芸科卒。大量消費社会が急速に拡大した20世紀以降の「物質世界のリサーチ」を基盤に、世界中どこにでもある大量生産品と技術を再構成し、近代の文化を再定義するサウンドスカルプチャー/パフォーマンスの複合プロジェクト「The Rotators」に取り組み、各地で活動している。ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」、「Lives in Japan」(山本現代、東京、2018年)、「アジアの風景」(金沢21世紀美術館、石川、2018年)等。
ANOMALY
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白井美穂  Mio SHIRAI
1962年 京都生まれ。1988年東京藝術大学大学院美術研究科修了。1993年より14年間ニューヨークに在住。固有の枠組み中で、対立する時間的・空間的要素が縦横に織り込まれた現代の世界像の表出を試みる。近年の展覧会に「絵画の現在」(府中市美術館、2018年)、個展「Time Is Vertical」(nap gallery、東京 2018年)「地球・爆—10人の画家による大共作展」(愛知県美術館、2019年11月)など。

9月22日(日)ASSEMBLIES(アッセンブリーズ)

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今週の日曜日は「アッセンブリーズ」!!  

今回のアッセンブリーズはなんと第10弾。2回ほど他の場所でも開催をしているので、blanClassでは8回目。

日頃、いろいろと考えを巡らせている中で、ふと組み上がってしまった、一塊のアイデア、作品やら企画やらに育て上げるには、もう一手間かかったり、もう一つ自分が手掛けるにはモチベーションが足りなかったり、もしかすると自分以外の人の仕事に組み込んだ方がより有効に働くかもしれないような、なかなか日の目を見ない無数の埋もれたアイデア群のことのことを「アッセンブリーズ」と呼んでいる。

そんなもったいない「アッセンブリーズ」を持ち寄って、日曜日の午後、お茶など飲みながら、ゆるゆるとアイデアを交換するのが目的のイベント。

2017年から不定期に(だいたい2ヶ月に一回ぐらいのペースで)行ってきたアッセンブリーズだが、それぞれの参加者たちのそれぞれ普段の専門、人間関係、時間、リアリティーなどなどから、距離を置いて集まって、アイデアを放り出せる「場」となっていたようだ。

最初からコアに参加していた村上滋郎さんは山形から、このためだけにやってきて、山形は長井の「こしゃう」というスペースのことや、クラフトビールのことなどをポイっと投げ出しながら、それらの事業が着実に実っていく様を遠くからゆっくりと共有できた。ゆるゆると過ごしているだけのようで、それぞれの拠点から離れた参加者たちの声が行き交うことで、この「場」は意味のあるものになっていたのだと思う。

 

前回から、料金が投げ銭制になり、[13:00ー:お昼ご飯、15:00ー17:00:コアタイム]と、少しだけタイムスケジュールが変わり、これまでになくメリハリがつきました。お昼ご飯からの参加でも、コアタイムからの参加でも、ご都合に合わせてご参加ください。

blanClassのわがままで、11月から長期休業に入るため、残念ながら、ここでのアッセンブリーズはこれが最後になります。もちろん、持ち込み「アッセンブリーズ」も大歓迎ですので、この機会にぜひ…。
 
 
こばやしはるお
 
 
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【blanClass放送室】

9/22(日)のイベント「アッセンブリーズ」企画者の吉田和貴さんと後藤桜子さんと一緒にお話ししました。前回からお昼ご飯の時間と、コアタイムを分けたのですが、お昼ご飯のメニューの相談もしました。

2019/8/11/アッセンブリーズ/blanClass放送室

 
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ASSEMBLIES(アッセンブリーズ)
ASSEMBLIES(アッセンブリーズ)は、参加者が各々の関心やアイディアを持ち寄る不定期の集まりです。参加するアーティストやキュレーターは、興味のあるトピックや作品、調査資料について、展示、パフォーマンス、対話など参加者自身がふさわしいと思う形式で来場者にプレゼンテーションします。
ASSEMBLIESでは、発想そのものを汎用に開いていくためのいとぐちとして実践し、対話や協働をとおした意図の転換や外部との連動によって与えられるその新しいファンクションを模索します。
 
出品:後藤桜子/吉田和貴/村上滋郎 ほか
 
日時:2019年9月22日(日)
13:00ー19:00 投げ銭
[13:00ー:お昼ご飯、15:00ー17:00:コアタイム
会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)